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第69話 女神様とまたお話ししよう
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「あぁ、実際に見れて良かった! これなら姉と呼ばせたがるの分かりますね!」
「せっかく落としたお化粧を戻さなくても……魔法なのか神の奇跡なのか……無駄パワーですね」
家に戻った後、お風呂に入ってお化粧を落としたのに、女神様の力でまた化粧を戻され、カツラも被らされた。何故!?
そして今日はお菓子が食べたいとの事なので色々とお皿に盛ってみた。
女神様、気付かないうちに沢山用意してくれていたんですね。
「それはいいですからスー姉様と呼んでみなさい」
「スー? 女神様のお名前ですか?」
「そうです。 名乗ると長いので割愛しますが」
「そうなんですかー」
「知りたくないのですか?」
「長いのならば憶えきれないから結構です」
「あなたの女神の名前を憶えきれないと言うのは不敬ですよ!?」
「そんな事ないですよ? スー姉様」
「何か不本意です!」
ぷいっとされても女神様を姉様呼びするのはそれこそ不敬な気がしますけど!
「私がいる間は姉様呼びしないと今日の絵姿……写真をばら撒きますよ?」
やっぱり撮られていた!
机に広げられた枚数………百枚越えてますよね……。
「ちなみにこれは一部です」
「横暴な……分かりました。でも今日だけですからね! スー姉様!」
「うん……いいな。これはいい」
おせんべいをパリンと齧りながらうんうん、と頷いている。何がいいんだろうね。本当に。
「もう、それはいいとして教えてください。僕が魔法の発動に詠唱を不要としているのはこの世界では非常識になっていますよね?」
「本当は誰でも出来るはずなんですけどね。出来ないと思っているから出来ないんです」
「おかしな言い回しですが、本来は詠唱は不要なんですね?」
「ニコはラノベが好きだったから知っていると思いますが?」
「使用する魔法の現象に関わる過程や事象を思い描ければ、ですかね?」
「そうですね。ニコは前世で学んだ理科や化学の知識があるから使えるのです」
飲水は雨が降って地中や川に流れて来たもの、とまではこの世界の人は理解しているけれど、その雨の元が川や海が蒸発した水分である事は理解出来ていない。
「そうですね。火もなぜ燃えるのかなんて考える人は少ないです」
「魔法と精霊の存在があるからですね」
「そうです。当然、研究をしている者もいますが少数なのであまり進んでいないのです」
僕が教えれば一気に変わると思うけれど。僕自身の理解も浅いだろう。
「そうですね。浅いですね。水溜りレベルです」
「水溜り……あぁ、それでドリルですね」
「さすがニコ、理解が早いくていいですね」
まだ高校のドリル?までレベルが到達していなかった。進めたいな。
女神様は満面の笑顔で焼き菓子をパクリ。
「今日もアドバイスしておきましょうか」
そしてお茶を啜る。熱めに淹れたけれど平気そうだ。さすがです。
「現時点でニコの力はこの大陸では上位にいます」
「不穏な事を……でもトップでは無いのですね」
「そうですね。トップになりたいですか?」
「そんな野心はないですよ? 平穏無事が一番です!」
「相変わらずですね。そんなニコは対等以上の相手に出会います」
「戦う……のですか?」
争いは嫌だな。
「それはニコ次第ですよ」
「それでは平和的に進められる努力をします!」
ムン!っと意気込むけど
「ニコは本当に迫力が出ないですね」
「平和的に、と言っているので迫力は不要です!」
「それはよいとして」
スルーですか!
「勇者パーティーの帰還はおおよそ五日後です」
「よいアドバイスありがとうございます。スー姉様!」
「ようやく呼んでくれた!」
待っていたんですね。スー姉様。
「心で呼ばないで声に出してください!」
「はい。スー姉様、いつもありがとう」
「敬語じゃない方が親しみが出ていいな!これからも敬語無しでいいですよ」
「不敬過ぎる! 今日だけだからね!」
ブーって顔しながらカヌレを食べて……カヌレなんてあったんだ。
「取っておきです!」
そうですか。
おそらく勇者が戻ってきたら一緒にミリア様の件を終息させる旅に出る。
五日間はドリルに時間を当てレベルをあげよう。
「それが一番でしょう……おや?」
スー姉様の「おや?」なんて言葉は珍しい。女神様でも不測の事態ってあるんですかね?
「ニコ……まあ、いいです」
やれやれ、という顔で煎餅を咥える。
「あなたは本当に周りを見ていないです。甘いものの後は塩っぱいのが食べたくなりますね」
見ていない……スキル『索「バンッ!」て「こんばんはニコ!」き』……って
「ケイト!」
扉を開けて……鍵はかけたはずなのに!?
「会いに来たよ! あ、ニコすっごい可愛い! って……このお姉さんは……誰?」
来て早々、目を輝かせたり睨んだり忙しいね!
って、どう説明すればいいんだろう!?
「女神様です!」
ビシッとポーズを取って名乗らないで! しかも煎餅を片手に!!
「スー姉様!!」
「お姉さん?」「姉妹です!」
……収拾つくよね!?
「せっかく落としたお化粧を戻さなくても……魔法なのか神の奇跡なのか……無駄パワーですね」
家に戻った後、お風呂に入ってお化粧を落としたのに、女神様の力でまた化粧を戻され、カツラも被らされた。何故!?
そして今日はお菓子が食べたいとの事なので色々とお皿に盛ってみた。
女神様、気付かないうちに沢山用意してくれていたんですね。
「それはいいですからスー姉様と呼んでみなさい」
「スー? 女神様のお名前ですか?」
「そうです。 名乗ると長いので割愛しますが」
「そうなんですかー」
「知りたくないのですか?」
「長いのならば憶えきれないから結構です」
「あなたの女神の名前を憶えきれないと言うのは不敬ですよ!?」
「そんな事ないですよ? スー姉様」
「何か不本意です!」
ぷいっとされても女神様を姉様呼びするのはそれこそ不敬な気がしますけど!
「私がいる間は姉様呼びしないと今日の絵姿……写真をばら撒きますよ?」
やっぱり撮られていた!
机に広げられた枚数………百枚越えてますよね……。
「ちなみにこれは一部です」
「横暴な……分かりました。でも今日だけですからね! スー姉様!」
「うん……いいな。これはいい」
おせんべいをパリンと齧りながらうんうん、と頷いている。何がいいんだろうね。本当に。
「もう、それはいいとして教えてください。僕が魔法の発動に詠唱を不要としているのはこの世界では非常識になっていますよね?」
「本当は誰でも出来るはずなんですけどね。出来ないと思っているから出来ないんです」
「おかしな言い回しですが、本来は詠唱は不要なんですね?」
「ニコはラノベが好きだったから知っていると思いますが?」
「使用する魔法の現象に関わる過程や事象を思い描ければ、ですかね?」
「そうですね。ニコは前世で学んだ理科や化学の知識があるから使えるのです」
飲水は雨が降って地中や川に流れて来たもの、とまではこの世界の人は理解しているけれど、その雨の元が川や海が蒸発した水分である事は理解出来ていない。
「そうですね。火もなぜ燃えるのかなんて考える人は少ないです」
「魔法と精霊の存在があるからですね」
「そうです。当然、研究をしている者もいますが少数なのであまり進んでいないのです」
僕が教えれば一気に変わると思うけれど。僕自身の理解も浅いだろう。
「そうですね。浅いですね。水溜りレベルです」
「水溜り……あぁ、それでドリルですね」
「さすがニコ、理解が早いくていいですね」
まだ高校のドリル?までレベルが到達していなかった。進めたいな。
女神様は満面の笑顔で焼き菓子をパクリ。
「今日もアドバイスしておきましょうか」
そしてお茶を啜る。熱めに淹れたけれど平気そうだ。さすがです。
「現時点でニコの力はこの大陸では上位にいます」
「不穏な事を……でもトップでは無いのですね」
「そうですね。トップになりたいですか?」
「そんな野心はないですよ? 平穏無事が一番です!」
「相変わらずですね。そんなニコは対等以上の相手に出会います」
「戦う……のですか?」
争いは嫌だな。
「それはニコ次第ですよ」
「それでは平和的に進められる努力をします!」
ムン!っと意気込むけど
「ニコは本当に迫力が出ないですね」
「平和的に、と言っているので迫力は不要です!」
「それはよいとして」
スルーですか!
「勇者パーティーの帰還はおおよそ五日後です」
「よいアドバイスありがとうございます。スー姉様!」
「ようやく呼んでくれた!」
待っていたんですね。スー姉様。
「心で呼ばないで声に出してください!」
「はい。スー姉様、いつもありがとう」
「敬語じゃない方が親しみが出ていいな!これからも敬語無しでいいですよ」
「不敬過ぎる! 今日だけだからね!」
ブーって顔しながらカヌレを食べて……カヌレなんてあったんだ。
「取っておきです!」
そうですか。
おそらく勇者が戻ってきたら一緒にミリア様の件を終息させる旅に出る。
五日間はドリルに時間を当てレベルをあげよう。
「それが一番でしょう……おや?」
スー姉様の「おや?」なんて言葉は珍しい。女神様でも不測の事態ってあるんですかね?
「ニコ……まあ、いいです」
やれやれ、という顔で煎餅を咥える。
「あなたは本当に周りを見ていないです。甘いものの後は塩っぱいのが食べたくなりますね」
見ていない……スキル『索「バンッ!」て「こんばんはニコ!」き』……って
「ケイト!」
扉を開けて……鍵はかけたはずなのに!?
「会いに来たよ! あ、ニコすっごい可愛い! って……このお姉さんは……誰?」
来て早々、目を輝かせたり睨んだり忙しいね!
って、どう説明すればいいんだろう!?
「女神様です!」
ビシッとポーズを取って名乗らないで! しかも煎餅を片手に!!
「スー姉様!!」
「お姉さん?」「姉妹です!」
……収拾つくよね!?
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