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第41話 中学1年のドリルにチャレンジしよう

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 結局、「まるいひつじ亭」で早い昼食をして満腹の苦しいまま、自宅に帰る。


 お昼寝をしたい気持ちを抑えて、地下室で明後日の準備をする。不足している物が無いか確認した。まだ、お昼過ぎ。ドリルを進めよう!

 依頼もまだまだ溜まっているけれど、明日マスターに事情を説明して待ってもらうようにしよう。

 リビングに戻りテーブルに着く。

 スキル『学習ドリル』……何となく久しぶりな気がする。

 まずは中学一年の「国語」から。

 
漢字を書く問題がも少し難しくなったがまだ大丈夫。

 小説や随筆の文章を読み解く問題も何とかなる。でも、僕の読み込みが足りないせいか主人公の気持ちを記せ、等のニュアンスを問われる問題は正解は分かるのだけれど本当に合っているか悩んでしまう。「主人公さん、本当にその理由で悲しんでいるの?」なんて深読みしてしまう。

 故事やことわざは選択式だった。漢字が書けないものも多かったから助かった!
 「四面楚歌」や「烏合の衆」は書けるけれど「塞翁が馬」? 「臥薪嘗胆」?  とてもじゃないけれど書けないよ!?

 終わって採点されると数問、間違っていた。
 やり直したいと思ったけれど合格?であれば今はいい。


 少しだけ休憩して次に中学一年「数学」に挑戦。

 プラスやマイナスの計算や方程式はまだ簡単なレベルだ。
 表を読み解いての計算問題も少しだけ引っかかりそうだけど大丈夫。
 図形問題も平面と立体の計算。立体の影になっている部分の面積計算が少しだけ引っかかった。見直して良かった。

 「数学」は見直したおかげで満点花丸だった。見直し大事!

 次に……もう夜になってたので止めよう。
 思った以上に時間がかかっていたみたい。

 『ステータス』


****************************
ニコ(谷中 虹琥)
Lv.1042
16歳

<スキル>
神との交信(トータルレベルx10秒)
学習ドリル Lv.26→国語(中学2年まで)
          数学(中学2年まで)
          地理(中学1年まで)
          歴史(中学1年まで)
          理科(中学1年まで)
          英語(中学1年まで)
識字 Lv.7(大陸内の文字は読める。古代文字もある程度読める)
会話 Lv.7(大陸内の会話ができる。人型の生物であればある程度の会話ができる)
思考加速 Lv.6(任意で1時間、通常の100%の思考能力が向上)
並列思考 Lv.1(もう1人分の思考が可能)
心眼 Lv.6(音速程度は目で捉えられる。自動で危険を避ける)
方向感覚 Lv.5(自分を起点に半径1km以内であれば道に迷わない)
索敵 Lv.1(半径1km内の危険を察知できる。位置もわかる)
鑑定 Lv.5(おおよそのものならば詳細も分かる)
魔法→火属性 Lv.5(中級魔法が使える)
   水属性 Lv.5(中級魔法が使える)
   地属性 Lv.5(中級魔法が使える)
   風属性 Lv.5(中級魔法が使える)
聖魔法→回復 Lv.1(軽度の傷や病気を回復できる)
****************************


 順調に上がっているけれど『会話』の「人型の生物であればある程度の会話ができる」はどんな生き物なのだろう。魔獣にもいるのかな? 人型。

 そして『心眼』の「自動で危険を避ける」は身を守れる手段だからこれは嬉しい!

 他も上がったらどうなるんだろうと思うけれど、我慢! また明日にしよう!!

 今日は自炊しよう。何を作ろうかな?

 冷蔵庫を開ける。

 
 冷蔵庫に栄養ドリンクって……女神様、「回復」があるから大丈夫ですよ!?



 翌日、「まるいひつじ亭」に向かう。
 栄養ドリンクが効いているのかとても快調だ。

 朝ごはんは軽くしてほしいとお願いしてなんとかパンケーキ十枚で済んだ。
 お願いしなければどれだけ出されたのかちょっと怖い。

 マスターに明日からデムスさんの依頼を優先したいと伝えたら、すぐに了承を頂けた上に他の依頼人達は待てるので大丈夫との事だった。理解のある人達が多くていいなぁ。

 そう言えばご飯を食べている時にまた軍服の女性が来た、と聞いた。
 隊長さんか……店員さんに警備隊の隊長が今日来るようだったら僕が夜に来ると伝えてもらうようにお願いした。店員さんは容姿を伝えなくても隊長さんの事を知っているようだった。さすが人気店だね!

 そして、アーカムさんに連れられて公爵邸に伺う。

 今日はデムスさんは用があるからとお店に不在だったが、昨日のうちに公爵様とアーカムさんには報告されていた。

 今日は公爵様に連れられミリア様の元に見舞いに部屋へ伺う。

 今日は女性が一人いた。真っ白いローブを着ている。

 あれ?以前、勇者と一緒にいた女性だ。
 勇者の存在というインパクトのおかげで記憶に残っていた。

「彼女が聖女様だよ」

 公爵様が教えてくれた。

「ニコ、お久しぶりですね」


 そうか。『ニコ」は以前、勇者パーティーの依頼を請けていたんだ。

「ニコ、旧知だったか」

 公爵様は知らなかったようだ。

 このまま会話を進めるのは怖い。

 『鑑定』!

>モーリー:聖女。勇者パーティーメンバー。目立たない風貌だが聖なる力は当代イチと言われる。

 ……やはりすごい人のようだ。

「はい。以前、ご一緒させて頂きました。お久しぶりです。聖女様」

 少し前に会ってますけどね。お話ししていないので。

「聖女様呼びは止めて欲しいと言いましたよね? ニコ」

 にこやかに忠告を受ける。

「そうでした。モーリーさん!」

 今の僕はその約束知らなくてごめんなさい…… 

「「さん」も不要ですが……いいでしょう」

 何か許されたようで良かった。

 そして今日もミリア様はベッドの上で上半身だけ起こしていた。

「ミリア様、おはようございます。調子はいかがですか?」
「ニコ。おはようございます。お陰様で具合はとても良いです」

 笑顔なのが救いだ。早く治してあげたい。

「ニコ、聞いたのですがあなたの癒やしの力を見せて頂けますか?」

 聖女様、気になりますよね。
 隠しようも無いので「分かりました」と返事をする。

 アーカムさんが差し上げた『神輝石』を持ってきた。
 なにやら立派な箱に納められていた。

 「では、ミリア様、宜しいですか?」

 重ねがけはどうなるのか分からないけれど。


 ミリア様の手を取り『神輝石』の上に乗せ、その上に僕の手を被せる。


「昨日、モーリーさんも来られていると聞きました」
「はい。私では治せなかったので少しでもお側にいてお役に立ちたいとお見舞いに伺っております」

 その心持ちはさすが聖女様ですね。

「そうですか……モーリーさんから見て現在のお嬢様の容態はいかがですか?」

 スキル『回復』


 今回も爆発したような眩い光を放ち、ミリア様に吸い込まれていく。

 前回より肌の赤みが増して健康そうに見えた。これで治ればいいのにな。

 そうだ、『鑑定』

>ミリア・シュバリア;公爵家長女。二年前より病(実際は氷の呪い)で伏せっていたが現在は抑えられている。(発症まであと二十一日)

 あ、再発までの日数が表示されている。やはり三週間か……急がなきゃ。

「モーリーさん、終わりました」

 聖女様は黙って僕を見ていた。

「ニコ。あなたの回復は教会のものと違いますね」
「そうなんですか?」

 神聖魔法なのに!?

「ええ。私達が使う「癒やし」とは違う力です」

 違う力……って何が違うのだろう。

「教会を始めとした聖者の力は徐々に効き始めます。ですがあなたのは急激過ぎるのです」
「聖者の力は魔法では無いのですか?」

「はい。神のご加護が私達の力の源となります。祈りながら回復や解毒、解呪には時間がかかります」

 何か唱える必要があるのですね。

「ですが、ニコは何も唱えていないので魔法だと思われます」

 「祈り」と「魔法」の違い……僕のスキルも女神様から頂いた力ですけどね

「そうなんですね。最近使えるようになったばかりなのでよく分かっていないのです」

 大事になるかな? 誤魔化せないかな?

「そうしますと、何に効いているか不明な力ですよね?」
「はい。自分に使っても疲れが取れたくらいしか感じませんでした!」
「そうですか……ミリア様を治すにはあなたの力が必要不可欠と思います。他言はしないのでミリア様を治してくださいね」

 聖女様、見逃す方向ですね! 助かります。

「別にニコをどうこうしようとは思っていませんよ?」

 心を読まれた!? 女神様みたい!

「顔にとてもよく書いてありますよ?」

 笑われた! でも、ミリア様も笑っているからいいか。

「でも、絶対にミリア様を完全に治してさし上げたいので頑張ります!」
「では、完治する瞬間に立ち会いたいのでその時は声をかけてくださいね」
「お声掛けさせて頂きます」

 アーカムさんが返答された。

 聖女様は満足げな笑みを浮かべ、ミリア様を軽く抱きしめると「では」と部屋を出ていった。


そうだ、伝えないと。

「ミリア様、明日から数日、来れなくなります事をご容赦願います」

 頭を下げる。毎日お見舞いに来ると言っていたのに申し訳ない。

「大丈夫ですよ。私のためですよね? お怪我だけはお気をつけ下さい」

 理解の良い人だ。

「はい。急いで戻ってきてまたお見舞いに来ますね!」

 その後、少しだけ雑談をした。「まるいひつじ亭」の話しをしたら大盛り料理を見てみたいとの事だったので完治したら行きましょう、と約束をした。公爵様、いいですよね?


 その後、応接室に移って明日の事をデムスさんと打ち合わせをする。
 公爵様もアーカムさんも同席された。

「明日は日の出の頃に南西の門に来てくれ」
「馬車がそこから出るのですか?」
「そうだね。そんな感じだよ」

 急いで行けるのだからどんな馬なんだろう。とても気になる!

「分かりました! 日の出前には居るようにします」

「よろしく頼む」


 そうして今日もデムスさんと食堂前で分かれた。
 これから帰って少しでもドリルを進めよう!

 ……あ、ケイト。夜に行くからお昼は大丈夫だからね!


 ……回り込まないで!!
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