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花嫁衣装と誕生日(1)

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 お城の料理長がわざわざ実家を訪ねてきて、私と母と父の好みの食材と嫌いな食べ物を聞いて帰ったのは昨日のことだ。伯爵家への輿入れの時はこちらの料理の好みを聞かれたこともなかったので、両親と私は内心ひっくり返り、実家の大きな屋敷中でこの話が持ちきりになった。

 古くからいる使用人から最近通い始めた庭師に至るまで、大きな屋敷中でこの件はホットな話題となった。

「腕によりをかけて美味しい料理を準備させていただきますですって。全く、なんて素晴らしいの。王家の料理長自ら好みを確認してくれるなんて光栄なことだわ」
 
 母は思わず昨日のことを思い出して、幸せそうに微笑んだ。

「キャロライン、あなたが今試着しているドレスも素敵よ。けれども、エミリー、他のデザインも見せていただけるかしら?」

「こちらのデザインなどいかがでしょう?」
「まあ、素敵だわっ!」

「本当によくお似合いかと思いますわ。キャロライン様のお肌を引き立てる美しいレースがあしらってありますもの」
「本当でございますわ、お嬢様。うっとりしてしまいます」

 私は都一と評判のドレスの仕立て屋を母とマリアと一緒に訪れていた。花嫁衣装のドレスについては金に糸目をつけないと父が宣言したため、店中の高価なドレスが思う存分並べ立てられていた。

 今頃、父と執事のアレクは、王家の披露宴を取り仕切るレイチャード夫人と、結婚披露宴の招待客リストをすり合わせするという面倒な作業に取りかかったはずだ。

 私は朝食を少し食べて以来ずっとドレスの試着に追われていたので、お腹が空いてきていた。ドレスの試着を一旦中断しようと提案しようとした。その時だ。

 慌てたように店の者が部屋に駆け込んできた。店主かつデザイナーのエミリーが、思わず小言を店の者に言った。
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