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第15話 もう少し女神様と話そう

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「では、女神様、今までの自分について教えてください」
「お肉のおかわりが出来たらね」

 丁度よい加減で焼けたステーキをフライパンごと女神様の皿まで持って行き、盛る。厚切り二枚まとめて。これでもう三回目のおかわりだ。

「本当によく食べますね。すごいです!」
「食後にまたお菓子を食べたいから抑えますけどね」
「……本当にすごいですね。尊敬します」
「尊敬よりも不遜な事を考えてますね!? このローブは元々こういうデザインなのですけど?」
「そうなんですね……すいません!」
「美味しい料理を振る舞ってくれたから許します。私は寛大ですからね?」
「あ、ありがとうございます……」
「そろそろ教えてください。今までの自分について」

 本題をお願いします。

「そうですね……気付いた通りあなたは十二歳から「なんでも屋」としてこの街で頑張っていました」

 街の中で建物の修繕や清掃、外では薬草や鉱石の採取、内外では荷物運びや道案内をしていた事は今までの話から知っている。まさに便利屋だ。

「余程の事が無い限り依頼を断らなかったのと真面目な性格から街の内外の人たちから頼られていました」
「そうなんですね。前世の自分と違って社交的だったんですね」
「あなたは元々内向的では無かったと思いますよ?自己肯定が弱いんですよ」

 たしかに前世でも友達は何人かいましたけど、街の人々と仲が良い。良過ぎるくらいだ。

「それだけ大事にもされていた人物なんですよ。ニコは」

 プレッシャーでしか無い。だけど今までの自分に負けないように頑張らなければ


「もう、それだけ分かればなんとかなりますね?」

 女神様は食べ終えて口元を拭きながらこの話は最後とばかりの口調だ。

 もう少し知りたい気がするけれど……大丈夫かな。不安は多いけど。

「不安があるのならばご褒美に『鑑定』を発展させて関わりがあった人の名前とおおよその情報が分かるようにしておきましょう。触らなくても目視できれば分かるようにしますね」

「それは大変助かります!物の鑑定も目視で大丈夫ですか?」
「そちらも同様にしましょう」

 ありがたい。人の名前と情報が分かればやっていけると思う。


「ニコ、お菓子とコーヒー」
「あ、すぐに!」
「甘いのじゃなきゃ嫌だからね!」

 用意にキッチンに走る。
 砂糖多めのカフェオレにしよう。

 ドリップしている間にこっそり女神様に鑑定を使ってみた。


 >女神様:とても美しく優しい。


 とだけ表示された。情報操作されている?


「神のプライバシーは侵害しない」


 ……はい。

 その後、少しだけ時間があったので次回の食べたい物を決める会議となった。女神様の一方的な希望を聞く会議だ。

 結果、今度はカレーライスに決まった。

 食べる事が大好きな女神様に食材の用意をお願いするとは二つ返事どころか、被せ気味に「わかった! 用意する!」と了承を頂けた。

「そもそもこの世界にもカレーってあるのですか?」
「同じような香辛料はあるのでこの国から遠く離れた地域には似た料理がありますよ」
「日本とインドのカレーの違いみたいなものですかね」
「カレーも千差万別な料理なのでそう思ってもよいと思います」

 コーヒーの二杯目を飲まれて女神様は帰られた。
 とても満足そうでよかった。
 

 それにしても貴重な時間をカレーの話しで良かったのだろうか。
 もっと話す事はあったはずなんだけど……。


 またお会いした時に話せばいいかな。
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