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第46話 薬草も採取したから戻ろう
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自分の分だけパスタを作ってキッチンで食べる。
一つだけあったトリュフのソース……最高!
……でも、入れた覚えが無い。また女神様かな?
お皿を片付けて自分も席に着くと二人は意気投合したのか話しをしていた。
「二人で何を話していたのですか?」
「ニコの情報を共有していただけだが?」
「フレ姉、キリッとして言われても僕は恥ずかしいだけなんだけれど!?」
「大丈夫、問題ない。私もフレイアと同じく『シェリ姉』と呼ぶのだぞ?」
「また姉が増えた!? いいですよ……シェリ姉さま!」
「……「さま」は要らないのだが……それはそれで……いい!」
またガバッ!って来ようとしたのをフレ姉が押さえた。ナイスセーブ!
「……フレイアは邪魔だな」
二人共、身体能力が高い。僕の周りの人は殆どだけど。
「シェリ姉も強いですよね?」
「ん? 体力や腕力はフレイアの方が断然上だろう。だが魔力では負けん」
フレ姉は「断然上」と言われて鼻が高そうだ。
「魔力が高いのは瘴気と関係があるの?」
気になったので聞いてみた。
「そう言われている。魔族は瘴気を吸収して魔力に変えているのは間違いない。お前たち人族にとっては毒だがな」
同じ「人間」。だから僕たちは「人族」か。
「やはり角が関係してるのか?」
フレ姉も気になっていたようだ。
「可能性は大いにあるが角が折れて無くても大丈夫なのだ。それにまた生えてくるしな」
「再生するんだね」
硬そうな角なのにすごいね。
「うむ。瘴気の濃い場所だとすぐに生えて、逆に薄い場所だと時間がかかる」
「噂では角が折れて無い時は魔法を使えないと聞いたことがあるな。実際は弱まるだけだろう?」
フレ姉もよく知っているね。
「その通り。弱まるだけで使えなくなるわけでもないな」
弱まる……それは……。
「……魔族が弱くなっても今の研究は止めないのだな?」
フレ姉は僕も思っていた事を言った。
「うむ。瘴気があっても良い事は無いからな」
「そうか……まだまだかかりそうだな」
「うむ。五年でこの程度だからな。気長に行うさ」
「充分……成果は出ている」
「そうか……それならうれしい」
「シェリ姉はすごいね! 尊敬するよ!」
「そうか……ニコ……!!」
ドカッ!……シェリ姉はフレ姉と僕をギュッとしてきた。
「二人とも、ありがとう」
そろそろ帰る準備を始める。
僕がウリューズの背に荷物を固定している間、二人が話しているのが聞こえる。
「そういえば、何故こんな何も無い場所で研究をしているのだ?」
僕のスキルでもこの周辺は誰もいないし、何も無い。
「……ここで初めてニコに会ったんだ。その時にここで魔瘴華が生えている事に気が付いてな」
「験担ぎか」
「それと、王都だと邪魔をされるのは分かっているからな」
「なるほど。それは有り得る」
「私は『瞬間移動』が使えるからあっという間だから場所は関係ないしな」
「それは便利そうだな!」
「数人ならば一緒に移動出来るから今度、王都に連れて行ってやろう。ニコは外せないがな」
「そうだな。ニコと一緒に案内してくれ」
「その日を楽しみにしているぞ」
仲が良くなってよかった。
「そういえば以前、私もまだ子供だった頃だ。魔族領から外交で我が国に来たお姫様がいてな」
「あぁ、私もフレイアの食べっぷりを見て思い出したよ」
「やはりか。あの時、どちらがケーキを食べられるか競争したのがシェリアだったとはな」
「あの時は父達に止められて引き分けになったが、今度はそうはいかないぞ」
「……再戦か。望むところだ」
そんな因縁もあったのか……可愛らしい?争いならいいか!
そして出発。
シェリ姉に抱きつかれながら「絶対にまた来るのだぞ!」「絶対に来るよ!」を離してもらえるまで何度も繰り返した。気持ちはとてもうれしい。
暗くなる前に着きたいので休憩せずに飛び続け、夕方には戻ってこれた。
発着場に着き、ウリューズの背から降りる。
ありがとう、と声をかけたら返事かな? 嬉しそうな声を上げてくれた。
隊員さんにコートや飛行帽を次の機会にと預かってもらった。
フレ姉も降りて指示を出した後、僕に近寄ってきた。
「フレ姉、今日はありがとう!」
お辞儀をする。本当に感謝だ。
「ニコの為ならこれくらいはお安い御用だ」
「安くないよ……隊員さんなんだから」
「あぁ……安くはないな」
「では、今度、たくさん恩返しさせてもらいますね!」
「楽しみにしているぞ」
「わかった。フレ姉!」
隊員さんも多いから今はあっさり。
でも、僕の頭を撫でて手を振りながら去っていく姿は本当の姉に思えた。
前世で姉はいなかったけどね。
急いで納品に行こう。
一つだけあったトリュフのソース……最高!
……でも、入れた覚えが無い。また女神様かな?
お皿を片付けて自分も席に着くと二人は意気投合したのか話しをしていた。
「二人で何を話していたのですか?」
「ニコの情報を共有していただけだが?」
「フレ姉、キリッとして言われても僕は恥ずかしいだけなんだけれど!?」
「大丈夫、問題ない。私もフレイアと同じく『シェリ姉』と呼ぶのだぞ?」
「また姉が増えた!? いいですよ……シェリ姉さま!」
「……「さま」は要らないのだが……それはそれで……いい!」
またガバッ!って来ようとしたのをフレ姉が押さえた。ナイスセーブ!
「……フレイアは邪魔だな」
二人共、身体能力が高い。僕の周りの人は殆どだけど。
「シェリ姉も強いですよね?」
「ん? 体力や腕力はフレイアの方が断然上だろう。だが魔力では負けん」
フレ姉は「断然上」と言われて鼻が高そうだ。
「魔力が高いのは瘴気と関係があるの?」
気になったので聞いてみた。
「そう言われている。魔族は瘴気を吸収して魔力に変えているのは間違いない。お前たち人族にとっては毒だがな」
同じ「人間」。だから僕たちは「人族」か。
「やはり角が関係してるのか?」
フレ姉も気になっていたようだ。
「可能性は大いにあるが角が折れて無くても大丈夫なのだ。それにまた生えてくるしな」
「再生するんだね」
硬そうな角なのにすごいね。
「うむ。瘴気の濃い場所だとすぐに生えて、逆に薄い場所だと時間がかかる」
「噂では角が折れて無い時は魔法を使えないと聞いたことがあるな。実際は弱まるだけだろう?」
フレ姉もよく知っているね。
「その通り。弱まるだけで使えなくなるわけでもないな」
弱まる……それは……。
「……魔族が弱くなっても今の研究は止めないのだな?」
フレ姉は僕も思っていた事を言った。
「うむ。瘴気があっても良い事は無いからな」
「そうか……まだまだかかりそうだな」
「うむ。五年でこの程度だからな。気長に行うさ」
「充分……成果は出ている」
「そうか……それならうれしい」
「シェリ姉はすごいね! 尊敬するよ!」
「そうか……ニコ……!!」
ドカッ!……シェリ姉はフレ姉と僕をギュッとしてきた。
「二人とも、ありがとう」
そろそろ帰る準備を始める。
僕がウリューズの背に荷物を固定している間、二人が話しているのが聞こえる。
「そういえば、何故こんな何も無い場所で研究をしているのだ?」
僕のスキルでもこの周辺は誰もいないし、何も無い。
「……ここで初めてニコに会ったんだ。その時にここで魔瘴華が生えている事に気が付いてな」
「験担ぎか」
「それと、王都だと邪魔をされるのは分かっているからな」
「なるほど。それは有り得る」
「私は『瞬間移動』が使えるからあっという間だから場所は関係ないしな」
「それは便利そうだな!」
「数人ならば一緒に移動出来るから今度、王都に連れて行ってやろう。ニコは外せないがな」
「そうだな。ニコと一緒に案内してくれ」
「その日を楽しみにしているぞ」
仲が良くなってよかった。
「そういえば以前、私もまだ子供だった頃だ。魔族領から外交で我が国に来たお姫様がいてな」
「あぁ、私もフレイアの食べっぷりを見て思い出したよ」
「やはりか。あの時、どちらがケーキを食べられるか競争したのがシェリアだったとはな」
「あの時は父達に止められて引き分けになったが、今度はそうはいかないぞ」
「……再戦か。望むところだ」
そんな因縁もあったのか……可愛らしい?争いならいいか!
そして出発。
シェリ姉に抱きつかれながら「絶対にまた来るのだぞ!」「絶対に来るよ!」を離してもらえるまで何度も繰り返した。気持ちはとてもうれしい。
暗くなる前に着きたいので休憩せずに飛び続け、夕方には戻ってこれた。
発着場に着き、ウリューズの背から降りる。
ありがとう、と声をかけたら返事かな? 嬉しそうな声を上げてくれた。
隊員さんにコートや飛行帽を次の機会にと預かってもらった。
フレ姉も降りて指示を出した後、僕に近寄ってきた。
「フレ姉、今日はありがとう!」
お辞儀をする。本当に感謝だ。
「ニコの為ならこれくらいはお安い御用だ」
「安くないよ……隊員さんなんだから」
「あぁ……安くはないな」
「では、今度、たくさん恩返しさせてもらいますね!」
「楽しみにしているぞ」
「わかった。フレ姉!」
隊員さんも多いから今はあっさり。
でも、僕の頭を撫でて手を振りながら去っていく姿は本当の姉に思えた。
前世で姉はいなかったけどね。
急いで納品に行こう。
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