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第二章 婚約破棄編
否定
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「ねぇ、エルシャ。この像は何かしら」
「綺麗な像ですね。…ふむ、アース鉱石で作られた像とあります。どうやら、この国で崇められる人物で、お嬢様の好きな物語の後に作られた物のようです」
「でも、この人?この子?は物語に出て来なかったのよね……何故かしら」
私が像を見上げて考えていると、冒険者らしき方々がこちらへ近づいて来る。
サッと私の前に立つエルシャに、冒険者の方は困ったような表情でこう言った。
「いや、危害を加えるつもりはないんだ。像を見上げて悩んでるようだったからね」
私は彼らに尋ねました。
私の知る物語にこの像のような人物は出ていないので、誰なのかと聞いたのだったが彼らは顔を見合わせてから言いました。
「あんたら、アーテルの人か?」
「え、はい」
まさか、アーテル聖国と呼ばずに呼び捨てされるとは思っておらず、呆気に取られた。
周囲の方々がヒソヒソと話しているようで、心配になりはしたけど知りたい気持ちが勝ち、尋ねてみた。
「アーテルのとこにある聖典は間違った物だ。あれはこの国を当時の人達を侮辱してる。悪いことは言わねぇ、聖典を信じるのはやめろ」
私は、私の信じて来た物語が憧れが否定されたように思え、今まで出したことのない程大きな声を出した。
「聖典は間違ってません!邪悪な悪魔が人族を利用した。王国はそれに屈しず魔物を撃退し悪魔は魔の国に逃げたっ。それが正しいのですっ!」
私の言葉に周囲はシンとし、冒険者達はため息を吐いて「じゃぁな」とその場を去りました。
周囲を見やると関わりを持ちたくないかのように、離れる人が多くいて心配になってエルシャを振り返った。彼女は無表情でした。
「お嬢様、帰りましょう」
そう言って腕を取り、私は彼女に急かされるまま帰宅した。
夕食を食べた後、私は思い切って彼女に尋ねた。
「聖典は正しいものよね?」
彼女はそれに答えることなく、「明日、図書館へ行きましょう」と一言。
それだけ言って部屋を出た彼女を朝まで見ることはなかった。
「聖典は正しい。父上も母上も言ってた。間違いのハズがないわ」
「綺麗な像ですね。…ふむ、アース鉱石で作られた像とあります。どうやら、この国で崇められる人物で、お嬢様の好きな物語の後に作られた物のようです」
「でも、この人?この子?は物語に出て来なかったのよね……何故かしら」
私が像を見上げて考えていると、冒険者らしき方々がこちらへ近づいて来る。
サッと私の前に立つエルシャに、冒険者の方は困ったような表情でこう言った。
「いや、危害を加えるつもりはないんだ。像を見上げて悩んでるようだったからね」
私は彼らに尋ねました。
私の知る物語にこの像のような人物は出ていないので、誰なのかと聞いたのだったが彼らは顔を見合わせてから言いました。
「あんたら、アーテルの人か?」
「え、はい」
まさか、アーテル聖国と呼ばずに呼び捨てされるとは思っておらず、呆気に取られた。
周囲の方々がヒソヒソと話しているようで、心配になりはしたけど知りたい気持ちが勝ち、尋ねてみた。
「アーテルのとこにある聖典は間違った物だ。あれはこの国を当時の人達を侮辱してる。悪いことは言わねぇ、聖典を信じるのはやめろ」
私は、私の信じて来た物語が憧れが否定されたように思え、今まで出したことのない程大きな声を出した。
「聖典は間違ってません!邪悪な悪魔が人族を利用した。王国はそれに屈しず魔物を撃退し悪魔は魔の国に逃げたっ。それが正しいのですっ!」
私の言葉に周囲はシンとし、冒険者達はため息を吐いて「じゃぁな」とその場を去りました。
周囲を見やると関わりを持ちたくないかのように、離れる人が多くいて心配になってエルシャを振り返った。彼女は無表情でした。
「お嬢様、帰りましょう」
そう言って腕を取り、私は彼女に急かされるまま帰宅した。
夕食を食べた後、私は思い切って彼女に尋ねた。
「聖典は正しいものよね?」
彼女はそれに答えることなく、「明日、図書館へ行きましょう」と一言。
それだけ言って部屋を出た彼女を朝まで見ることはなかった。
「聖典は正しい。父上も母上も言ってた。間違いのハズがないわ」
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