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第44話 竜に乗って薬草採取に向かおう
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「どうだ、私の騎竜『ウリューズ』だ」
前世の知識では竜の中でも小型だったはず。でも近付くとかなり大きい。
「赤銅色でとても綺麗です!」
「そうだろう! やはり分かっているな。ニコ!」
とても満足そうだ。褒めてよかった。
ウリューズは背を低くして乗りやすい姿勢で待っている。
それでも高いので木製のタラップが設置されていた。
首を曲げて僕を見ている。誰が乗るのか気になっているのかな?
「隊長さん、乗る前にウリューズに声をかけても良いですか?」
「そうだな。顔の方に近付いて声をかけてあげてくれ」
顔に近付く。
「ウリューズ、今日から数日だけどよろしくね」
何か言いたげな顔に見えるけれど問題ないと受け取っておこう。
鞍はタンデム仕様のようだ。その後ろに武器と荷物が載せられている。キャンプに向かうオートバイみたいだ。
「ニコは、後ろに座れ。落ちないように固定ができるからな」
僕はタラップを使い、鞍の後ろ前に座ると隊長が安全ベルトらしき革ベルトを腰に巻いてくれた。
そして前に隊長が座ると自身も固定をした。
手綱が無い。方向の指示はどうしているのだろう? 疑問を投げかける。
「言葉で指示するから手綱は必要無いんだ。他の竜騎士は使っている者も多いがな。無理やり従わせている感じは嫌いだ」
やはり優しい。
タラップが移動され、ウリューズが立ち上がる。そろそろ出発だ。
下を見下すとここが竜の離着陸する場所だった事が分かる。
周囲の地面は広範囲に固められていて、先の方には防護柵が設置されていた。
「では、行くぞ。ゴーグルを着けろ。安定するまでは私に掴まれ」
ゴーグルを下げて隊長の腰に腕を回す。
「これだ……これを待っていんだ!」
待っていた? 飛び立つ事をかな?
助走をつける事も無く、数回の羽ばたきで空に舞い上がった。
巻き上がる風よりも重力を感じた。
数メートル下でサポートをしてくれた隊員さん達が敬礼をしている。
隊長さんも返礼し、僕は隊員ではないので手を振る。何人かが振り返してくれた。隊長さんからは「手は離すな」と怒られた。危ないからだよね。
城壁の高さも越えて雲が近く見える程まで昇ると北に飛び始めた。
速度を上げているので風は強いけれど揺れはほとんど無い。
街の西南から飛び立ったので街を見下ろせた。
やはり外周の一般市民の区域は雑多、でも一部は整えられており、貴族の住む区域は整っていた。その中心に建つお城は全体が白くて威厳を感じる。行く事はないけれど。
想定では行きに馬車で三日かかる予定だったけれどこれならばすぐにでも到着できそうだ。
街道に暫く沿って飛ぶ。小さな町のそばを通過した。怖くないのか子供が手を振ってきたりしていている。
深そうな森が見えてきた。
そうだ。スキル『索敵』を使っておこう。使えば持続して使えるのは有り難い。
森の中はかなり赤い反応が見える。馬車じゃなくてよかった。
森の先は山々が見えてくる。どれも標高は高そうだ。
山の合間を縫うように進む。
至る所に危害を加えようとする魔獣の反応はあるが、竜だと分かり、恐れをなして逃げていくようだ。おかげで危険も無く、山を超えた。
その先は森の緑が徐々に減っていき、木々もまばらになっていく。
魔族領なのだろう。
ここまで一時間少々で着いてしまった。目的地はまだ少し距離があるけれどさすがに早い。
隊長さんがこちらを見て下を差す。一度着陸するようだ。
速度を落とし、フワリと着陸する。
「ニコ、ご苦労。疲れなかったか?」
僕は隊長さんに掴まっていただけだ。
「いえ!僕は隊長さんにギュってしていただけなので疲れませんでした」
「そうだな。ずっとギュってされていたな。私は至福だった」
しふく? 私服? 制服なのに? 灸なあまり普段着を持っていない宣言なのかな!? 今度、お礼に服をプレゼントしようかな。
「ここから先は人間には毒になる瘴気も漂っている事があるからマスクをつけよう」
ウリューズの背中の荷物から皮のマスク? を出して渡された。
魔鉱石で浄化される仕組みと思われる。
竜は大丈夫らしい。
ご飯にはまだ早いので再び飛び立つ。
魔族領……『ニコ』のメモによると人間とは魔族が治める領域で、この大陸の北方を広く領土としており、国王ではなく魔王が統治している。
特に敵対もしていないので交流はあるが、存在をこころよく思わない人間がいる為、稀に争いが起きている。
魔族は魔法に長けている事と角が生えている以外は違いが無いらしい。
人種差別的な事があるのは許せないな。
「まるいひつじ亭」に出入りしている人達は概ね友好的な考えの持ち主ばかりだ。
僕はまだ会った事がないので出会ってみたいと少し思っている。
また少しだけ飛ぶと『方向感覚』と『索敵』のスキルを重ねて起動していたら目的の薬草の反応が現れた。
隊長さんにゼスチャーで方向を指示して向かう。
思ったより早く採取できそうでよかった。
前世の知識では竜の中でも小型だったはず。でも近付くとかなり大きい。
「赤銅色でとても綺麗です!」
「そうだろう! やはり分かっているな。ニコ!」
とても満足そうだ。褒めてよかった。
ウリューズは背を低くして乗りやすい姿勢で待っている。
それでも高いので木製のタラップが設置されていた。
首を曲げて僕を見ている。誰が乗るのか気になっているのかな?
「隊長さん、乗る前にウリューズに声をかけても良いですか?」
「そうだな。顔の方に近付いて声をかけてあげてくれ」
顔に近付く。
「ウリューズ、今日から数日だけどよろしくね」
何か言いたげな顔に見えるけれど問題ないと受け取っておこう。
鞍はタンデム仕様のようだ。その後ろに武器と荷物が載せられている。キャンプに向かうオートバイみたいだ。
「ニコは、後ろに座れ。落ちないように固定ができるからな」
僕はタラップを使い、鞍の後ろ前に座ると隊長が安全ベルトらしき革ベルトを腰に巻いてくれた。
そして前に隊長が座ると自身も固定をした。
手綱が無い。方向の指示はどうしているのだろう? 疑問を投げかける。
「言葉で指示するから手綱は必要無いんだ。他の竜騎士は使っている者も多いがな。無理やり従わせている感じは嫌いだ」
やはり優しい。
タラップが移動され、ウリューズが立ち上がる。そろそろ出発だ。
下を見下すとここが竜の離着陸する場所だった事が分かる。
周囲の地面は広範囲に固められていて、先の方には防護柵が設置されていた。
「では、行くぞ。ゴーグルを着けろ。安定するまでは私に掴まれ」
ゴーグルを下げて隊長の腰に腕を回す。
「これだ……これを待っていんだ!」
待っていた? 飛び立つ事をかな?
助走をつける事も無く、数回の羽ばたきで空に舞い上がった。
巻き上がる風よりも重力を感じた。
数メートル下でサポートをしてくれた隊員さん達が敬礼をしている。
隊長さんも返礼し、僕は隊員ではないので手を振る。何人かが振り返してくれた。隊長さんからは「手は離すな」と怒られた。危ないからだよね。
城壁の高さも越えて雲が近く見える程まで昇ると北に飛び始めた。
速度を上げているので風は強いけれど揺れはほとんど無い。
街の西南から飛び立ったので街を見下ろせた。
やはり外周の一般市民の区域は雑多、でも一部は整えられており、貴族の住む区域は整っていた。その中心に建つお城は全体が白くて威厳を感じる。行く事はないけれど。
想定では行きに馬車で三日かかる予定だったけれどこれならばすぐにでも到着できそうだ。
街道に暫く沿って飛ぶ。小さな町のそばを通過した。怖くないのか子供が手を振ってきたりしていている。
深そうな森が見えてきた。
そうだ。スキル『索敵』を使っておこう。使えば持続して使えるのは有り難い。
森の中はかなり赤い反応が見える。馬車じゃなくてよかった。
森の先は山々が見えてくる。どれも標高は高そうだ。
山の合間を縫うように進む。
至る所に危害を加えようとする魔獣の反応はあるが、竜だと分かり、恐れをなして逃げていくようだ。おかげで危険も無く、山を超えた。
その先は森の緑が徐々に減っていき、木々もまばらになっていく。
魔族領なのだろう。
ここまで一時間少々で着いてしまった。目的地はまだ少し距離があるけれどさすがに早い。
隊長さんがこちらを見て下を差す。一度着陸するようだ。
速度を落とし、フワリと着陸する。
「ニコ、ご苦労。疲れなかったか?」
僕は隊長さんに掴まっていただけだ。
「いえ!僕は隊長さんにギュってしていただけなので疲れませんでした」
「そうだな。ずっとギュってされていたな。私は至福だった」
しふく? 私服? 制服なのに? 灸なあまり普段着を持っていない宣言なのかな!? 今度、お礼に服をプレゼントしようかな。
「ここから先は人間には毒になる瘴気も漂っている事があるからマスクをつけよう」
ウリューズの背中の荷物から皮のマスク? を出して渡された。
魔鉱石で浄化される仕組みと思われる。
竜は大丈夫らしい。
ご飯にはまだ早いので再び飛び立つ。
魔族領……『ニコ』のメモによると人間とは魔族が治める領域で、この大陸の北方を広く領土としており、国王ではなく魔王が統治している。
特に敵対もしていないので交流はあるが、存在をこころよく思わない人間がいる為、稀に争いが起きている。
魔族は魔法に長けている事と角が生えている以外は違いが無いらしい。
人種差別的な事があるのは許せないな。
「まるいひつじ亭」に出入りしている人達は概ね友好的な考えの持ち主ばかりだ。
僕はまだ会った事がないので出会ってみたいと少し思っている。
また少しだけ飛ぶと『方向感覚』と『索敵』のスキルを重ねて起動していたら目的の薬草の反応が現れた。
隊長さんにゼスチャーで方向を指示して向かう。
思ったより早く採取できそうでよかった。
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