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王太子閣下が結婚の許しを請う(2)
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立ち聞きするつもりはなかったけれども、隣の部屋で待っていても、母と父の絶叫のような声があたりに響いてしまい、私の耳までも王太子閣下とのやりとりが聞こえてしまった。
「まあっ!」
「なんとっ!」
「キャロラインが王妃になるのでしょうか?」
「本当にうちの娘で構わないのでしょうか。なぜなら、ご存知のようにうちの娘は離縁して出戻ったばかりです。本当に良いのでしょうか?」
「ぜひ、私の正妻にお願いしたいのです。キャロライン嬢に我が国の妃となっていたいただきたい」
「あなたっ!大丈夫ですか?」
「誰かっ!誰かっ!お水を!」
ここで私は客間に飛び込んだ。
見ると、父が驚きのあまりに椅子に倒れ込んでいた。すぐにマリアがお水を持ってきて、私は父に水を飲ませた。
「お父様、しっかりなさって。大丈夫ですか?」
「お義父様、しっかりなさってください」
「おお、王太子閣下にお義父様と呼ばれるとは………………」
私の父は涙ぐんで椅子に座って私と王太子閣下を交互に見つめた。
「キャロライン嬢は私が幸せにします。私が生涯をかけてあなたの娘さんを幸せにします。どうか、私とキャロラインの結婚を許してください」
王太子閣下は私の父の目線まで下がり、ひざまずいて私の父に許しを願った。
父は私の顔を見つめた。私は涙の滲んだ父の顔を見つめて小さくうなずいた。
「おお!キャロラインおめでとう。王太子閣下、どうぞ娘をよろしくお願いします」
父は顔をくしゃくしゃにして泣きながら、私と王太子閣下の手を取った。
「お義母様、お義父様、お二人に誓います。キャロラインを妻に迎えて、私は彼女を愛し続けます。」
王太子閣下は低くしっかりとした声で、私の両親に誓った。
「まあっ!」
「なんとっ!」
「キャロラインが王妃になるのでしょうか?」
「本当にうちの娘で構わないのでしょうか。なぜなら、ご存知のようにうちの娘は離縁して出戻ったばかりです。本当に良いのでしょうか?」
「ぜひ、私の正妻にお願いしたいのです。キャロライン嬢に我が国の妃となっていたいただきたい」
「あなたっ!大丈夫ですか?」
「誰かっ!誰かっ!お水を!」
ここで私は客間に飛び込んだ。
見ると、父が驚きのあまりに椅子に倒れ込んでいた。すぐにマリアがお水を持ってきて、私は父に水を飲ませた。
「お父様、しっかりなさって。大丈夫ですか?」
「お義父様、しっかりなさってください」
「おお、王太子閣下にお義父様と呼ばれるとは………………」
私の父は涙ぐんで椅子に座って私と王太子閣下を交互に見つめた。
「キャロライン嬢は私が幸せにします。私が生涯をかけてあなたの娘さんを幸せにします。どうか、私とキャロラインの結婚を許してください」
王太子閣下は私の父の目線まで下がり、ひざまずいて私の父に許しを願った。
父は私の顔を見つめた。私は涙の滲んだ父の顔を見つめて小さくうなずいた。
「おお!キャロラインおめでとう。王太子閣下、どうぞ娘をよろしくお願いします」
父は顔をくしゃくしゃにして泣きながら、私と王太子閣下の手を取った。
「お義母様、お義父様、お二人に誓います。キャロラインを妻に迎えて、私は彼女を愛し続けます。」
王太子閣下は低くしっかりとした声で、私の両親に誓った。
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