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第二章 恋
女王陛下 フランSide
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「女王陛下が必要があれば陛下自らが話すとおっしゃられています。どうぞこちらへ」
ウォルターはダークブロンドの髪を撫で付けていた。それほど長くはない。カツラをかぶる趣味は無さそうだ。馬番ジョージはうなずいた。ウォルターは私の方を見つめている。
「あなた一体何者なのかしら?」
私は馬番ジョージに聞いた。ウォルターは明らかに貴族階級の出だ。それなのに、二人のやりとりはウォルターの方が圧倒的に身分が下であるかのような振る舞いだ。
「フォーチェスター城の馬番で、ヘンリード校の3期生に認められた男だよ。ただそれだけだ」
私は腕組みをしてジョージを見つめた。女王陛下にお会いするのは初めてだ。私は背筋を伸ばした。馬番ジョージはなぜか女王陛下とも顔見知りのようだ。よく分からないが、陛下自らご説明されるとあれば、私はお会いして聞くしかあるまい。
「女王陛下のところに案内してくださるかしら?」
私はウォルターに伝えた。
「彼はウォルター・ローダン卿だ。ローダン伯爵家のご子息だよ」
馬番ジョージはさりげなく私にウォルターの情報を伝えてくれた。
「あら、ローダン伯爵はお元気かしら。母がよく薬を届けていました」
私はまるで知り合いにあったようにあったかのように嬉しく思った。ローダン伯爵と母は良い友人関係だったように思う。
「はい、ロベールベルク公爵夫人の薬のおかげで元気にしております。私も感謝申し上げます」
濡れがらすのように黒づくめのウォルターは笑みを浮かべて私に話した。彼が笑うと何か妙だ。迫力があった。
「それは良かったわ。母は……」
私は不意に鼻の奥がツンと痛み、涙が込み上げてきたので慌てて言葉を飲み込んだ。声が震えてはならない。これから女王陛下にお会いするのだ。涙は忘れ去るのだ。
―しっかりしなさい、フラン!
私は心の中で自分を厳しく叱責した。上に立つ身分の者は感情を露わにしてはならない。女王陛下の前では尚更そうだ。気をしっかりと保つ必要がある。
私は黙ってウォルターに従って歩いた。フォーチェスター城内部奥深くにどんどんウォルターは進んでいく。女王の住まいは非常に豪華だった。だが、私はその調度のどれもほとんど目に入らなかった。初めてお会いする陛下のことで頭がいっぱいだったのだ。
私たちの後ろから馬番ジョージはついてきていたが、彼も非常に慣れた様子でリラックスして歩いていた。3人の中で私一人がガチガチに緊張していた。
「こちらでお待ちです」
ウォルターは重厚な扉の前で、私を振り向いてささやいた。
「いいわ。心の準備ができたわ」
私は小声でウォルターに伝えた。ウォルターはかすかに笑みを浮かべドアの外で待機していた従者に私の名を告げた。
「女王陛下。フラン・マルガレーテ・ロベールベルク嬢です」
一瞬の間があって、低い女性の声がした。
「入りなさい」
扉がゆっくり開けられて、私は中に滑り込んだ。完璧なカーテシーをしなければ!
初めて見た女王陛下は若々しかった。噂通り、大きなラッフルを首周りにつけていた。とても華やかで美しい印象だ。
エヴァのなりたがっている「メイド・オブ・オナー」たちがゴッファリングアイロンで丁寧にアイロンしたのだろうか、とふと私は思った。女王陛下には人を喜んでそうさせたいと思う何かがあった。
「あなたが、フランね。驚くほどそっくりだわ。リサがあなたたちを救うために時間を戻しました。二週間も。リサは本気だったのですよ。これはあなたにも理解して欲しいポイントなのです」
私は静かにうなずいた。リサの本気は私も知っている。
「赤い鷲はロベールベルク公爵家の森を手に入れて、あなたの母君の公爵夫人の薬を作り出す力を狙っていました。赤い鷲のことを聞いたことがあるかしら?」
私は思っても見ない名前が出てきて驚いた。
「赤い鷲とは、スルエラの艦隊の帆に書かれているあのマークのことだと理解しておりますが」
私は急に話が広がったので戸惑いながら答えた。
「そう。背景にいるのはスルエラです。あなたたちの森と母君を狙っています。おそらくロベールベルク公爵も彼らが捉えたのだと私は考えています」
私は自分の後ろに馬番ジョージがいることに気づいた。馬番ジョージは女王陛下に臆することなく突っ立っている。
――ダメじゃない!ジョージ、頭を低く下げて腰を下げて!
私は目配せをジョージにした。ジョージは「何?」という様子で私を見つめ返した。
――だから、あなたは馬番だから……!
私は必死で百面相のような表情になってジョージに目配せをした。こんなことでジョージが咎められるようなことになっては困る。
「で、私の王子の意中の相手がこれほど魅力的だとは私も思わなかったわ」
女王はふっと笑い出して言った。
私はポカンとして女王陛下を見つめた。
――王子?
どこに王子が登場したのだろう。私は話の意味がわからなくて女王陛下をひたすら見つめていた目を伏せた。あまりに見つめすぎると失礼だろう。
「ジョージ、今日はフランを馬に乗せてライラックの木とりんごの木を飛び越えたわね。見ていたわ。あなたすごいわ。あなたの能力を引き上げてくれる女性についに出会ったのね」
私はジョージを振り返った。ジョージは顔を赤らめている。
「あなたは候補でいいわ」
女王は小さくつぶやいた。
――ヘンリード校の3期生でいいということですね……。良かった。
「スルエラは本気よ。リサが飲み込まれたのかどうか、あなたは真意を確認してきてくれるかしら。彼女はあなたの母親を救おうとした。公爵家を救おうとしたわ。彼女の正体がスルエラにバレたら、おそらく彼女の能力もスルエラは欲しがるわ。リサが危険になる。あなたの元婚約者はとんでもないイカサマ師だけれど、あなたの祖父はそれ以上だったと聞くわ」
女王陛下はグッと身を乗り出してきた。
「スルエラに私たちが仕掛けたことを気づかれてはならないの。部外者が下手に動けないの。あなたなら、リサとミカエルの間に何が起きているか真実を調べることができるわ。できるかしら?」
私はうなずいた。
「祖父の名にかけて、イカサマ師には今度は負けませんわ。祖父が海賊まがいのことをしていたことは事実です。スルエラはその頃から祖父の敵ですわ。つまり、ロベールベルク家はまんまとスルエラにしてやられるわけにはいきません」
私はキッパリと宣言した。
「そのいきよ、フラン嬢。ルイがロベールベルク公爵家に潜んでいるわ。彼と連絡を取ってうまくリサとあなたが入れ替わって、ミカエルと会うの。そしてリサとも会話するのよ。うまく行くことを願っているわ」
嵐のような早さで女王陛下と私の会話は終わった。
唯一疑問が残ったのは「王子」に私は会ったこともないということだった。だが、今晩は城の部屋に泊まって、明日の朝早くにローダン卿が用意した馬車でロベールベルク侯爵家に行くのだ。よく分からなかったことをくよくよ考えている時間はなかった。
私はジョージに女王陛下にお会いした時の礼儀作法について、コンコンと説教をした。
彼は面倒くさそうだが、聞いてはくれた。その様子をウォルター・ローダン卿は吹き出しそうな様子で見ていたが、私は一切容赦しなかった。礼儀を守らなかった馬番がどうなるのか考える方が怖かったから。
ウォルターはダークブロンドの髪を撫で付けていた。それほど長くはない。カツラをかぶる趣味は無さそうだ。馬番ジョージはうなずいた。ウォルターは私の方を見つめている。
「あなた一体何者なのかしら?」
私は馬番ジョージに聞いた。ウォルターは明らかに貴族階級の出だ。それなのに、二人のやりとりはウォルターの方が圧倒的に身分が下であるかのような振る舞いだ。
「フォーチェスター城の馬番で、ヘンリード校の3期生に認められた男だよ。ただそれだけだ」
私は腕組みをしてジョージを見つめた。女王陛下にお会いするのは初めてだ。私は背筋を伸ばした。馬番ジョージはなぜか女王陛下とも顔見知りのようだ。よく分からないが、陛下自らご説明されるとあれば、私はお会いして聞くしかあるまい。
「女王陛下のところに案内してくださるかしら?」
私はウォルターに伝えた。
「彼はウォルター・ローダン卿だ。ローダン伯爵家のご子息だよ」
馬番ジョージはさりげなく私にウォルターの情報を伝えてくれた。
「あら、ローダン伯爵はお元気かしら。母がよく薬を届けていました」
私はまるで知り合いにあったようにあったかのように嬉しく思った。ローダン伯爵と母は良い友人関係だったように思う。
「はい、ロベールベルク公爵夫人の薬のおかげで元気にしております。私も感謝申し上げます」
濡れがらすのように黒づくめのウォルターは笑みを浮かべて私に話した。彼が笑うと何か妙だ。迫力があった。
「それは良かったわ。母は……」
私は不意に鼻の奥がツンと痛み、涙が込み上げてきたので慌てて言葉を飲み込んだ。声が震えてはならない。これから女王陛下にお会いするのだ。涙は忘れ去るのだ。
―しっかりしなさい、フラン!
私は心の中で自分を厳しく叱責した。上に立つ身分の者は感情を露わにしてはならない。女王陛下の前では尚更そうだ。気をしっかりと保つ必要がある。
私は黙ってウォルターに従って歩いた。フォーチェスター城内部奥深くにどんどんウォルターは進んでいく。女王の住まいは非常に豪華だった。だが、私はその調度のどれもほとんど目に入らなかった。初めてお会いする陛下のことで頭がいっぱいだったのだ。
私たちの後ろから馬番ジョージはついてきていたが、彼も非常に慣れた様子でリラックスして歩いていた。3人の中で私一人がガチガチに緊張していた。
「こちらでお待ちです」
ウォルターは重厚な扉の前で、私を振り向いてささやいた。
「いいわ。心の準備ができたわ」
私は小声でウォルターに伝えた。ウォルターはかすかに笑みを浮かべドアの外で待機していた従者に私の名を告げた。
「女王陛下。フラン・マルガレーテ・ロベールベルク嬢です」
一瞬の間があって、低い女性の声がした。
「入りなさい」
扉がゆっくり開けられて、私は中に滑り込んだ。完璧なカーテシーをしなければ!
初めて見た女王陛下は若々しかった。噂通り、大きなラッフルを首周りにつけていた。とても華やかで美しい印象だ。
エヴァのなりたがっている「メイド・オブ・オナー」たちがゴッファリングアイロンで丁寧にアイロンしたのだろうか、とふと私は思った。女王陛下には人を喜んでそうさせたいと思う何かがあった。
「あなたが、フランね。驚くほどそっくりだわ。リサがあなたたちを救うために時間を戻しました。二週間も。リサは本気だったのですよ。これはあなたにも理解して欲しいポイントなのです」
私は静かにうなずいた。リサの本気は私も知っている。
「赤い鷲はロベールベルク公爵家の森を手に入れて、あなたの母君の公爵夫人の薬を作り出す力を狙っていました。赤い鷲のことを聞いたことがあるかしら?」
私は思っても見ない名前が出てきて驚いた。
「赤い鷲とは、スルエラの艦隊の帆に書かれているあのマークのことだと理解しておりますが」
私は急に話が広がったので戸惑いながら答えた。
「そう。背景にいるのはスルエラです。あなたたちの森と母君を狙っています。おそらくロベールベルク公爵も彼らが捉えたのだと私は考えています」
私は自分の後ろに馬番ジョージがいることに気づいた。馬番ジョージは女王陛下に臆することなく突っ立っている。
――ダメじゃない!ジョージ、頭を低く下げて腰を下げて!
私は目配せをジョージにした。ジョージは「何?」という様子で私を見つめ返した。
――だから、あなたは馬番だから……!
私は必死で百面相のような表情になってジョージに目配せをした。こんなことでジョージが咎められるようなことになっては困る。
「で、私の王子の意中の相手がこれほど魅力的だとは私も思わなかったわ」
女王はふっと笑い出して言った。
私はポカンとして女王陛下を見つめた。
――王子?
どこに王子が登場したのだろう。私は話の意味がわからなくて女王陛下をひたすら見つめていた目を伏せた。あまりに見つめすぎると失礼だろう。
「ジョージ、今日はフランを馬に乗せてライラックの木とりんごの木を飛び越えたわね。見ていたわ。あなたすごいわ。あなたの能力を引き上げてくれる女性についに出会ったのね」
私はジョージを振り返った。ジョージは顔を赤らめている。
「あなたは候補でいいわ」
女王は小さくつぶやいた。
――ヘンリード校の3期生でいいということですね……。良かった。
「スルエラは本気よ。リサが飲み込まれたのかどうか、あなたは真意を確認してきてくれるかしら。彼女はあなたの母親を救おうとした。公爵家を救おうとしたわ。彼女の正体がスルエラにバレたら、おそらく彼女の能力もスルエラは欲しがるわ。リサが危険になる。あなたの元婚約者はとんでもないイカサマ師だけれど、あなたの祖父はそれ以上だったと聞くわ」
女王陛下はグッと身を乗り出してきた。
「スルエラに私たちが仕掛けたことを気づかれてはならないの。部外者が下手に動けないの。あなたなら、リサとミカエルの間に何が起きているか真実を調べることができるわ。できるかしら?」
私はうなずいた。
「祖父の名にかけて、イカサマ師には今度は負けませんわ。祖父が海賊まがいのことをしていたことは事実です。スルエラはその頃から祖父の敵ですわ。つまり、ロベールベルク家はまんまとスルエラにしてやられるわけにはいきません」
私はキッパリと宣言した。
「そのいきよ、フラン嬢。ルイがロベールベルク公爵家に潜んでいるわ。彼と連絡を取ってうまくリサとあなたが入れ替わって、ミカエルと会うの。そしてリサとも会話するのよ。うまく行くことを願っているわ」
嵐のような早さで女王陛下と私の会話は終わった。
唯一疑問が残ったのは「王子」に私は会ったこともないということだった。だが、今晩は城の部屋に泊まって、明日の朝早くにローダン卿が用意した馬車でロベールベルク侯爵家に行くのだ。よく分からなかったことをくよくよ考えている時間はなかった。
私はジョージに女王陛下にお会いした時の礼儀作法について、コンコンと説教をした。
彼は面倒くさそうだが、聞いてはくれた。その様子をウォルター・ローダン卿は吹き出しそうな様子で見ていたが、私は一切容赦しなかった。礼儀を守らなかった馬番がどうなるのか考える方が怖かったから。
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