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第四十話 蠱毒を作ろう
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雪の大地で二つの部族が睨み合っている。どちらの部族も新興勢力であり、年若い族長は親兄弟から実力でその地位を奪い取った猛者である。
そんな、今にも始まりそうな、オークの言うところの「喧嘩」を二人の人物が丘の上で呑気に見ていた。
「ねえ、どっちが勝つと思う?」
眼前で始まるであろう大乱戦を観戦していたアタシは、片割れに話掛けた。
「うちの子にきまってんだろ。」
凄い自信だこと。
「当たり前だろ、ここで負ける様な育て方してないよ。親に邪険にされたあの子は、兄弟をぜーんぶ打ち殺して族長になったんだ。アタシも苦労したさ、随分と慰めて、お前は強い、お前が族長になるって言い続けて世話してさ。頭が良いんだよあの子、兄弟を始末する時もちゃーんと理由を付けて足が付かない様にやってる。そこいらのオークには出来ない芸当だよ」
耳に毒を流し込んだの間違いだろそれ?自分のお気に入りに、都市の兄弟の真似事させてるんだから。
「強い子になったんだから良いだろ!アンタの所の子はどうなんだい?うちの子に勝てる位、育てたんだろうね」
うちの子はねぇ。
「十の頃からアタシの体に夢中さ。アタシと寝れるなら、何でもできる。スケベな子でね、アタシを嫁にするって、反対する親を殴り殺してくれたよ。腕っぷしならそこいらの奴は敵わない筈さ、アンタの子でもイチコロなんじゃない?」
そうさ。衣食住の全てを世話して、エルフが三人掛かりでも敵わない男に育てたんだ。頭はちょっと弱いけど、、、
「ふーん、それじゃアンタのお気に入りが勝つかアタシの子が勝つか賭ける?」
乗ってやろうじゃないのさ。オークの喧嘩は、お婆の言う様な人間の戦い方とは違うんだ、腕っぷしが全て、この子のお気に入りは頭は良いだろうがそんな物、正面から叩き壊してくれるよ。
「何賭ける?」
絞りとってやろうかしらん。三年くらい狩りを肩代わりさせるとか、、、
「アンタが負けたら、家の子の婿を浚ってきなよ。五人全員分」
それは嫌だね。五体満足に生きのよいのを浚うのは、近ごろ難しいんだ。オークを襲う、正体不明の略奪団をこの雪の地に住む奴は警戒してる。オークの男を捉えるには、どうしても腕の一本も無くさせなくてはいけない。
それに比べて、同族であるエルフの男衆は楽だ、女のオークは強い奴に惚れるんだから、一度一人でボコボコにでもすれば諦めてくれる。嫁を取るのに殴り付ける必要があるのは、森の兄弟は理解が難しい様けど、、、、
「アタシが勝ったら?」
「アンタの所の息子を家の娘の婿に貰ってやるよ」
それは良い。あの子、エルフに興味がないから苦労してたんだよ。お婆はエルフ同士の夫婦を作れと喧しい、あのお小言を聞かないで済むなら万々歳だ。
「あっ、始まったようだよ。頑張れ~寝小便小僧~!教えた通り殺んだよー!」
我が姉妹ながら酷い声援、、、、寝小便って、、、子供の頃から世話してるんだろ?寝小便位するさ・
「十一までしてたんだよあの子。いっつも兄弟に揶揄われててね、それでだねぇ兄貴連中を始末するのに一切躊躇なかったのは」
仕向けたのは自分だろうに、、、、意地の悪い姉だ。この姉、雪エルフではなく都市エルフなのでは?
「なに言ってんだい!アタシは都市の兄弟みたいに臭わないよ!ほらアンタも自分のとこ応援しな!」
そうだそうだ、うちの子は殺し合いをしているのだった。負けたら困る、アタシは骨の折れるオーク狩りはしたくない。あれは男衆の仕事だ。
「頑張れ!何時もの様に頭を叩き割りな!鉄拳が二つ名だろ~」
うん、そうだ行け!そこだ!後ろががら空き!そこに鉄拳!ほら殺った。
「やるね、アンタの所の子」
「でしょ?悲劇的に別れたかれね、あの子はアタシの言葉を良ーく守ってるのさ!」
「うちの子も負けてないよ!あの子、自分が弱いからアタシを守れなかったと思ってるからね。目の前で森の兄弟特性の薬で血を吐いて仮死してやったのさ。最後に「貴方が大族長になるのを一目見たかったです、強くなって下さいまし」って言ったからね。あの子は止まらないよ。チョクチョク夢枕にも立ってる」
その手もあったか。それは考えつかなかった。過去の傷を適度に刺激してやるのも手か、、、、流石我が姉、、、お婆直伝の悪辣さだ。今度お婆が帰ってきたら教えて貰おう。
悪辣で冷酷、自分が情を交わした相手の事など気にもしない、帝国エルフとは別ベクトルで残忍なエルフたちは楽し気に、己の手の内で踊るオークたちを観戦していた。
「あれま、、負けちった、、、息はあるようだから、、、、さーて回収しますか」
「あはは!勝った勝った!最後まで逃げないとはいい子じゃないか、いい婿になりそうだね」
そんな、今にも始まりそうな、オークの言うところの「喧嘩」を二人の人物が丘の上で呑気に見ていた。
「ねえ、どっちが勝つと思う?」
眼前で始まるであろう大乱戦を観戦していたアタシは、片割れに話掛けた。
「うちの子にきまってんだろ。」
凄い自信だこと。
「当たり前だろ、ここで負ける様な育て方してないよ。親に邪険にされたあの子は、兄弟をぜーんぶ打ち殺して族長になったんだ。アタシも苦労したさ、随分と慰めて、お前は強い、お前が族長になるって言い続けて世話してさ。頭が良いんだよあの子、兄弟を始末する時もちゃーんと理由を付けて足が付かない様にやってる。そこいらのオークには出来ない芸当だよ」
耳に毒を流し込んだの間違いだろそれ?自分のお気に入りに、都市の兄弟の真似事させてるんだから。
「強い子になったんだから良いだろ!アンタの所の子はどうなんだい?うちの子に勝てる位、育てたんだろうね」
うちの子はねぇ。
「十の頃からアタシの体に夢中さ。アタシと寝れるなら、何でもできる。スケベな子でね、アタシを嫁にするって、反対する親を殴り殺してくれたよ。腕っぷしならそこいらの奴は敵わない筈さ、アンタの子でもイチコロなんじゃない?」
そうさ。衣食住の全てを世話して、エルフが三人掛かりでも敵わない男に育てたんだ。頭はちょっと弱いけど、、、
「ふーん、それじゃアンタのお気に入りが勝つかアタシの子が勝つか賭ける?」
乗ってやろうじゃないのさ。オークの喧嘩は、お婆の言う様な人間の戦い方とは違うんだ、腕っぷしが全て、この子のお気に入りは頭は良いだろうがそんな物、正面から叩き壊してくれるよ。
「何賭ける?」
絞りとってやろうかしらん。三年くらい狩りを肩代わりさせるとか、、、
「アンタが負けたら、家の子の婿を浚ってきなよ。五人全員分」
それは嫌だね。五体満足に生きのよいのを浚うのは、近ごろ難しいんだ。オークを襲う、正体不明の略奪団をこの雪の地に住む奴は警戒してる。オークの男を捉えるには、どうしても腕の一本も無くさせなくてはいけない。
それに比べて、同族であるエルフの男衆は楽だ、女のオークは強い奴に惚れるんだから、一度一人でボコボコにでもすれば諦めてくれる。嫁を取るのに殴り付ける必要があるのは、森の兄弟は理解が難しい様けど、、、、
「アタシが勝ったら?」
「アンタの所の息子を家の娘の婿に貰ってやるよ」
それは良い。あの子、エルフに興味がないから苦労してたんだよ。お婆はエルフ同士の夫婦を作れと喧しい、あのお小言を聞かないで済むなら万々歳だ。
「あっ、始まったようだよ。頑張れ~寝小便小僧~!教えた通り殺んだよー!」
我が姉妹ながら酷い声援、、、、寝小便って、、、子供の頃から世話してるんだろ?寝小便位するさ・
「十一までしてたんだよあの子。いっつも兄弟に揶揄われててね、それでだねぇ兄貴連中を始末するのに一切躊躇なかったのは」
仕向けたのは自分だろうに、、、、意地の悪い姉だ。この姉、雪エルフではなく都市エルフなのでは?
「なに言ってんだい!アタシは都市の兄弟みたいに臭わないよ!ほらアンタも自分のとこ応援しな!」
そうだそうだ、うちの子は殺し合いをしているのだった。負けたら困る、アタシは骨の折れるオーク狩りはしたくない。あれは男衆の仕事だ。
「頑張れ!何時もの様に頭を叩き割りな!鉄拳が二つ名だろ~」
うん、そうだ行け!そこだ!後ろががら空き!そこに鉄拳!ほら殺った。
「やるね、アンタの所の子」
「でしょ?悲劇的に別れたかれね、あの子はアタシの言葉を良ーく守ってるのさ!」
「うちの子も負けてないよ!あの子、自分が弱いからアタシを守れなかったと思ってるからね。目の前で森の兄弟特性の薬で血を吐いて仮死してやったのさ。最後に「貴方が大族長になるのを一目見たかったです、強くなって下さいまし」って言ったからね。あの子は止まらないよ。チョクチョク夢枕にも立ってる」
その手もあったか。それは考えつかなかった。過去の傷を適度に刺激してやるのも手か、、、、流石我が姉、、、お婆直伝の悪辣さだ。今度お婆が帰ってきたら教えて貰おう。
悪辣で冷酷、自分が情を交わした相手の事など気にもしない、帝国エルフとは別ベクトルで残忍なエルフたちは楽し気に、己の手の内で踊るオークたちを観戦していた。
「あれま、、負けちった、、、息はあるようだから、、、、さーて回収しますか」
「あはは!勝った勝った!最後まで逃げないとはいい子じゃないか、いい婿になりそうだね」
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