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エピローグ 蛇足物語其の一 ベルリン・狼の歌
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詰まらないと思わないかねこの幕引き。
「そうだね詰まらん」
「予は大いに不満だ」
「地中海が手狭や東にエジプト、カルタゴのアカンタレまでおりよる。属州が足りへん!もっとよこせ!」
「近ごろは良い肉が手に入らないのです。もう少し良い食肉市場を用意して貰わねば」
「暴れ足りんよ。もう百万は欲しい」
「海軍は何もしとりません」
帝都大カタコンペ・大鏡の間にて正座する永山に鏡の向こうから不満げな思念を叩きつけてやる。お集まりの皆さんも不満気ではないか、何か言い訳はあるか?
「それは、、そうでございますが、、大いに世界をかき混ぜましたし、、、生者はもうギタンギタンで、ここにお集まりの皆さまも好き放題にいたぶっておりますから、いい加減満足しては?」
それでは詰まらない!もっとだ!もっと見たい!永山!貴様は終わらない宴が如何とか言っておきながらなんだこの停滞は!私たちは命の輝きが見たいのだ。儚い希望が絶望に変わるさま、逆転の目が潰えて嘆く姿、必死に戦い足掻き続ける人をもっと見せろ!
「ですがこの世界にそんな余裕はありません。世界は余すところなく死者の世界、後数十年は生者を休ませませんと、、、」
私は直ぐに見たいのだ。永山君!ねっ?皆さん!
皆頷いているではないか。皆不満なのだ、もっと破壊をケチケチなどするな!あの合体戦艦大大和とかは面白かった!あれをもう一度見せろ!
「それで生者が全て死んでは意味が、、、それにもう魔力炉代わりにされるのは勘弁!成層圏突入は嫌です!合体戦艦は苦肉の策!連合艦隊がサンフランシスコ沖で略壊滅なんて真似するからしただけ!二度とやりません!」
詰まらん、本当に貴様は詰まらん男だ、もっと諧謔味と言う物を持て!、、、まあ良い。そんな詰まらない永山君に朗報があります。
「私、もうこの先百年くらいは帝国ホテルでノンビリしてたいのですが」
ダメです。貴様の力はゲーム由来だと言う事は覚えているな?であるなら。これまではチュートリアルと言う奴だ。つまりは此処からが本番と言う訳。分かったか?
「あの聞い無いのですが?」
貴様は私の奴隷だ。それを忘れていないか?好き放題に遊び倒したのだろう?対価を要求してなにが悪い?ん?
「はい、、」
分かれば宜しい。これは私だけの望みではない。破壊と混乱を愛する神々の望みでもある。私は「灰色の男」や「メイド好き」には未だ遠く及ばない。「ブルーピーコック」にも「提督の集まり」にも全てが劣っている。
だからこそ数が必要なのだ!壊して汚して滅茶苦茶にした世界が足りない!「二人組」にも近ごろは数で負けている!急げ!さあ!お集まりの皆さまもご用意を!
1945年4月29日 総統地下壕
この日、ささやかな結婚式を行った夫妻は目を白黒させていた。逃げ出した筈のヒムラーが堂々と地下壕に乗り込んで来たのもそうだが、取り押さえようとした親衛隊員を蹴散らしたその速さといったら度肝を抜く他なかった。エーファなど気を失ってしまう程だ。
そして今である。「外に御出で下さい閣下」と引き立てらる様に外に出て更に驚いた。辺りに響く遠吠えの響きとむせ返る様な血臭が風に乗って辺りに漂ってきている。
遠吠えの他は嘘の様に静かだ。あれだけ砲撃をしてきた赤軍は何処にいったのだろう?それにだ、ここに並んだ兵士たちは何者なのだ?洗い立ての軍服に光る腕章そこには戦塵の汚れは微塵もない。
「ヒムラーこれは一体?お前は逃げたのではなかったか?流石の吾輩も理解できないのだが」
「この世界の私はその様な不忠者ですが、私は違います、ご安心下さい。私たちは閣下を御救いに来たのです」
「この世界?なにを言って、それにさっきから閣下、閣下と総統と言え総統と」
如何にも勿体ぶった言いようと、先ほどから自分を総統とは頑なに言おうとしないヒムラーに文句を付けるヒトラー、そこに一陣の風が吹いた。
ヒトラーの目の前に神話の生き物がいた。2メートル以上ある身の丈、黒い親衛隊制服から除く顔も手も灰色の艶やかな毛に覆われて、除く両の目は凍りの様、世界を食らう狼の化身がそこにはいた。
「人狼」
思わず呟くヒトラー。人狼そういう他はなかった。そこにいる美しい生き物は人と狼を理想的な配分で混ぜていたのだ。
「ハイルフューラー!お帰りなさいませ総統!首尾は如何ですか?」
驚いているヒトラーを尻目に、突如現れた人狼に敬礼し話しかけるヒムラー。人狼はついと視線をヒムラーに向けると何事か話した様だった。
「赤は何処の世界でも不甲斐ないですな」
人狼の言葉に笑いながら答えるヒムラー、そんな二人を唖然として見るヒトラーを無視する様に人狼は血も凍る様な遠吠えを上げた。瞬間周りに控えていた兵士たちは風の如く動き出し消え去ってしまう。
「これなら一両日にも片付きますな。総統が出向かれるまでも、、いえ、でしたら言ってらっしゃいませ」
兵士たちを見送ったヒムラー(ヒトラーの目には彼らの動きを捕らえる事は出来なかった)はまた何事か人狼に話し、それを受けた人狼は被りをふる。
それをヒトラーは呆然と見ていたが、瞬くうちに後人狼はその場から消えていた。
「?」
ヒトラーは思わず首を傾げる。人狼が消えるその瞬間自分を見た気がしたのだ。そして確かに聞こえたのだ。
(では行って来ます、お父さん)
自分、アドルフ・ヒトラーは今日結婚し、勿論の事子供などいない。だが何故だろう、確かに聞こえた声が不快には感じられず、寧ろ(行っておいで)と声に出してしまう所であった。
1945年 1945年4月30日。ベルリンに突入したソ連第8親衛軍が甚大な損害を受け市街より撤退。人狼大戦と戦後呼ばれる長い戦いの序章、その前日の事である。
「そうだね詰まらん」
「予は大いに不満だ」
「地中海が手狭や東にエジプト、カルタゴのアカンタレまでおりよる。属州が足りへん!もっとよこせ!」
「近ごろは良い肉が手に入らないのです。もう少し良い食肉市場を用意して貰わねば」
「暴れ足りんよ。もう百万は欲しい」
「海軍は何もしとりません」
帝都大カタコンペ・大鏡の間にて正座する永山に鏡の向こうから不満げな思念を叩きつけてやる。お集まりの皆さんも不満気ではないか、何か言い訳はあるか?
「それは、、そうでございますが、、大いに世界をかき混ぜましたし、、、生者はもうギタンギタンで、ここにお集まりの皆さまも好き放題にいたぶっておりますから、いい加減満足しては?」
それでは詰まらない!もっとだ!もっと見たい!永山!貴様は終わらない宴が如何とか言っておきながらなんだこの停滞は!私たちは命の輝きが見たいのだ。儚い希望が絶望に変わるさま、逆転の目が潰えて嘆く姿、必死に戦い足掻き続ける人をもっと見せろ!
「ですがこの世界にそんな余裕はありません。世界は余すところなく死者の世界、後数十年は生者を休ませませんと、、、」
私は直ぐに見たいのだ。永山君!ねっ?皆さん!
皆頷いているではないか。皆不満なのだ、もっと破壊をケチケチなどするな!あの合体戦艦大大和とかは面白かった!あれをもう一度見せろ!
「それで生者が全て死んでは意味が、、、それにもう魔力炉代わりにされるのは勘弁!成層圏突入は嫌です!合体戦艦は苦肉の策!連合艦隊がサンフランシスコ沖で略壊滅なんて真似するからしただけ!二度とやりません!」
詰まらん、本当に貴様は詰まらん男だ、もっと諧謔味と言う物を持て!、、、まあ良い。そんな詰まらない永山君に朗報があります。
「私、もうこの先百年くらいは帝国ホテルでノンビリしてたいのですが」
ダメです。貴様の力はゲーム由来だと言う事は覚えているな?であるなら。これまではチュートリアルと言う奴だ。つまりは此処からが本番と言う訳。分かったか?
「あの聞い無いのですが?」
貴様は私の奴隷だ。それを忘れていないか?好き放題に遊び倒したのだろう?対価を要求してなにが悪い?ん?
「はい、、」
分かれば宜しい。これは私だけの望みではない。破壊と混乱を愛する神々の望みでもある。私は「灰色の男」や「メイド好き」には未だ遠く及ばない。「ブルーピーコック」にも「提督の集まり」にも全てが劣っている。
だからこそ数が必要なのだ!壊して汚して滅茶苦茶にした世界が足りない!「二人組」にも近ごろは数で負けている!急げ!さあ!お集まりの皆さまもご用意を!
1945年4月29日 総統地下壕
この日、ささやかな結婚式を行った夫妻は目を白黒させていた。逃げ出した筈のヒムラーが堂々と地下壕に乗り込んで来たのもそうだが、取り押さえようとした親衛隊員を蹴散らしたその速さといったら度肝を抜く他なかった。エーファなど気を失ってしまう程だ。
そして今である。「外に御出で下さい閣下」と引き立てらる様に外に出て更に驚いた。辺りに響く遠吠えの響きとむせ返る様な血臭が風に乗って辺りに漂ってきている。
遠吠えの他は嘘の様に静かだ。あれだけ砲撃をしてきた赤軍は何処にいったのだろう?それにだ、ここに並んだ兵士たちは何者なのだ?洗い立ての軍服に光る腕章そこには戦塵の汚れは微塵もない。
「ヒムラーこれは一体?お前は逃げたのではなかったか?流石の吾輩も理解できないのだが」
「この世界の私はその様な不忠者ですが、私は違います、ご安心下さい。私たちは閣下を御救いに来たのです」
「この世界?なにを言って、それにさっきから閣下、閣下と総統と言え総統と」
如何にも勿体ぶった言いようと、先ほどから自分を総統とは頑なに言おうとしないヒムラーに文句を付けるヒトラー、そこに一陣の風が吹いた。
ヒトラーの目の前に神話の生き物がいた。2メートル以上ある身の丈、黒い親衛隊制服から除く顔も手も灰色の艶やかな毛に覆われて、除く両の目は凍りの様、世界を食らう狼の化身がそこにはいた。
「人狼」
思わず呟くヒトラー。人狼そういう他はなかった。そこにいる美しい生き物は人と狼を理想的な配分で混ぜていたのだ。
「ハイルフューラー!お帰りなさいませ総統!首尾は如何ですか?」
驚いているヒトラーを尻目に、突如現れた人狼に敬礼し話しかけるヒムラー。人狼はついと視線をヒムラーに向けると何事か話した様だった。
「赤は何処の世界でも不甲斐ないですな」
人狼の言葉に笑いながら答えるヒムラー、そんな二人を唖然として見るヒトラーを無視する様に人狼は血も凍る様な遠吠えを上げた。瞬間周りに控えていた兵士たちは風の如く動き出し消え去ってしまう。
「これなら一両日にも片付きますな。総統が出向かれるまでも、、いえ、でしたら言ってらっしゃいませ」
兵士たちを見送ったヒムラー(ヒトラーの目には彼らの動きを捕らえる事は出来なかった)はまた何事か人狼に話し、それを受けた人狼は被りをふる。
それをヒトラーは呆然と見ていたが、瞬くうちに後人狼はその場から消えていた。
「?」
ヒトラーは思わず首を傾げる。人狼が消えるその瞬間自分を見た気がしたのだ。そして確かに聞こえたのだ。
(では行って来ます、お父さん)
自分、アドルフ・ヒトラーは今日結婚し、勿論の事子供などいない。だが何故だろう、確かに聞こえた声が不快には感じられず、寧ろ(行っておいで)と声に出してしまう所であった。
1945年 1945年4月30日。ベルリンに突入したソ連第8親衛軍が甚大な損害を受け市街より撤退。人狼大戦と戦後呼ばれる長い戦いの序章、その前日の事である。
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