別れた初恋の人が君主になったので、公爵家の悪女と囁かれながらも嫁ぐことになりました

西野歌夏

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命を救われたら(3)※

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 少しジョシュアの声が優しくなったのは気のせいだろうか。

「そうか……」

 私は頭を撫でられたと思ったら、抱きしめられて胸の先を舐められ刺激され、また激しく突き上げられた。唇を奪われる。

 あぁっん…あぁっん…あぁっん…っ

 グレース……

 昔のようにジョシュアが耳元で囁いた。私はその瞬間に何かが爆発したようなようになり、私は快感の高みに達して体を痙攣させた。ジョシュアも高みに達した。

 あぁんっ!

 私たちはしばらく抱き合ったまま動けなかった。

 黙って二人でお湯に浸かり、石鹸で綺麗に洗い合った。私は顔を洗うフリをして泣いた。ジョシュアも顔を洗うフリをして泣いていた。ジョシュアがどういう気持ちなのかは聞けなかった。

 私はまたジョシュアに抱かれてとても嬉しかった。でも、ジョシュアには私の震えるような嬉しさは迷惑だろうと思ってしまった。一度裏切ってしまってひっくり返ってしまった信頼は、二度と戻らないのだと思う。

「さあ、急がないと」
 
 ジョシュアはそういうと吹っ切れたように浴室の外に出ていき、私も素早く服を着た。

 リジーフォード宮殿で私が男性に抱かれたのは初めてのことだった。皇太子と私の寝室では一度もなく、貴賓室の浴室で私は初恋の人に抱かれた。私を抱いた男の人はジョシュアただ一人だ。

 その事実は、私の心の中に幸せの光をくれた。夫のノア皇太子が私を嫌ったのは、私にとっては幸せなことだったのかもしれない。ジョシュアの後を3年後にまたジョシュアが満たしてくれたのだから。

 ――神様。もう一度ジョシュアにあわせていただき、もう一度抱いてもらえるチャンスを頂けて、本当にありがとうございました。

 二十歳の私はセカンドバージンをこうして失った。ジョシュアを裏切って別れて王家に嫁いで以来、夫にも抱かれなかった私はもう一度最愛の人に抱いてもらえた。

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