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第一章 神編
魔界の戦い
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そこかしこで魔法が放たれ、「ギギィ」「ギャウン」などと声を上げて息絶える魔物達。
しかもその全ては、多くの者が使う下級魔法ではなく上級魔法。
これだけの数を相手するなら、上級魔法は効果的だけどもしも魔界から下界へ魔族が攻めて来たら、と考えるとゾッとした。
戦力も魔法の威力も空中戦も可能な魔族。果たして勝ち目はあるのか。
「今は目の前のこと」
私は頭を振り、愚かな思考を放棄した。
「ゴアァァァァァア!!!!」
ナジャと共に魔物の群れを突き進むと、ゴブリンキングがいた。
耳をつんざくような声で威嚇をし、その右手で掴む腕程の太さはある棍棒を振り下ろした。
巨体とは思えぬ程の速度で、大地にめり込んだ棍棒は土埃をものともせず、二度目の攻撃がまるで見えているかのように、私を捉え遥か遠くへ殴り飛ばした。
頭が割れるように痛い!熱い!
たった一撃で右腕が使い物にならなくなった。
が、私には光属性がある。素早く、【ライト・メガ・ヒール】と唱えつつ私は戦場へと戻った。
私とは違い、様々な方向転換を繰り返し、死角に入り攻撃するナジャ。
「【フレア・ヘプタ・ボム】!」
七つの炎が、一直線ではなく曲がったり棍棒や腕を避けて、ゴブリンキングに命中する。
あっ!
怒りに任せて振るう棍棒がナジャに迫る!
「複合魔法【ルミナス・レイヴン】!!」
私が出せる最大火力!光り輝く漆黒の一撃!!
一直線に放たれた魔法は、運良くゴブリンキングの後頭部に直撃。で、終わると思っているとそのまま貫通し、上空で魔法は消えた。
まさかの高威力に使った私自身、驚いた。
脳を貫かれ、痛みによって倒れたゴブリンキングのその巨体が大地へと沈む。ゴブリンキングの統率を失った魔物達は、途端に味方同士で争ったり逃走したりと行動が別れた。
「やった……」
安堵する私の身体を揺らしてナジャが、「まだ、元凶がいる!」と。
「メア……」
ナジャに支えられながら私達は、ゴブリンキングが守っていた洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟の奥で鎖に繋がれたメアがいた。
メアの近くにあの男…エンヴィーもいた。
「魔族どもがっ!調子に乗りやがって!」
男が殺気を放つ。
私もナジャもそれだけで動きが止まった。だが、それだけだった。殺気を放つだけで攻撃をしてくることはなかった。
気になって鑑定で見ると、魔力枯渇状態だった。
男の右手首とメアの左手首が鎖で繋がれているのを見て、ナジャが呟く。
「外道がっ」
ナジャは二人を繋ぐ鎖を魔法で断ち切った。すると、メアが徐々に意識を取り戻してこちらを見た。
「お姉…ちゃん?」
「メア…メア!」
駆け寄り、抱きしめた。身体に温もりはない。痩せ細り、見るに堪えない姿に私は涙がこぼれた。
ナジャが男を引きずり、私はメアを抱えて外に出た。
アビス様が迎えてくれる。
残党狩りを終えた者達が続々とアビス様の元へ集まって行く。
神が創造した闇の大精霊、アビス様。私達魔族の主。
しかもその全ては、多くの者が使う下級魔法ではなく上級魔法。
これだけの数を相手するなら、上級魔法は効果的だけどもしも魔界から下界へ魔族が攻めて来たら、と考えるとゾッとした。
戦力も魔法の威力も空中戦も可能な魔族。果たして勝ち目はあるのか。
「今は目の前のこと」
私は頭を振り、愚かな思考を放棄した。
「ゴアァァァァァア!!!!」
ナジャと共に魔物の群れを突き進むと、ゴブリンキングがいた。
耳をつんざくような声で威嚇をし、その右手で掴む腕程の太さはある棍棒を振り下ろした。
巨体とは思えぬ程の速度で、大地にめり込んだ棍棒は土埃をものともせず、二度目の攻撃がまるで見えているかのように、私を捉え遥か遠くへ殴り飛ばした。
頭が割れるように痛い!熱い!
たった一撃で右腕が使い物にならなくなった。
が、私には光属性がある。素早く、【ライト・メガ・ヒール】と唱えつつ私は戦場へと戻った。
私とは違い、様々な方向転換を繰り返し、死角に入り攻撃するナジャ。
「【フレア・ヘプタ・ボム】!」
七つの炎が、一直線ではなく曲がったり棍棒や腕を避けて、ゴブリンキングに命中する。
あっ!
怒りに任せて振るう棍棒がナジャに迫る!
「複合魔法【ルミナス・レイヴン】!!」
私が出せる最大火力!光り輝く漆黒の一撃!!
一直線に放たれた魔法は、運良くゴブリンキングの後頭部に直撃。で、終わると思っているとそのまま貫通し、上空で魔法は消えた。
まさかの高威力に使った私自身、驚いた。
脳を貫かれ、痛みによって倒れたゴブリンキングのその巨体が大地へと沈む。ゴブリンキングの統率を失った魔物達は、途端に味方同士で争ったり逃走したりと行動が別れた。
「やった……」
安堵する私の身体を揺らしてナジャが、「まだ、元凶がいる!」と。
「メア……」
ナジャに支えられながら私達は、ゴブリンキングが守っていた洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟の奥で鎖に繋がれたメアがいた。
メアの近くにあの男…エンヴィーもいた。
「魔族どもがっ!調子に乗りやがって!」
男が殺気を放つ。
私もナジャもそれだけで動きが止まった。だが、それだけだった。殺気を放つだけで攻撃をしてくることはなかった。
気になって鑑定で見ると、魔力枯渇状態だった。
男の右手首とメアの左手首が鎖で繋がれているのを見て、ナジャが呟く。
「外道がっ」
ナジャは二人を繋ぐ鎖を魔法で断ち切った。すると、メアが徐々に意識を取り戻してこちらを見た。
「お姉…ちゃん?」
「メア…メア!」
駆け寄り、抱きしめた。身体に温もりはない。痩せ細り、見るに堪えない姿に私は涙がこぼれた。
ナジャが男を引きずり、私はメアを抱えて外に出た。
アビス様が迎えてくれる。
残党狩りを終えた者達が続々とアビス様の元へ集まって行く。
神が創造した闇の大精霊、アビス様。私達魔族の主。
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