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春の日差しのように

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 春の日差しのようなジョシュアの笑顔が眩しい。初恋の人はこうまでも私の心を浮き立たせるのか。

 君主としての彼を見るのは感慨深い。圧倒的な魔力を有すると言われるジョシュアと私の組み合わせは、国に安定を少なからずもたらしていた。
 
 まず、外交的な側面で、無闇に喧嘩をふっかけられてあわや戦争か?となりがちな外交危機が減った。龍とペガサスの紋章が夜空に浮かび上がった話は、多少の尾鰭がついて伝説であるかのように諸外国に伝わったようだ。これは良いことだ。戦わなくても良い機会が増えたことになる。

 チュゴアート王朝時代に嫌がらせを繰り返していた隣国の大臣に、ジョシュアと私の連名で書状を送付したところ、雅な贈り物が大量に届いた。

「貢ぎものだねっ、ふふっ」

 ハリー宰相は満足気に笑っていたが、私は先のノア皇太子時代の隣国の対応を知っているので、薄気味悪ぐらいに良い人ぶっていると内心思った。ただ、それ自体は国にとっては良いことなので放っておいた。

 国内を見渡せば、バリイエルのジョシュアとチュゴアートの私が婚姻することで、くだらぬ足の引っ張り合いは減少した。私たちの逆鱗に触れると圧倒的魔力で何か仕返しをされると思われ始めたのだ。よって、私たちが目くじらを立てるような諍いを互いに避け始めたようだ。

 良いことだ。

「グレース、そんなに私に見つめると恥ずかしい」

 玉座に座るジョシュアが私だけに聞こえる大きさで、ささやいてきた。

「あなたがあまりに素敵なので」

 ジョシュアは大袈裟に胸を抑えた。

「ドキュン……っ!初恋の人に未だにそう言ってもらえるなんて、嬉しすぎる」
「国務中ですよっ国王」

 私は照れて真っ赤になった。ジョシュアもほんのりと頬を赤く染めている。

 ジョシュアが立ち上がってサッと手を伸ばしてきて、私にささやいた。

「二人だけで休暇を取ろう。僕らは初めての続きをやろう」
「どういう意味でしょう」
「その……」

 ジョシュアは何かを言いかけて、私を抱きすくめて口付けをした。

「僕らの魔力が最強だと噂になっているけれど、そのままにしておこうか?国にとってはその方が都合がよさそうだ」

「はい。時々、私の自分の魔力の限界を試してみたいと思うのです。」

「わかった。結婚式を国民の前で行う時に、皆が楽しめるものをやってみようか?」
「良いですね。いよいよこの国で結婚式を行うのですね。ミラのところでやっていただいた大聖堂での結婚式も幸せでしたけれども」

「そうだな。魔力の限界をどう楽しく示すか、考えよう」

 春の日差しのように笑う私の君主は、今でも私の最愛の人だ。


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