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2ー解毒術の権威
50 10年前に再びタイムバック
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鈴虫が鳴いている声がする。窓の外を見ると、白い雲の下を翼竜たちが気持ちようさそうに飛んでいる姿が見えた。懐かしい授業風景だ。小さなミツバチが窓の外の花壇の周りを飛んでいた。懐かしい魔法寺小屋学校の教室に戻ってきていた。
「えー、まず最初にアラビカ産コーヒー豆を入れます。はい、ネアンデルタール人の石器ですり潰してー」
眠気が襲ってくる声で柳原名誉教授がわたしたちに指示を出している。午後のまったりとした時間だ。でも、これは普通の授業ではない。
通算13回実施された王子のための特別解毒術授業の最終回にもう一度わたしたちは参加していた。全員が柳原名誉教授の門下生だったので、学生時代に培われた条件反射で教授の声を聞くと睡魔に襲われる。私た血は10年前の解毒術の特別授業にタイムバックして、調合薬を完成させようとしていた。
わたしたちは目をしばたかせて、すり鉢に指示された材料を入れていた。
石器は1つだ。でもすり鉢は7つだ。なぜなら10歳の王子、ジョン、まさみ、ヒメ、わたし、ナディア、二十歳の王子の前にそれぞれすり鉢が置かれているからだ。いまだかつて誰も試したことのない調合なので、総動員で参加していた。誰のすり鉢の中に、成功した調合薬ができるのか分からない状況だった。
材料が特殊過ぎるが故に、タイムリープゲームに参加しなければこの調合薬は完成しない。ということは、私たちが初めて調合薬を完成させる者になるのだ。
帝の記憶に残っていることは、10歳の解毒術の最終回にやっぱり忍びではない人も混ざって6人の大人がやってきて、みんなで何かを調合したという事だけだった。誰が調合に成功したのかは帝の記憶はなかった。
関係者はちょうど6人いた。そこで皆でゾロゾロやってきて、解毒術の権威である教授に10歳の帝が頼み込んで、調合薬のセッションが開かれている最中だった。
寺小屋と柳原名誉教授の組み合わせは、ナディア以外の全員の胸に強烈な懐かしさを浮かび上がらせた。わたしたちは気づけば、教授からたくさんの事を叩き込まれた仲間だったのだ。
ナディアは意気揚々と初めてのことにトライしていた。
「次は納豆です。混ぜてください。ネバネバが鍵です。数え切れないほど混ぜてください。」
「御意!」「御意!」「御意!」「御意!」「御意!」「御意です!」「OK!」
柳原名誉教授の説明を聞くなり、皆が一斉に小鉢に入れた納豆を混ぜ始めた。
「目標5千回!」
「おお……」
声にならないどよめきが起こった。全員が無心に混ぜ続けた。途中で数えることなどできなくなった。
魔女忍は解毒術に関する厳格さを教授に叩き込まれているので、無心になって混ぜ続けていた。10歳の帝さえ、顔を真っ赤にしながら一生懸命混ぜ続けた。
人間のナディアは「ね、これ本当に必要?」と周りに聞いたり、「手が震えるわ」「数えてられないわよ、普通」などぼやき続けながらやっていた。
魔女忍のわたしたちはほぼ同時に「完了!」と口々に叫んで、すり鉢に納豆を入れ込んだ。順番に石器ですり潰して行った。
ここでとんでもない過ちに気づいた。
「あ!」
「ヤギの乳を忘れてないっ!?」
「マーコールのヤギのミルクだ!」
「まずいっ!」
「教授、1つだけ材料が揃っておりません!今から急ぎ調達してきますので、お待ちいただけますでしょうか。」
「絶滅したから過去の地球に行くしかないよね」
「いや、マーコールがいるという山岳地帯はのどかなんじゃない?」とナディア。
「今回は私も行く!」とひめ。
「いや、私も!」とまさみ。
「ではみなさん、いつ材料を揃えて戻ってこれますか?」
白髪に白髭の柳原名誉教授はメガネの奥で目をキラっとさせてわたしたちに聞いた。
「すぐです、すぐ。」
「少々お待ちいただけますか。」
「ちょっと、お茶でもお飲みなさって休憩なさっていていただければ。」
ここで非常に大事なことにジョンが気づいた。
「ナディア。そういえば、ここのゲーム解放条件のカメラアプリミッションは何なの?」
「解毒が遅れた場合の特別な対処法の調合薬よ。うわっ!」
ナディアが呑気な声で答えて自分で矛盾に気づいた。周囲の空気が一瞬で凍りついた。一同、ぎくりとして喋るのをやめた。しばし、不気味な静寂が教室中に訪れた。
「それって今作っているやつだよね?」
「ちょっと待った!」
「ヤギのミルクを調達するには、一度このゲームを開放されないとならない。しかし、ゲーム開放の条件であるカメラアプリミッションはヤギのミルクを入れないとできない調合薬ってことは?」
「この10年前の解毒術特別授業の時間軸に閉じ込められたんじゃない?」
「うっそでしょう。」
「閉じ込められたよね?完全に?」
わたしたちは、矛盾した非常に大事なポイントに気づいて青ざめたのだ。
絶叫が魔法寺小屋の教室にこだました。
「えー、まず最初にアラビカ産コーヒー豆を入れます。はい、ネアンデルタール人の石器ですり潰してー」
眠気が襲ってくる声で柳原名誉教授がわたしたちに指示を出している。午後のまったりとした時間だ。でも、これは普通の授業ではない。
通算13回実施された王子のための特別解毒術授業の最終回にもう一度わたしたちは参加していた。全員が柳原名誉教授の門下生だったので、学生時代に培われた条件反射で教授の声を聞くと睡魔に襲われる。私た血は10年前の解毒術の特別授業にタイムバックして、調合薬を完成させようとしていた。
わたしたちは目をしばたかせて、すり鉢に指示された材料を入れていた。
石器は1つだ。でもすり鉢は7つだ。なぜなら10歳の王子、ジョン、まさみ、ヒメ、わたし、ナディア、二十歳の王子の前にそれぞれすり鉢が置かれているからだ。いまだかつて誰も試したことのない調合なので、総動員で参加していた。誰のすり鉢の中に、成功した調合薬ができるのか分からない状況だった。
材料が特殊過ぎるが故に、タイムリープゲームに参加しなければこの調合薬は完成しない。ということは、私たちが初めて調合薬を完成させる者になるのだ。
帝の記憶に残っていることは、10歳の解毒術の最終回にやっぱり忍びではない人も混ざって6人の大人がやってきて、みんなで何かを調合したという事だけだった。誰が調合に成功したのかは帝の記憶はなかった。
関係者はちょうど6人いた。そこで皆でゾロゾロやってきて、解毒術の権威である教授に10歳の帝が頼み込んで、調合薬のセッションが開かれている最中だった。
寺小屋と柳原名誉教授の組み合わせは、ナディア以外の全員の胸に強烈な懐かしさを浮かび上がらせた。わたしたちは気づけば、教授からたくさんの事を叩き込まれた仲間だったのだ。
ナディアは意気揚々と初めてのことにトライしていた。
「次は納豆です。混ぜてください。ネバネバが鍵です。数え切れないほど混ぜてください。」
「御意!」「御意!」「御意!」「御意!」「御意!」「御意です!」「OK!」
柳原名誉教授の説明を聞くなり、皆が一斉に小鉢に入れた納豆を混ぜ始めた。
「目標5千回!」
「おお……」
声にならないどよめきが起こった。全員が無心に混ぜ続けた。途中で数えることなどできなくなった。
魔女忍は解毒術に関する厳格さを教授に叩き込まれているので、無心になって混ぜ続けていた。10歳の帝さえ、顔を真っ赤にしながら一生懸命混ぜ続けた。
人間のナディアは「ね、これ本当に必要?」と周りに聞いたり、「手が震えるわ」「数えてられないわよ、普通」などぼやき続けながらやっていた。
魔女忍のわたしたちはほぼ同時に「完了!」と口々に叫んで、すり鉢に納豆を入れ込んだ。順番に石器ですり潰して行った。
ここでとんでもない過ちに気づいた。
「あ!」
「ヤギの乳を忘れてないっ!?」
「マーコールのヤギのミルクだ!」
「まずいっ!」
「教授、1つだけ材料が揃っておりません!今から急ぎ調達してきますので、お待ちいただけますでしょうか。」
「絶滅したから過去の地球に行くしかないよね」
「いや、マーコールがいるという山岳地帯はのどかなんじゃない?」とナディア。
「今回は私も行く!」とひめ。
「いや、私も!」とまさみ。
「ではみなさん、いつ材料を揃えて戻ってこれますか?」
白髪に白髭の柳原名誉教授はメガネの奥で目をキラっとさせてわたしたちに聞いた。
「すぐです、すぐ。」
「少々お待ちいただけますか。」
「ちょっと、お茶でもお飲みなさって休憩なさっていていただければ。」
ここで非常に大事なことにジョンが気づいた。
「ナディア。そういえば、ここのゲーム解放条件のカメラアプリミッションは何なの?」
「解毒が遅れた場合の特別な対処法の調合薬よ。うわっ!」
ナディアが呑気な声で答えて自分で矛盾に気づいた。周囲の空気が一瞬で凍りついた。一同、ぎくりとして喋るのをやめた。しばし、不気味な静寂が教室中に訪れた。
「それって今作っているやつだよね?」
「ちょっと待った!」
「ヤギのミルクを調達するには、一度このゲームを開放されないとならない。しかし、ゲーム開放の条件であるカメラアプリミッションはヤギのミルクを入れないとできない調合薬ってことは?」
「この10年前の解毒術特別授業の時間軸に閉じ込められたんじゃない?」
「うっそでしょう。」
「閉じ込められたよね?完全に?」
わたしたちは、矛盾した非常に大事なポイントに気づいて青ざめたのだ。
絶叫が魔法寺小屋の教室にこだました。
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