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第9話 ケイトに色々聞いてみよう
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怪我をした際に記憶が喪失している事はあながち間違いでは無いと思う。
……心苦しい気持ちもあるけれど。
ケイトはご飯を食べながら色々と話してくれた。
二人は四年前からの付き合いだそうで、ケイトが馬車に轢かれそうになったのを助けたのが縁だったらしい。馬車とトラック……偶然だろうけれど二度も轢かれそうな女の子を助けていたんだ。前世でのあの女の子は大丈夫だったかな。もう誰だったのか無事だったか分からないけれど。
同い年の十六歳。この国「ルミリア王国」の王都「ラ・ルミリア」で食堂「まるいひつじ亭」を営んでいる家の娘さん。下に三つ子の弟がいる。
「まるいひつじ亭」はご飯は量も多くて美味しい、仕事の依頼や情報も集まるので王都でも人気上位の食堂との事。そんな事も忘れたのかと悲しい目で見られたのは心苦しい。美味しくて量が多いのは現在進行系で知っている。
僕については知り合う前から一人暮らしだったらしく、近所の人たちは心配して見守ってくれていたようだ。これはとても感謝。
そして僕は何を生業にしていたのか。
「知らない」
「え?」
「知らないよ」
え? 付き合い長いのに!?
「だって人の手伝いばかりだったでしょ? 荷物持ちとか道案内とか。道案内といえば観光案内とかお屋敷の掃除とかもしていたよね」
「だから何を生業にしていたか聞かれても分からないんだね」
でも、その職業は知っている気がする……。
「あ、前にたしか『なんでも屋』って言ってたかも!」
なんでも屋・・・そう、便利屋だ!
前世でもあった職業だ。
十六歳までの自分は色々な事をして稼いでいたようだ。すごいな。自分の事だけど。
「でも、すごいよね。こんな家も持っているし。ここ結構いい場所だから高いよ~」
「そうなの?」
「だって、住宅街だけど中心に割りと近くて商店なんかにも近いでしょ。利便性っていうのかな? 良すぎるよね」
「そうだね。だしかに」
「空いている部屋もあったよね?」
上の階は一部屋しか使っていない。
「そうだね」
「じゃ、私も住んじゃおうかなぁ!」
ニッと笑って言われても……。
「ケイトの方がいい場所に住んでると思うけど?」
お店だから中心街のはず。
「うるさいんだよね。人の出入りも多いし、夜は酔っ払いばかりだし!」
「朝も早いし夜も遅い人気店だからね……。どうぞ、って言いたいけれどご両親の許可が下りたらね」
「それが厳しいんだよ。もう十六歳なのに!」
「大事にされているんだよ」
「……それは分かっているんだけどさぁ」
プクッと膨れて一気に空気が抜けた。
「ウチはいつでも大丈夫だからね……お茶、入れるね」
ケイトの頭を撫でつつ、台所に向かった。
洗い物をしてお茶を出し、しばらく「一緒に住む計画」を聞かされた後、お店を放ってきていた事を思い出したようで「怒られるぅぅぅ!」と叫びながら去って行った。
部屋もあるし、別にいいんだけどね。一緒にいても楽しいし。
でも、さっき飲んだ自分のお茶はかなり苦かった!
女神様、まさかのやきも……止めておこう。
……心苦しい気持ちもあるけれど。
ケイトはご飯を食べながら色々と話してくれた。
二人は四年前からの付き合いだそうで、ケイトが馬車に轢かれそうになったのを助けたのが縁だったらしい。馬車とトラック……偶然だろうけれど二度も轢かれそうな女の子を助けていたんだ。前世でのあの女の子は大丈夫だったかな。もう誰だったのか無事だったか分からないけれど。
同い年の十六歳。この国「ルミリア王国」の王都「ラ・ルミリア」で食堂「まるいひつじ亭」を営んでいる家の娘さん。下に三つ子の弟がいる。
「まるいひつじ亭」はご飯は量も多くて美味しい、仕事の依頼や情報も集まるので王都でも人気上位の食堂との事。そんな事も忘れたのかと悲しい目で見られたのは心苦しい。美味しくて量が多いのは現在進行系で知っている。
僕については知り合う前から一人暮らしだったらしく、近所の人たちは心配して見守ってくれていたようだ。これはとても感謝。
そして僕は何を生業にしていたのか。
「知らない」
「え?」
「知らないよ」
え? 付き合い長いのに!?
「だって人の手伝いばかりだったでしょ? 荷物持ちとか道案内とか。道案内といえば観光案内とかお屋敷の掃除とかもしていたよね」
「だから何を生業にしていたか聞かれても分からないんだね」
でも、その職業は知っている気がする……。
「あ、前にたしか『なんでも屋』って言ってたかも!」
なんでも屋・・・そう、便利屋だ!
前世でもあった職業だ。
十六歳までの自分は色々な事をして稼いでいたようだ。すごいな。自分の事だけど。
「でも、すごいよね。こんな家も持っているし。ここ結構いい場所だから高いよ~」
「そうなの?」
「だって、住宅街だけど中心に割りと近くて商店なんかにも近いでしょ。利便性っていうのかな? 良すぎるよね」
「そうだね。だしかに」
「空いている部屋もあったよね?」
上の階は一部屋しか使っていない。
「そうだね」
「じゃ、私も住んじゃおうかなぁ!」
ニッと笑って言われても……。
「ケイトの方がいい場所に住んでると思うけど?」
お店だから中心街のはず。
「うるさいんだよね。人の出入りも多いし、夜は酔っ払いばかりだし!」
「朝も早いし夜も遅い人気店だからね……。どうぞ、って言いたいけれどご両親の許可が下りたらね」
「それが厳しいんだよ。もう十六歳なのに!」
「大事にされているんだよ」
「……それは分かっているんだけどさぁ」
プクッと膨れて一気に空気が抜けた。
「ウチはいつでも大丈夫だからね……お茶、入れるね」
ケイトの頭を撫でつつ、台所に向かった。
洗い物をしてお茶を出し、しばらく「一緒に住む計画」を聞かされた後、お店を放ってきていた事を思い出したようで「怒られるぅぅぅ!」と叫びながら去って行った。
部屋もあるし、別にいいんだけどね。一緒にいても楽しいし。
でも、さっき飲んだ自分のお茶はかなり苦かった!
女神様、まさかのやきも……止めておこう。
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