15 / 16
第6話「パシストンのおたから」④
しおりを挟む
そんなクルルが今度こそと選んだのが、まさしく《キラキラ》光るネックレスでした。そこにたくさんぶらさがっている金属製の台座には、青や赤や緑色、色とりどりのガラスの玉がついています。クルルがそっと持ち上げると、入り口から差し込んだ光を反射して、小屋の中が万華鏡のように『キラキラ』と色づきました。もともと色のないクルルにとって、そのネックレスはとても魅力的なものに見えました。
「きっとこれだ!なんでさっきは気づかなかったんだろう」
クルルはネックレスを大事そうに抱きしめると、小屋の出口へ走りました。そして外に出るとまた、いまだパシストンをどうにかこうにかかわし続けるノーブルへ向かって、どうだと言わんばかりにネックレスを掲げました。
しかし、ノーブルの反応はまたしても予想とは違ったものでした。
「ああっ……そんな!確かに光っちゃいるが……」ノーブルは見るからにがっかりしています。
「おい!骨を返せ!」パシストンは相変わらず骨を取り戻すことに必死です。
もしかすると、また違うものを持ってきてしまったのかも。そう思ったクルルでしたが、今度は自信がありました。なのでもう一度よく見てもらおうと、ネックレスを掲げたまま、一羽と一匹に、一歩、また一歩と近づきました。
(きっと、さっきはよく見えなかったんだ。だってこんなに《キラキラ》したものなんて、他になかったもの)クルルはネックレスがなるべく光を受けるように、ネックレスをしゃらしゃらと揺らしてみました。しかし、これが間違いでありました。
「うん?」前を向いていたパシストンの耳が、クルルのいる後ろに向かってくるりと反転しました。内側の綺麗なピンク色が見えたことで、クルルもそのことに気づきました。
(あ!しまった……)
同時に気がついたノーブルもまた、パシストンの注意をそらそうとあわてて話しかけました。
「お、おいパシストン!もう、俺も怒ったぞ!こうなったらこいつは山ん中へだな…」そう言いながら、ノーブルはまた首を横へぶんぶんと振って、クルルへ戻るようにうながしました。しかし、自分を通りこして背後へ向けられた視線を、パシストンは今度は見逃しませんでした。
「おまえ、さっきからなんでそんなに後ろを気にして…」そう言いながら、パシストンがゆっくりと振り返りました。クルルは身がすくんで動けません。
「逃げろ!クルル!」ノーブルが叫びました。
我にかえったクルルはネックレスを抱えたまま逃げ出しました。その背をパシストンが追います。
「待て!」
「きっとこれだ!なんでさっきは気づかなかったんだろう」
クルルはネックレスを大事そうに抱きしめると、小屋の出口へ走りました。そして外に出るとまた、いまだパシストンをどうにかこうにかかわし続けるノーブルへ向かって、どうだと言わんばかりにネックレスを掲げました。
しかし、ノーブルの反応はまたしても予想とは違ったものでした。
「ああっ……そんな!確かに光っちゃいるが……」ノーブルは見るからにがっかりしています。
「おい!骨を返せ!」パシストンは相変わらず骨を取り戻すことに必死です。
もしかすると、また違うものを持ってきてしまったのかも。そう思ったクルルでしたが、今度は自信がありました。なのでもう一度よく見てもらおうと、ネックレスを掲げたまま、一羽と一匹に、一歩、また一歩と近づきました。
(きっと、さっきはよく見えなかったんだ。だってこんなに《キラキラ》したものなんて、他になかったもの)クルルはネックレスがなるべく光を受けるように、ネックレスをしゃらしゃらと揺らしてみました。しかし、これが間違いでありました。
「うん?」前を向いていたパシストンの耳が、クルルのいる後ろに向かってくるりと反転しました。内側の綺麗なピンク色が見えたことで、クルルもそのことに気づきました。
(あ!しまった……)
同時に気がついたノーブルもまた、パシストンの注意をそらそうとあわてて話しかけました。
「お、おいパシストン!もう、俺も怒ったぞ!こうなったらこいつは山ん中へだな…」そう言いながら、ノーブルはまた首を横へぶんぶんと振って、クルルへ戻るようにうながしました。しかし、自分を通りこして背後へ向けられた視線を、パシストンは今度は見逃しませんでした。
「おまえ、さっきからなんでそんなに後ろを気にして…」そう言いながら、パシストンがゆっくりと振り返りました。クルルは身がすくんで動けません。
「逃げろ!クルル!」ノーブルが叫びました。
我にかえったクルルはネックレスを抱えたまま逃げ出しました。その背をパシストンが追います。
「待て!」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
ずっと、ずっと、いつまでも
JEDI_tkms1984
児童書・童話
レン
ゴールデンレトリバーの男の子
ママとパパといっしょにくらしている
ある日、ママが言った
「もうすぐレンに妹ができるのよ」
レンはとてもよろこんだ
だけど……
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
フツーさがしの旅
雨ノ川からもも
児童書・童話
フツーじゃない白猫と、頼れるアニキ猫の成長物語
「お前、フツーじゃないんだよ」
兄弟たちにそうからかわれ、家族のもとを飛び出した子猫は、森の中で、先輩ノラ猫「ドライト」と出会う。
ドライトに名前をもらい、一緒に生活するようになったふたり。
狩りの練習に、町へのお出かけ、そして、新しい出会い。
二匹のノラ猫を中心に描かれる、成長物語。
あさはんのゆげ
深水千世
児童書・童話
【映画化】私を笑顔にするのも泣かせるのも『あさはん』と彼でした。
7月2日公開オムニバス映画『全員、片想い』の中の一遍『あさはんのゆげ』原案作品。
千葉雄大さん・清水富美加さんW主演、監督・脚本は山岸聖太さん。
彼は夏時雨の日にやって来た。
猫と画材と糠床を抱え、かつて暮らした群馬県の祖母の家に。
食べることがないとわかっていても朝食を用意する彼。
彼が救いたかったものは。この家に戻ってきた理由は。少女の心の行方は。
彼と過ごしたひと夏の日々が輝きだす。
FMヨコハマ『アナタの恋、映画化します。』受賞作品。
エブリスタにて公開していた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる