超神曼陀羅REBOOT

石動天明

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第十章 復活祭

第十一節 違法カジノの終焉

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 薄暗い廊下を、巨漢が歩いている。

 上半身は、裸だ。
 包帯を袈裟懸けにして胸を覆い、余ったもので腹の周りをぐるぐる巻きにしている。
 胸の包帯には血が滲んでいたが、男の歩みは力強かった。
 赤い髪の毛が逆立っている。

 ボーリング玉のような肩をいからせて歩く姿に出くわしたら、鬼と遭遇した気分になって、獲って喰われると思っても仕方がない。

 アミューズメントホテル“SHOCKER”――勝義会が経営している施設だ。
 元々はバブル景気の頃に建てられたホテルだったが、景気が傾いたと共に廃業し、その跡地を、当時クーデターによって出岡組の水門支部を乗っ取った紀田勝義が買い取ったものである。

 ホテルとして使われているのは、二階と三階、五階と六階で、四階と、九階までは、スナックやバー、キャバレー、ソープ、パチスロ、違法カジノなどになっている。

 最上階は勝義会の事務所となっており、紀田勝義が普段使っているオフィスと、彼専用の大浴場、応接間、そして拷問部屋となっている。

 雅人は、蛟と名乗る怪人に連れ去られた渋江杏子を取り戻す為、“SHOCKER”を再度訪れた。

 以前は、紀田勝義を呼び出す為に、エントランスでボーイの真似事をしていた勝義会の構成員に応対をしたが、今回はそんな事はしなかった。

 ボーイもどきのチンピラを殴って、紀田しか使えないエレベータで最上階までゆき、応接間やオフィスを荒らし回った後、拷問部屋を発見した。

 そこで、杏子を痛め付けていた男たちを倒し、紀田を探したのである。

 杏子には、同じ部屋でいたぶられた女――里中いずみ――と、一緒に、そこで待っているよう言って、雅人は九階に下りた。

 九階はソープ街になっており、部屋の内装が様々なシチュエーションに対応したものに改装されている。学校の教室だったり、会社のオフィスだったり、プールや電車の中を再現した部屋もあった。

 ソープ街の部屋は、中から鍵を掛けられるようになっている。その為か、部屋の前に立っている者はおらず、雅人は八階に下りた。

 八階はワンフロアが丸ごとカジノになっていた。当然、許可は取っていない。
 階段のすぐ横に、扉が造られており、二人の男が客を招き入れる。
 格好はそれらしくしているが、チンピラだ。
 客の方は、ドミノマスクなどを着用して、顔を隠している。

「よぉ」

 雅人は、警備員も兼ねたチンピラ二人に声を掛けた。
 その威容にぎょっとする二人。

「紀田さんはいるかい」
「き、だ」
「紀田勝義だよ。事務所にはいなかった。その中には、いるのかって訊いてるのさ。お前たちの飼い主の名前だよ」
「何をいきなり!」

 包帯に血を滲ませた巨漢――到底、堅気には見えない。
 ならば、池田組の鉄砲玉か!

 そのように判断したらしく、チンピラの一人は懐から拳銃を取り出した。
 雅人はそれより早く横蹴りを繰り出して、そのチンピラを壁に縫い付けてしまった。

「げっ」

 開いた口から、塊のような吸気をひり出すチンピラ。

 もう一人のチンピラも、遅ればせながら拳銃を引き抜こうとする。

 雅人は軸足で跳躍し、壁に押し付けた男の顔面を踏み抜いて、蹴り足で壁を垂直に駆け上がると、天井まで上り詰め、二人目の男の背中に足を乗せて押し潰した。

 巨漢のダイナミックな動きに、二人目のチンピラは反応出来ず、床に頭を打ち付けて気を失った。

 雅人はカジノへの扉を蹴破った。
 途端、大音量で流されるBGMが、ドアから廊下に吹き出して来る。
 パーティ会場に、様々なカジノゲームの台が設けられ、露出の高い衣装を着た女が、紳士ぶったエロ親父たちにチップやドリンクを配っている。

 中には、コンパニオンを褥に誘っている男も見られた。

 そんな二人が、出入り口にやって来ると、赤毛の巨漢と対峙する事になる。

「姉ちゃん、ここに紀田さんはいるかい」

 雅人は訊いた。
 乳房の先端を星のシールで隠し、恥丘くらいしか覆えない面積の下着を身に着けただけのコンパニオンは、困惑して雅人と自分を誘った中年男を見比べた。

「何だ、君は! そこを退け!」
「あんた、勝義会?」
「な、な、何を……」
「違うなら退いてろ。おい! 紀田! 紀田勝義はいるか‼」

 雅人は声を張り上げた。
 大音量のBGMに敗けない声量に、客やコンパニオンが顔を向ける。
 同時に、チンピラたちが一斉に駆け付けて来て、華やかなカジノは物々しい雰囲気に一変した。

「てめぇを潰しに地獄から戻ったぜ! さっさと出て来い糞野郎!」
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