5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる

西野歌夏

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第一章

8年越しの敵の思い

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 答えは出たかもしれない。

 猛烈な勢いで大きな胸を揺らしてプラチナブロンドの髪を靡かせ、敵に風のように突進してくるレティシアを見つめながら、私は考えていた。

 レティシアは投げられた短剣をかわすと、踵を返して短剣を投げた男に突進して飛び蹴りをした。ドレスが大きくふわりと広がり、レティシアのプラチナブロンドの髪が太陽を反射して煌めく。

 長い髪を束ねて纏めているラファエルの動きがそれに重なり、私の視界には二人の長い髪が太陽を反射する中できらりと交差するようにも見えた。

 ラファエルは私に向かって剣を抜こうとした男を蹴った。

 私の左側にいた二人の男が問題を起こしたのだ。一人はレティシアに短剣を投げ、一人は短剣を抜いて私に飛びかかってこようとした。

 おそらく、先ほどレティシアが長弓から放れた矢を猛烈な勢いで叩きはらったこと、私が馬で突進して敵の男に飛び降って敵の男を倒したこと、つまり二人で敵の攻撃を封じたことが原因だろう。だからレティシアと私が直接敵に狙われたのだろう。

 レティシアとラファエルの動きは、子供の頃から一緒に鍛錬していたというのがよく分かる動きだった。レティシアはジークベインリードハルトの『皇帝の孫の花嫁』になるべく育てられたという話は、間違いなさそうだ。後から二人の間に割り込んだのは私の方だ。

 ぼんやりと二人の動きを見つめながら、敵に内通しているのは陸路側の方だろうと考えていた。

 短剣を投げた男が騎士にとらえられ、私に剣を向けた男がラファエルにとらえられた。これで先ほどの3人に加えて2人の敵をとらえた。私は荒く息を切らしながらも豪快に髪をかき上げているレティシアに声をかけた。

「なぜ、あなたはラファエルと私がブロワの街を訪問すると思ったの?レティシア、あなたはブロワに私たちがくると思って港で待ち構えていたのでしょう?」
「ブロワにあなた達が来ると思ったのは、それは私の勘よ」

 レティシアは面倒くさいことを聞かないでといった様子で答えた。

「本当にあなたはただの勘だけできたのかしら。他に何か思ったことはなかったのかしら?」
「ないわよ。宿屋で陸路を進むと聞いたわ。でも、私の直感はあなた達はこの街を訪れると予感していたの。風光明媚だからかしら?この国一番の美しい街だからかしら。ここで私とラファエルのロマンティックな恋が再開できると期待したからかしら?」

 レティシアは自分で自分の勘について解説を始めた。腕組みをして考え込んでいる。

「敵は、ラファエルと私が新婚だから、ロマンティックなこの街を訪れると思ったのかしら」

 私も敵の行動の理由を推測してみた。

「あ……まあ、あなた達はお互いに夢中には見えるわよね。確かに敵がそう思ってもおかしくはないわ」

 レティシアは美しい顔をしかめて、明らかに気乗りがしなそうな調子で続けた。そんなことは思いたくもないといった様子で、イヤイヤながらも推理しているといった様子だった。

「馬車で7日進むとカルカッソンヌだった。もしくは、国一番の美しい街ブロワだった……なんて王道的な大陸の旅を期待するか。それとも、花嫁は新郎と魅惑の街を訪れてロマンティックな子作りに励む。この2択だとすると、そうねぇ……魅惑の街を訪れそうな雰囲気があなた達にはあるわよねぇ……って私は一体何を言っているのかしら?」

 レティシアは冷静に指を振りながら名推理をしているような調子で続けていたが、ハッと我に返った様子でイライラと首を振った。

「ふふっ……あなたは意外に私とラファエルの恋仲を評価しているのね」

 私が嬉しさあまって頬を緩ませてレティシアにささやくと、レティシアは顔を真っ赤にして憤慨した様子になった。そして天使のような美しい顔を斜めにして私を睨んだ。

「そ……そんなわけがあるはずがないでしょうっ!私の気持ちは一旦置いておいて、敵の考えを推理するとね?そうなるっていうだけでしょう」

 私はそうかそうかとうなずいた。レティシアは本当に良い女性なのかもしれない。私はレティシアを好ましく思い始めている自分に気づいた。

 レティシアは続けた。

「恋のぎこちなさ、恋のときめき、恋の再開と冒険……そう言うのを私とラファエルの間に再構築するならば……よ?私は絶対にこのブロワの街を最初に選ぶわ。だから、私はここに賭けたのよ。私の勘は当たっていたわ。ラファエルがここにくると私が思ったのは、私がラファエルにここにきて欲しかったから」

「分かったわ」

 私は静かにうなずいた。憤慨するレティシアの言葉は素直に私に響いた。彼女には正直に話した方が良さそうだ。

 大陸を横断する旅の陸路側ルートのグループに内通者はいるようだ。なぜなら、このブロワの街で下船すると思わなければここで待ってはいないだろう。船に乗っている者がこの街で下船すると知ったのは、下船の直前だった。彼らに誰かに連絡をとる時間はなかった。ならば、陸路側はどうだろう。毒キノコの罠に嵌まらなかった私たちが、次に下船するだろう街を予測して、その街を目掛けて準備をするとしたら?陸路側には準備をする猶予があったのだ。

 私が見ている限り、水路側ルートを一緒に辿る皆には怪しい動きはなかったと思う。あの時、毒キノコに気づいた後に宿屋から城にすぐに入った。城で外部の人間に接触できたとは思えない。最初から城に私たちを狙っている人間が潜んでいたなら、きっと城で攻撃してきただろう。でも、私たちは城の中では無事だった。城から水路に向かう途中、彼らは誰とも接触しなかった。まっすぐに船に乗った。

 内通者がいるとすれば、陸路を進むメンバーの中にいる。


「実は昨日ベルタの宿屋で毒キノコを料理に入れられたの。私が気づいたから、結局は敵の罠には嵌まらず、ほぼ誰も毒キノコを食べなかったの。けれどもラファエルだけほんの少し食べてしまったのよ。彼が摂取したのは少量だったのでなんとか難を逃れたわ」
「なんですって!?」

 レティシアは本気で驚いた様子だった。

「毒キノコは致命傷のものだったのかしら?」
「いえ、神経性の毒キノコよ。数時間は幻覚を見たり、暴れたり、幻聴が聞こえるわ。ただその状態に陥った私たちを、敵は宿屋で殺すつもりだったのだと思う」

 私の言葉にレティシアは眉をひそめて、険しい表情になった。せわしなく指を組んだり外したりしてどこか宙を見つめて考え込んだ。

「皇帝の孫を狙ったのね」
「ええ、あなたもそう思うでしょう?大国ジークベインリードハルトの陰謀に巻き込まれたと考えるべきよね」

 レティシアはうなずいた。唇を噛み締めていて、悔しそうだ。

「そうね。皇帝の後継者争いよ。でも、ラファエルを殺したい敵はなぜベルタとブロワにあなた達がやってくると考えたのかしら。あなた達が魅惑的な旅に出ると予想しても、私はベルタの街は立ち寄る先の候補に入れていなかったのよ」

「そこなのよ。皇后の側近に敵が潜んでいるのかもしれないわ。ラファエルのおばあ様の側近に」
「おばあ様の側近に?なぜそう思うの?」

 レティシアは驚いた様子だった。

「8年前、お忍びでこの国に訪れた皇后は、あちこちの城に宝石を預けて、ラファエルが訪ねてきたら丁重にもてなしてほしいとお願いしていたらしいの。そして、ラファエルには手紙を出して、困ったことがあったら、その街の城を訪ねるようにと伝えていたらしいわ」

「なので、ベルタは偶然私たちが立ち寄っただけだったけれど、敵は待ち構えていたのかもしれないわ。ベルタの街の城におばあ様は宝石を預けていたのよ。でも、ラファエルは宿屋で毒キノコが出されたから城に助けを求めたのであって、偶然たまたま敵の読みと同じ行動をしただけなのよ」

 レティシアはじっと考え込んでいる。ラファエルが呼んでいる声がした。

「ロザーラ!そろそろ行こう」

 取り押さえられた5人の敵は縄をつけられて、一緒に城まで連れていくということらしかった。

「今行くわ!あなたも一緒にくる?昼食をいただけないか、エーリヒ城を訪ねるのよ」

「あなた、まさか?それはおばあ様の手紙にエーリヒ城が書いてあったからなのかしら?」

 レティシアは青ざめた様子で聞いてきた。

「そうよ」
「そうならば、8年前から仕組まれた罠よ。きっとそう」

 レティシアは一人でうんうんとうなずきながら、ぐるぐると小さな円を描くように辺りを歩き回った。

「後継者争いが活発化して、ラファエルのお母様は私との婚約を解消させて、無理矢理ラファエルをこの国に修行に出したのよ。それが約10年前のことよ。おばあ様は8年前に密かに孫のラファエルの様子を見にきたのね。そして宝石を立ち寄った城に預けた。でも、そのことを知っているのは当時の側近だけよね」

「8年越しの敵の思い……」
 
 私がそうつぶやいた瞬間に、ラファエルがすぐそばにやってきて、私たち二人に告げた。

「エーリヒ城にレティシアも一緒に行くか?」
「もちろんよっ!」

 レティシアはそう笑って答えている。私は内心、エーリヒ城にレティシアが一緒に行ってくれることにほっとしていた。

 命を立て続けに狙われている状態なので、剣使いのレティシアが同行してくれると本当に助かると思ったのだ。

「ラファエルを守るために、ラファエルのお母様は私との婚約を解消させて、ラファエルをこの国に修行に出した。でも、結局今も命を狙われてしまっているなら、私が婚約解消する必要なんてあったのかしら?意味がなかったのじゃないかしら?私は損をしたということにならないかしら?」

「そうなるかもしれないわ……」

 レティシアは憤慨した表情で、美しい天使のような顔を歪めて頬を膨らませた。

「ちょっと待って。婚約解消する必要がないなら、私のこの失恋のような気持ちは完全に無意味なものだわ。無駄だったのじゃないかしらっ!?」
「そう……なるかもしれないわね……」

 私は恋敵ながら、レティシアを気の毒だと思ってしまった。

「許せないわ。ラファエルの命を狙った敵には目にものを見せてやるわ」

 ――死神さま。最初の雪の中での凍死を回避しようとした選択で、第一王子ウィリアムと婚約をして婚約破棄をしました。それをきっかけとして、陛下のはからいでラファエルと私は結婚することになりました。私が凍死を回避しようとしたために、レティシアの失恋が決定的になりましたよね……?

 私が生き延びたから、目の前の美しいレティシアの失恋が確定したのは間違いないだろう。

 私はラファエルに恋焦がれていて、レティシアの気持ちは理解できた。

 私は真っ赤な赤毛でそばかすだらけの頬をした侍女のベアトリスをそっと手招きして呼んだ。彼女は私の少し離れたところで、私とレティシアの様子をさりげなく見守っていた。

「なんでしょう、奥様」
「あちらの美味しそうな屋台で、ゴーフリとウーブリとダリオルとペニエを買ってきてくださらないかしら?レティシア、あなた好きよね?」
「ええ、お菓子は大好きよっ!」

 レティシアはさっきから美味しそうな匂いをさせている屋台の話題に突然なって、思わず花が開花するような笑みを溢れさせた。

 私はレティシアのやりきれない気持ちを甘いお菓子で和ませようと、咄嗟に目の前に並ぶ屋台に侍女を買いにいかせた。

 城で歓迎されて昼食を食べれるなら良いけれども、ブロワの街につくなり敵に襲われて撃退したので、お腹が空いてきていた。レティシアはもっとお腹が空いているはずだ。彼女は恋のやるせない苛立ちも抱えているのだから。

 屋台で買った甘くて美味しいお菓子を私たちは仲良く食べた。ベアトリスもジュリアもレティシアの侍女も一緒に食べたお菓子は、切ない甘さだったけれども、失恋した女友達を慰めるという初めての私の経験に力を貸してくれた。

「私はレティシア・コーネリー・モンテヌオーヴォよ。ジークベインリードハルトのモンテヌオーヴォ公爵家の娘だけれど、あなたのいうようにドレスより剣が好きなのよ。この話をするのはあなたが初めてよ」

「私はロザーラ・アリーシャ・エヴルーよ。結婚するまでは没落令嬢だったわ」
「今は違うでしょう。結婚したのだからあなたはロザーラ・アリーシャ・リシェール・ジークベインリードハルトよ。自覚してよ」
「そうね、分かったわ」

 私たちは、甘いお菓子で互いの距離を少し縮めたのだった。



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