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第二章 恋
三度目のループ 切り抜ける フランSide(2)
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私は大急ぎで懐かしい我が家を走り、二人の弟を騎士団に保護してもらった。そして、母の寝室に急いだ。母は寝ていた
私は王子と騎士団に待ってもらって、母の薬草室で母に昔習ったように薬を作った。確かに今までできなかったような薬ができた。私は薬を作る力があるようだ。母の役に立てて私は嬉しかった。
それを母に飲ませた。母は私の姿を見ると嬉しそうだった。
「あなたはフランね。リサに会ったわ。彼女に会わせてくれて、そして二人で協力して私を救おうとしてくれて、本当に嬉しかった。ありがとう」
母はそれだけ言うと、また目をつぶってしまった。ウォルター・ローダン卿が母を抱き上げて、馬車まで運んでくれた。
私は女王陛下の元に行くことになったと公爵邸の執事に告げて、信頼できる侍女3人連れて公爵邸を後にしようとした。
「お嬢様、その指輪は……?」
執事は私にそっと尋ねてきた。
「申し遅れました。ジョージと申します。女王陛下のお許しを受けて、我が王朝にフラン嬢を妃に迎え入れることになりました」
ジョージは執事にそっと囁いた。どこからか赤い鷲に漏れると問題になるかもしれないので、ジョージは人差し指を口元に当てて、内緒の話だと執事に合図をした。
「おっおっお嬢様っ!まことでございますかっ!それは大変名誉なことでございます。お嬢様がお幸せになってくださるなら、ロベールベルク公爵様もこれ以上ない喜びを……」
執事はそれ以上言えずに声を震わせて泣いた。
「そういうことなの。しばらく留守にするわ。それから、ミカエルとは婚約破棄したのよ。急な話でごめんなさない」
私はそっと執事に告げた。
「しょ、承知いたしました」
執事はグッと口を固く結び、秘密は守るといった様子でうなずいた。
「お願いしますね。それからお母様の薬草室からいくつか薬草をいただいて行くわ。お母様の薬を作らなければならないから」
執事は静かにうなずいた。
私は急いで薬草室にある薬草をかき集めて、母を乗せた馬車まで戻った。
「あなたは……」
馬車の中で、母は目の前に座っているくしゃくしゃの髪をしたジョージ王子を見て不思議そうな顔をした。
「申し遅れました。フラン嬢との結婚をお許しいただきたいと願っております、ジョージと申します。女王陛下にはお許しをいただきました」
ロサダマスケナのピンクの花が咲き乱れるロベールベルク公爵家の門を女王陛下の騎士団と私たちの馬車が出た時、母はぽかんとしてジョージ王子を見つめていた。
濡れがらすのように漆黒の流行りの衣装を着たウォルター・ローダン卿が笑みを浮かべて、会話に割り込んだ。
「ロベールベルク公爵夫人、私は父がいつも薬を処方いただいているローダン家の者です。父がいつもお世話になっています」
「あら、お父様はお元気かしら。あなたがローダン伯爵の息子さんでしたか」
母はウォルター・ローダン卿に戸惑いながらも微笑んだ。
「こちらは、ジョージ王子でございます。女王陛下はフラン様をジョージ王子の妃にすることをお許しになりました」
しばし、馬車の中に沈黙が訪れた。
「あなたはあのジョージさま……?」
「はい、お義母様。フラン嬢なしではわたくし生きてはいけぬほど彼女を愛しております。婚約をお許しください。結婚したいと考えております」
ジョージ王子は真剣に母に許しを請うた。
「フラン、そうなの?」
母は私を見つめて囁くように聞いてきた。
「はい、お母様。私はジョージ王子を愛しております。共に人生を歩いていきたいのです」
母は嬉しそうに微笑んだ。
小さな声でジョージ王子に「娘をよろしくお願いします」と言った。母は安心したかのように目をつぶった。色々起きて疲れたのだろう。
アネシュカは、貧民街を訪れるような出立ちでロベールベルク公爵邸を訪問して、カゴに入ったパンをくれた。私たちが土地も森も失って、路頭に迷うと彼女は知っていたからだろう。ミカエルを自分のものにするために、彼女は色んな手を使ったのかもしれない。
馬車の中で、私とジョージ王子は手を握り合って見つめあった。私はさっき時間が戻る直前にみた夢のような光景を思い出して一人で顔を赤らめた。
私はまもなく16歳になる。婚約して、その先の将来、私は少し大人になったジョージと結ばれるのだ。
あれが予知であってほしいと私は願う。
私は王子と騎士団に待ってもらって、母の薬草室で母に昔習ったように薬を作った。確かに今までできなかったような薬ができた。私は薬を作る力があるようだ。母の役に立てて私は嬉しかった。
それを母に飲ませた。母は私の姿を見ると嬉しそうだった。
「あなたはフランね。リサに会ったわ。彼女に会わせてくれて、そして二人で協力して私を救おうとしてくれて、本当に嬉しかった。ありがとう」
母はそれだけ言うと、また目をつぶってしまった。ウォルター・ローダン卿が母を抱き上げて、馬車まで運んでくれた。
私は女王陛下の元に行くことになったと公爵邸の執事に告げて、信頼できる侍女3人連れて公爵邸を後にしようとした。
「お嬢様、その指輪は……?」
執事は私にそっと尋ねてきた。
「申し遅れました。ジョージと申します。女王陛下のお許しを受けて、我が王朝にフラン嬢を妃に迎え入れることになりました」
ジョージは執事にそっと囁いた。どこからか赤い鷲に漏れると問題になるかもしれないので、ジョージは人差し指を口元に当てて、内緒の話だと執事に合図をした。
「おっおっお嬢様っ!まことでございますかっ!それは大変名誉なことでございます。お嬢様がお幸せになってくださるなら、ロベールベルク公爵様もこれ以上ない喜びを……」
執事はそれ以上言えずに声を震わせて泣いた。
「そういうことなの。しばらく留守にするわ。それから、ミカエルとは婚約破棄したのよ。急な話でごめんなさない」
私はそっと執事に告げた。
「しょ、承知いたしました」
執事はグッと口を固く結び、秘密は守るといった様子でうなずいた。
「お願いしますね。それからお母様の薬草室からいくつか薬草をいただいて行くわ。お母様の薬を作らなければならないから」
執事は静かにうなずいた。
私は急いで薬草室にある薬草をかき集めて、母を乗せた馬車まで戻った。
「あなたは……」
馬車の中で、母は目の前に座っているくしゃくしゃの髪をしたジョージ王子を見て不思議そうな顔をした。
「申し遅れました。フラン嬢との結婚をお許しいただきたいと願っております、ジョージと申します。女王陛下にはお許しをいただきました」
ロサダマスケナのピンクの花が咲き乱れるロベールベルク公爵家の門を女王陛下の騎士団と私たちの馬車が出た時、母はぽかんとしてジョージ王子を見つめていた。
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「ロベールベルク公爵夫人、私は父がいつも薬を処方いただいているローダン家の者です。父がいつもお世話になっています」
「あら、お父様はお元気かしら。あなたがローダン伯爵の息子さんでしたか」
母はウォルター・ローダン卿に戸惑いながらも微笑んだ。
「こちらは、ジョージ王子でございます。女王陛下はフラン様をジョージ王子の妃にすることをお許しになりました」
しばし、馬車の中に沈黙が訪れた。
「あなたはあのジョージさま……?」
「はい、お義母様。フラン嬢なしではわたくし生きてはいけぬほど彼女を愛しております。婚約をお許しください。結婚したいと考えております」
ジョージ王子は真剣に母に許しを請うた。
「フラン、そうなの?」
母は私を見つめて囁くように聞いてきた。
「はい、お母様。私はジョージ王子を愛しております。共に人生を歩いていきたいのです」
母は嬉しそうに微笑んだ。
小さな声でジョージ王子に「娘をよろしくお願いします」と言った。母は安心したかのように目をつぶった。色々起きて疲れたのだろう。
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私はまもなく16歳になる。婚約して、その先の将来、私は少し大人になったジョージと結ばれるのだ。
あれが予知であってほしいと私は願う。
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