27 / 54
第四章 学園編
第一話 出産と成長
しおりを挟む
代わり映えのない穏やかな日々が過ぎていた頃、城に急な来訪があった。
「ユウト!」
「どうしたんですか、ガジャーノさん」
「妻が……リーフェイトが……」
「まさか、病気ですか?!」
「妊娠したぞ!」
「へ?……あ、妊娠ですか」
「おめでとうございます」
「それでだな、畑の事なんだが……」
「頑張ってください」
「そ、そうか」
引きつった顔のガジャーノさん。 リーフェイトさんが妊娠したのであって、ガジャーノさんは違うでしょ。
◇
リーフェイトさんのお腹は何事もなく、順調に大きくなっていき、後は出産……というところまで来た。
出産というのは産む本人ではなく、むしろ父親の方が喜んでいたりする。 実際、目の前には興奮して落ち着かない人がいる。
ふいに、転移門が起動し誰かが走ってくるのがわかった。 僕たちがいる、客室の前で急停止しゆっくり入って来たのは、シャーノアくんと護衛のギルバートさんだった。
「良かった、まだ産まれてなかった」
夜、リーフェイトさんが産気づいた。 客室の中では、王家に仕えているメイドたちが忙しく動いている。
僕、ガジャーノさん、シャーノアくん、ギルバートさんの四人は、部屋から追い出された。 ウロウロオロオロして、気が散るそうだ。
リーフェイトさんが頑張ったお陰もあって、無事産まれた。
疲労はあるみたいだ。
「え」
「これは……」
「お腹が大きいとは思っていたが……」
「どうしたんですか?」
と、産まれた赤ちゃんを見てみるとなんと、二人いたのだ。 てっきり一人かと思ったら、まさかの双子。
「……リーフェイト、名前はどうする?」
「私は、ユウトさんに決めて貰いたいわ」
「よしユウト、この子達の名前を決めてくれ」
「えぇ、えーと、男の子が蓮。 女の子が愛莉で、どうかな」
「男の子がレンで、女の子がアイリか」
「前世の漢字というものを基準に考えたんだ」
「沼地で泥にまみれていても美しい花を咲かせる蓮の花から、
『清い心を持ちながらも、困難に打ち勝てる子供』になる様にと思って、レン」
「『感性が豊かで美しい華のある女性』になって欲しいと思って、アイリ」
「良いわね」
「漢字とは奥が深いのだな」
「よろしくね、レン、アイリ。 僕はキオラールだよ」
◇
先王陛下のガジャーノさんと王太后陛下のリーフェイトさんから生まれたレンとアイリは、王位継承権を持っている。
レンが先に取り上げられ、その後にアイリだったらしい。 なので継承権順はアイリが最後になる。
ただ、今はテオシウス国王がいて、下にキオラール殿下もいるので心配はないだろう。
真ん中にアリス王女がいるが、男子優先長子継承制といって、男女に継承権があるが、第一子と第二子のように同一の親族関係では男子を優先するという制度の為、アリス王女よりもキオラール殿下が優先される。
生まれてから一ヶ月で、手足をパタパタさせ。 三ヶ月経つ頃には、指を向けるとその小さな手で掴んでくる。 五ヶ月目頃に離乳食が加わる。 八ヶ月経ってようやく、はいはいした時には手を叩き喜ぶガジャーノさんの姿があった。
一歳の誕生日に、頑張って立つ姿には、全員で喜んだ。
レンはアイリと競う様に成長し、アイリはマイペースに成長していった。
前世の記憶では、脳の発達の約八十%は五歳頃に基礎が出来上がるというのを見たことがある。 ガジャーノさんとリーフェイトさんは、知ってか知らずか一歳から本の読み聞かせをやりまくっていた。
本と言うより分厚い辞書だ。 その中に四作くらい書かれてるんだけど、それにしても分厚いだろう。 一作三十ページはある様に見える。
明らかに子供に読み聞かせる為というよりも、寝かせる本だと思う。
一歳頃、子供たちは読み聞かせの度に、少ししたら熟睡。 二歳になると、段々と聞くようになっていた。
因みに、前二作はこの世界での歴史本みたいで、後二作は僕でもわかった。
何故なら、ユウト・サトウが上位魔族を倒した時の事と、カフェシエルの事だったからだ。 レンが気に入ってるのは、上位魔族を倒す物語で、アイリはカフェシエルの物語。
歴史作品も見てやれよ!
三歳からは、魔法と木剣での訓練が追加された。
魔法の訓練は、攻撃魔法ではなく魔力を増やす事を第一に考え、魔力操作スキルの上昇、魔力の安定化を集中的にやっていた。
木剣での訓練は、主に素振りそして座学。
ガジャーノさんとギルバートさんが張り切ってます。
五歳からは、近接戦闘を教えた。
この世界は主に魔法と剣での訓練しかされておらず、魔力が切れるか接近されると、あたふたするのが多い。
また、剣が折れたり手元に剣がない状態で接近されたら、がむしゃらにパンチとも言えない事をする。
まぁ、教えるのは僕で内容は我流なんだけど。
「ユウト!」
「どうしたんですか、ガジャーノさん」
「妻が……リーフェイトが……」
「まさか、病気ですか?!」
「妊娠したぞ!」
「へ?……あ、妊娠ですか」
「おめでとうございます」
「それでだな、畑の事なんだが……」
「頑張ってください」
「そ、そうか」
引きつった顔のガジャーノさん。 リーフェイトさんが妊娠したのであって、ガジャーノさんは違うでしょ。
◇
リーフェイトさんのお腹は何事もなく、順調に大きくなっていき、後は出産……というところまで来た。
出産というのは産む本人ではなく、むしろ父親の方が喜んでいたりする。 実際、目の前には興奮して落ち着かない人がいる。
ふいに、転移門が起動し誰かが走ってくるのがわかった。 僕たちがいる、客室の前で急停止しゆっくり入って来たのは、シャーノアくんと護衛のギルバートさんだった。
「良かった、まだ産まれてなかった」
夜、リーフェイトさんが産気づいた。 客室の中では、王家に仕えているメイドたちが忙しく動いている。
僕、ガジャーノさん、シャーノアくん、ギルバートさんの四人は、部屋から追い出された。 ウロウロオロオロして、気が散るそうだ。
リーフェイトさんが頑張ったお陰もあって、無事産まれた。
疲労はあるみたいだ。
「え」
「これは……」
「お腹が大きいとは思っていたが……」
「どうしたんですか?」
と、産まれた赤ちゃんを見てみるとなんと、二人いたのだ。 てっきり一人かと思ったら、まさかの双子。
「……リーフェイト、名前はどうする?」
「私は、ユウトさんに決めて貰いたいわ」
「よしユウト、この子達の名前を決めてくれ」
「えぇ、えーと、男の子が蓮。 女の子が愛莉で、どうかな」
「男の子がレンで、女の子がアイリか」
「前世の漢字というものを基準に考えたんだ」
「沼地で泥にまみれていても美しい花を咲かせる蓮の花から、
『清い心を持ちながらも、困難に打ち勝てる子供』になる様にと思って、レン」
「『感性が豊かで美しい華のある女性』になって欲しいと思って、アイリ」
「良いわね」
「漢字とは奥が深いのだな」
「よろしくね、レン、アイリ。 僕はキオラールだよ」
◇
先王陛下のガジャーノさんと王太后陛下のリーフェイトさんから生まれたレンとアイリは、王位継承権を持っている。
レンが先に取り上げられ、その後にアイリだったらしい。 なので継承権順はアイリが最後になる。
ただ、今はテオシウス国王がいて、下にキオラール殿下もいるので心配はないだろう。
真ん中にアリス王女がいるが、男子優先長子継承制といって、男女に継承権があるが、第一子と第二子のように同一の親族関係では男子を優先するという制度の為、アリス王女よりもキオラール殿下が優先される。
生まれてから一ヶ月で、手足をパタパタさせ。 三ヶ月経つ頃には、指を向けるとその小さな手で掴んでくる。 五ヶ月目頃に離乳食が加わる。 八ヶ月経ってようやく、はいはいした時には手を叩き喜ぶガジャーノさんの姿があった。
一歳の誕生日に、頑張って立つ姿には、全員で喜んだ。
レンはアイリと競う様に成長し、アイリはマイペースに成長していった。
前世の記憶では、脳の発達の約八十%は五歳頃に基礎が出来上がるというのを見たことがある。 ガジャーノさんとリーフェイトさんは、知ってか知らずか一歳から本の読み聞かせをやりまくっていた。
本と言うより分厚い辞書だ。 その中に四作くらい書かれてるんだけど、それにしても分厚いだろう。 一作三十ページはある様に見える。
明らかに子供に読み聞かせる為というよりも、寝かせる本だと思う。
一歳頃、子供たちは読み聞かせの度に、少ししたら熟睡。 二歳になると、段々と聞くようになっていた。
因みに、前二作はこの世界での歴史本みたいで、後二作は僕でもわかった。
何故なら、ユウト・サトウが上位魔族を倒した時の事と、カフェシエルの事だったからだ。 レンが気に入ってるのは、上位魔族を倒す物語で、アイリはカフェシエルの物語。
歴史作品も見てやれよ!
三歳からは、魔法と木剣での訓練が追加された。
魔法の訓練は、攻撃魔法ではなく魔力を増やす事を第一に考え、魔力操作スキルの上昇、魔力の安定化を集中的にやっていた。
木剣での訓練は、主に素振りそして座学。
ガジャーノさんとギルバートさんが張り切ってます。
五歳からは、近接戦闘を教えた。
この世界は主に魔法と剣での訓練しかされておらず、魔力が切れるか接近されると、あたふたするのが多い。
また、剣が折れたり手元に剣がない状態で接近されたら、がむしゃらにパンチとも言えない事をする。
まぁ、教えるのは僕で内容は我流なんだけど。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
彼女は予想の斜め上を行く
ケポリ星人
ファンタジー
仕事人間な女性医師、結城 慶は自宅で患者のカルテを書いている途中、疲れて寝ってしまう。
彼女が次に目を覚ますと、そこは……
現代医学の申し子がいきなり剣と魔法の世界に!
ゲーム?ファンタジー?なにそれ美味しいの?な彼女は、果たして異世界で無事生き抜くことが出来るのか?!
「Oh……マホーデスカナルホドネ……」
〈筆者より、以下若干のネタバレ注意〉
魔法あり、ドラゴンあり、冒険あり、恋愛あり、妖精あり、頭脳戦あり、シリアスあり、コメディーあり、ほのぼのあり。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~
星天
ファンタジー
幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!
創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。
『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく
はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる