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魔女の言葉
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美しいノーキーフォットの街の外れに大きな森があり、魔女が住んでいた。彼女は私とジョシュアを一目見ただけで龍とペガサスの家系だと分かった。
「魔力はある。だが見返りが必要な魔力だ。侯爵家と伯爵家なのだから魔力など不要。十分恵まれた生活が送れるのだから帰りなさい」
すぐに身元を言い当てられて魔女に私たちは追い払われた。
私とジョシュアは必死に魔女に食い下がった。
「愚か者。既に誓約をしてしまったのか。一緒になれなければ、魔力が封印されてしまうのじゃぞ。もう帰りなさい」
魔女は冷たく私たちに言い放った。
一度は追い払われた私たちだったが、毎日のように食べ物やお酒の差し入れを持って魔女の家を訪ねた。そのうち、年老いた魔女は魔術経典を見たり書物を読むことを許してくれた。
ついにある日、魔女は私とジョシュアに呪文を教えてくれた。
「これは二人一緒になれる呪文だ。しかしこの呪文を使ってしまったらお返しに金塊を大量に用意する必要がある。この世界にない異世界の金塊を用意しなければならない」
「異世界の金塊……?」
私とジョシュアは愕然とした。そんなものを用意できるはずがない。
「もう1つある。呪文は命の危険に晒された時も使える。ただしやはり、異世界の金塊を大量に用意する必要がある」
『異世界の金塊』というその言葉は私とジョシュアの想像を遥かに超えていた。
結局私は呪文を使うのを諦めた。私にもジョシュアにも、金塊を大量に用意する術がなかったから。
私は侯爵家の部屋にこもりきりになり、ベッドの中で泣き続けた。生涯、他の誰も愛せない気がしてこの世の終わりのように感じた。最後に会った時にジョシュアは駆け落ちしようと言った。家から出てしまえば、自由に結婚できるからと。
3年前のあの日、私はジョシュアを諦めた。駆け落ちをする約束の日に結局私は行かなかったのだ。ジョシュアを裏切って、ノア皇太子の求婚を受け入れた。
ノア皇太子は私より二十歳も年上だが、長年女遊びにうつつを抜かしており、誰も嫁に迎えようとしなかった。けれども、魔女を訪ねていく私とジョシュアを偶然にも見かけ、私に異常な興味を示した。私とジョシュアのことを知ったのだ。
ノア皇太子は、私の父に私を嫁に欲しいと切望した。
皇太子は結婚を切望したくせに、私がジョシュアとの縁を断ち切って王家に嫁いだ途端に私への興味を失った。彼は私とジョシュアと離れたことが決定的になると、ほくそ笑んで私を放っておいた。
私は色恋にうつつを抜かす夫に代わって国務に打ち込んだ。
七人もの側妃の他に、結婚生活三年の間に夫の皇太子が作った愛人は大勢いた。
呪文を教わった当時は、『命の危険に晒された時も使える』という、呪文のこちらの効果のことはあまり考えていなかった。三年あまりが過ぎて、ジョシュアの部屋でリリアに殺されて戻った時に私はその効果を思い出したのだ。
私は二度目にリリアから短剣で襲われた時、この呪文を使った。
「魔力はある。だが見返りが必要な魔力だ。侯爵家と伯爵家なのだから魔力など不要。十分恵まれた生活が送れるのだから帰りなさい」
すぐに身元を言い当てられて魔女に私たちは追い払われた。
私とジョシュアは必死に魔女に食い下がった。
「愚か者。既に誓約をしてしまったのか。一緒になれなければ、魔力が封印されてしまうのじゃぞ。もう帰りなさい」
魔女は冷たく私たちに言い放った。
一度は追い払われた私たちだったが、毎日のように食べ物やお酒の差し入れを持って魔女の家を訪ねた。そのうち、年老いた魔女は魔術経典を見たり書物を読むことを許してくれた。
ついにある日、魔女は私とジョシュアに呪文を教えてくれた。
「これは二人一緒になれる呪文だ。しかしこの呪文を使ってしまったらお返しに金塊を大量に用意する必要がある。この世界にない異世界の金塊を用意しなければならない」
「異世界の金塊……?」
私とジョシュアは愕然とした。そんなものを用意できるはずがない。
「もう1つある。呪文は命の危険に晒された時も使える。ただしやはり、異世界の金塊を大量に用意する必要がある」
『異世界の金塊』というその言葉は私とジョシュアの想像を遥かに超えていた。
結局私は呪文を使うのを諦めた。私にもジョシュアにも、金塊を大量に用意する術がなかったから。
私は侯爵家の部屋にこもりきりになり、ベッドの中で泣き続けた。生涯、他の誰も愛せない気がしてこの世の終わりのように感じた。最後に会った時にジョシュアは駆け落ちしようと言った。家から出てしまえば、自由に結婚できるからと。
3年前のあの日、私はジョシュアを諦めた。駆け落ちをする約束の日に結局私は行かなかったのだ。ジョシュアを裏切って、ノア皇太子の求婚を受け入れた。
ノア皇太子は私より二十歳も年上だが、長年女遊びにうつつを抜かしており、誰も嫁に迎えようとしなかった。けれども、魔女を訪ねていく私とジョシュアを偶然にも見かけ、私に異常な興味を示した。私とジョシュアのことを知ったのだ。
ノア皇太子は、私の父に私を嫁に欲しいと切望した。
皇太子は結婚を切望したくせに、私がジョシュアとの縁を断ち切って王家に嫁いだ途端に私への興味を失った。彼は私とジョシュアと離れたことが決定的になると、ほくそ笑んで私を放っておいた。
私は色恋にうつつを抜かす夫に代わって国務に打ち込んだ。
七人もの側妃の他に、結婚生活三年の間に夫の皇太子が作った愛人は大勢いた。
呪文を教わった当時は、『命の危険に晒された時も使える』という、呪文のこちらの効果のことはあまり考えていなかった。三年あまりが過ぎて、ジョシュアの部屋でリリアに殺されて戻った時に私はその効果を思い出したのだ。
私は二度目にリリアから短剣で襲われた時、この呪文を使った。
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