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第四章 学園編

第一話 出産と成長

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 代わり映えのない穏やかな日々が過ぎていた頃、城に急な来訪があった。

 「ユウト!」

 「どうしたんですか、ガジャーノさん」

 「妻が……リーフェイトが……」

 「まさか、病気ですか?!」

 「妊娠したぞ!」

 「へ?……あ、妊娠ですか」
 「おめでとうございます」

 「それでだな、畑の事なんだが……」

 「頑張ってください」

 「そ、そうか」

 引きつった顔のガジャーノさん。 リーフェイトさんが妊娠したのであって、ガジャーノさんは違うでしょ。










 リーフェイトさんのお腹は何事もなく、順調に大きくなっていき、後は出産……というところまで来た。
 出産というのは産む本人ではなく、むしろ父親の方が喜んでいたりする。 実際、目の前には興奮して落ち着かない人がいる。

 ふいに、転移門が起動し誰かが走ってくるのがわかった。 僕たちがいる、客室の前で急停止しゆっくり入って来たのは、シャーノアくんと護衛のギルバートさんだった。

 「良かった、まだ産まれてなかった」




 夜、リーフェイトさんが産気づいた。 客室の中では、王家に仕えているメイドたちが忙しく動いている。

 僕、ガジャーノさん、シャーノアくん、ギルバートさんの四人は、部屋から追い出された。 ウロウロオロオロして、気が散るそうだ。




 リーフェイトさんが頑張ったお陰もあって、無事産まれた。
 疲労はあるみたいだ。

 「え」

 「これは……」

 「お腹が大きいとは思っていたが……」

 「どうしたんですか?」

 と、産まれた赤ちゃんを見てみるとなんと、二人いたのだ。 てっきり一人かと思ったら、まさかの双子。


 「……リーフェイト、名前はどうする?」

 「私は、ユウトさんに決めて貰いたいわ」

 「よしユウト、この子達の名前を決めてくれ」

 「えぇ、えーと、男の子が蓮。 女の子が愛莉で、どうかな」

 「男の子がレンで、女の子がアイリか」

 「前世の漢字というものを基準に考えたんだ」

 「沼地で泥にまみれていても美しい花を咲かせる蓮の花から、
『清い心を持ちながらも、困難に打ち勝てる子供』になる様にと思って、レン」

 「『感性が豊かで美しい華のある女性』になって欲しいと思って、アイリ」

 「良いわね」
 「漢字とは奥が深いのだな」

 「よろしくね、レン、アイリ。 僕はキオラールだよ」







 先王陛下のガジャーノさんと王太后陛下のリーフェイトさんから生まれたレンとアイリは、王位継承権を持っている。
 レンが先に取り上げられ、その後にアイリだったらしい。 なので継承権順はアイリが最後になる。

 ただ、今はテオシウス国王がいて、下にキオラール殿下もいるので心配はないだろう。

 真ん中にアリス王女がいるが、男子優先長子継承制といって、男女に継承権があるが、第一子と第二子のように同一の親族関係では男子を優先するという制度の為、アリス王女よりもキオラール殿下が優先される。

 生まれてから一ヶ月で、手足をパタパタさせ。 三ヶ月経つ頃には、指を向けるとその小さな手で掴んでくる。 五ヶ月目頃に離乳食が加わる。 八ヶ月経ってようやく、はいはいした時には手を叩き喜ぶガジャーノさんの姿があった。
 一歳の誕生日に、頑張って立つ姿には、全員で喜んだ。

 レンはアイリと競う様に成長し、アイリはマイペースに成長していった。

 前世の記憶では、脳の発達の約八十%は五歳頃に基礎が出来上がるというのを見たことがある。 ガジャーノさんとリーフェイトさんは、知ってか知らずか一歳から本の読み聞かせをやりまくっていた。
 本と言うより分厚い辞書だ。 その中に四作くらい書かれてるんだけど、それにしても分厚いだろう。 一作三十ページはある様に見える。
 明らかに子供に読み聞かせる為というよりも、寝かせる本だと思う。

 一歳頃、子供たちは読み聞かせの度に、少ししたら熟睡。 二歳になると、段々と聞くようになっていた。
 因みに、前二作はこの世界での歴史本みたいで、後二作は僕でもわかった。
 何故なら、ユウト・サトウが上位魔族を倒した時の事と、カフェシエルの事だったからだ。 レンが気に入ってるのは、上位魔族を倒す物語で、アイリはカフェシエルの物語。

 歴史作品も見てやれよ!


 三歳からは、魔法と木剣での訓練が追加された。
 魔法の訓練は、攻撃魔法ではなく魔力を増やす事を第一に考え、魔力操作スキルの上昇、魔力の安定化を集中的にやっていた。

 木剣での訓練は、主に素振りそして座学。
 ガジャーノさんとギルバートさんが張り切ってます。

 五歳からは、近接戦闘を教えた。
 この世界は主に魔法と剣での訓練しかされておらず、魔力が切れるか接近されると、あたふたするのが多い。
 また、剣が折れたり手元に剣がない状態で接近されたら、がむしゃらにパンチとも言えない事をする。

 まぁ、教えるのは僕で内容は我流なんだけど。
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