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第一章
二回目の選択
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私を殺した公爵家の次男のことを覚えていないはずがない。
私は陛下がくれた褒賞金でツケの全てを支払った。家の修理について年老いた執事のピーターと共に商談を行い、前払いで支払った。執事への給金もきちんと払い、さらに1年分先払いもした。母の衣装と姉の衣装について新調するために仕立て屋に行き、それも前払いをした。仕立て屋で美しい衣装の相談をするのはとても楽しかった。
私はあの鼻持ちならない気取った話し方をする男性を許していない。だから、あの公爵家の次男が私に再び近づいてくることに備えて、周到に万全の手配を済ませた。彼に魅力を一切感じないけれども、彼の方が私に何をしでかしてくるのかまだ分からなかったからだ。私は一度彼の本性を嫌というほど見てしまっているのだから。
食料庫にも当分の食材を十分に補充して、1年先払いで料理人と侍女を呼び戻した。
そしてついに、運命のその日がやってきた。
私はこの日、天候が急変して大雪が降ると知っていた。あの日だからだ。死神が私を待ち構えているあの日だから。
私が万が一にも二度目の選択を誤ったら、死の5分前で待つ死神のところに一っ飛びに戻るだろう。
母と姉を残して死ぬのは嫌だ。自分の死への恐怖よりも、二人を残して死ぬことが怖かった。
公爵家の次男が我がエヴルー伯爵家にやってきたのはまだお昼前の午前中だった。母とマリアンヌは仕立て屋に真新しく仕立ててもらったドレスを取りに行っていて、ちょうど留守だった。
「なかなか派手に婚約破棄したらしいね」
執事に通さないでと伝える前に、ずかずかと我がエヴルー家に乗り込んできた公爵家の次男は、私の目に憎しみと冷たさが宿っているのをみて、たじろいだ。
「おやおや?半年までは君と私はなかなか仲良くやっていたと思うが?」
「ジェラール、あなたと私は今はなんの関係もないはずよ。なんの御用かしら?」
私は身体中から怒りが溢れ出てくるのを感じながら、彼を睨んだ。
――感情を露わにしてはならない。冷静にジェラールを追い払うのよ。今日はジェラールに関わってはならないわ。
「君に大事な話がある」
ジェラールはグッと私に近づいてきた。半年前なら、きっと私はこの貴族らしい育ちの良さそうな佇まいに騙されて、すっかりのぼせあがって彼の美しい瞳を見つめていただろう。
「何かしら?」
私は執事と侍女が早く部屋に戻ってくることを祈りながら冷たく彼に聞いた。
彼は私の腕をとった。手ではなく腕だ。
「君の家は使用人が少なくて助かったよ……」
ジェラールはゾッとするような猫撫で声で私の耳元に口を近づけてきてささやいた。ほのかに刺激臭がする。
「ど……どういう意味ですか!?」
私はすっと両腕を後ろにまとめられた。狩猟用ロープのようなものがチラッと目に入った。
「何をするんですかっ!」
「しーっ静かに。ほら、騒ぐと執事も侍女も君の姉の命も危ないよ」
ジェラールは私の肩に自分のコードを羽織らせて、私の腕が縛られていることをうまく隠した。
「憤った顔も素敵だねえ。さすが第一王子ウィリアムが君に夢中になって婚約をしたいと言ってきただけのことはある」
ジェラールは私の顎をぐいっと上に向けさせ、私の顔をじっとのぞき込んだ。彼は私の体にもサッと目を走らせた。
おぞましい事態だということをようやく私は悟った。
――しまったわ。前よりひどくなっているわ。これでは前回と同じく死に向かってしまうわ。
「君が第一王子と婚約するもんだから、君の価値が上がったのさ。婚約破棄するとはねぇ、実に大胆だ。自ら傷物令嬢になるなんてかわいそうに」
――前回は抵抗したら、雪の中に放り出された。だから、今回は受け入れるふりをして、どこかで逃げよう。死神さん、まだそこで待っていて!
「わかりました。あなたの元にいきましょう
私は覚悟を決めてジェラールに静かに告げた。
「お?聞き分けがいいな。だが、君を信用できないから馬車まではこのままで行こうか。美しいロザーラ嬢」
「わかりました」
――一つだけ有利なことがあるわ。これから何が起こるか私は知っているわ。抵抗したら雪の中に放り出された。あそこで死神が待っている。ならば、我慢して生き延びるのよ。周到に隙を窺うのよ。
――誘拐商売かもしれない。ジェラールは私の価値が上がったとさっき言ったわ。
私はエヴルー家の長い廊下をジェラールのコートを羽織らされて、肩をガッチリとつかまれたまま歩いた。涙は出ない。1回目の選択は少なくとも間違えなかったのだ。ならば、その影響で2回目の選択が変わっている可能性がある。
玄関を出るまで、執事も侍女も料理番の姿もまるで見えなかった。私は唇を噛み締めた。どうか彼らが無事であってほしい。
玄関を出て、用意されていた立派な公爵家の馬車に乗る時に、私は空をチラッと眺めた。雪が降りそうだ。だが、あれほどの大雪になるとはまだ思えない空模様だ。
「よし、観念したようだな」
馬車に乗り込むと向かい合って座ったジェラールは笑った。その笑顔は清々しいほど晴れやかだった。
私は心の中で祈った。
――死神さん、まだそこで待っていて!
公爵家の見覚えがある馬車が動き出したその時、エヴルー家の門の外に一台の馬車とたくさんの馬に乗った騎士たちが足を止めたのが見えた。
私の心臓が跳ね上がった。
――お願いっ!この状況に気づいてっ!
一人の男性が馬から降りてやってきた。長いマントを羽織っていて、背が高くて長い髪の毛を後ろにまとめていて、澄んだ碧の瞳を持っている。まだ若い男性だ。
彼は馬車の中のジェラールと私をちらりと認めると、公爵家の御者に馬車のドアを開けるように命じた。
「陛下の手紙だ」
背の高い彼は短くそう告げると、射るような瞳を私とジェラールに注いだ。私はそっと後ろで縛られている腕が見えるように彼の視線の前にうまく背中側を回した。ジェラールのコートはさっき彼がとったのだ。
背の高い彼の瞳が一瞬すっと細くなった。
「開けろ」
御者がドアを開けるのも待ちきれずに、自らドアを開けた背の高い男性は、私の体をギュッと抱えて馬車から一気におろした。
「な、なんだ君は!」
「私はリシャール伯だ。陛下の甥に当たる。陛下の手紙をロザーラ・アリーシャ・エヴルー嬢に預かった。陛下からの申し出がある」
慌てふためくジェラールを横目で冷たく見つめながら、私は素早く答えた。
「陛下の申し出をお受けします!」
リシャール伯は私にうなずいた。そしてジェラールを馬車から引きずり下ろした。
「どうやらこの状況では、誘拐の罪であなたを捕らえなければならないようだ」
リシャール伯は嫌悪感丸出しの表情でジェラールを見て、後ろに控えていた騎士に合図をした。そして、私が縛られていた縄を解いてくれた。
近隣の街でここ数年の間に美しくて若い娘がいなくなる事件が数件あった。もしかすると、ジェラールが公爵家の次男の立場を利用して誘拐を行なっていたものかもしれない。
この時代は誘拐した娘を高く売り飛ばして辺境の地で結婚させる商売が横行していた時代だ。
「いいのですか?陛下の提案を確認せずに受けても?」
リシャール伯は小声で私にそっと尋ねてきた。
――いいのです!二回目の選択を変えるのですから、今すぐに陛下の提案を受けますわっ
「受けますわ。私は陛下に全幅の信頼を寄せておりますから、確認など要らないですわ」
私は縄を解いてもらって、リシェール伯の分厚い胸板に頭を思わずぶつけそうになりながら、にっこりして素早く答えた。
私の笑顔を見て、リシェール伯爵は一瞬動きを止めて、わたしの顔を凝視した。
「なんだよっ!」
互いをぼんやり見つめ合った私たちは、ジェラールが騎士たちに抵抗して暴れる声にはっとした。
ジェラールは、私に縄をかけて連れ去るところを大勢の騎士に目撃されていたので、結局は観念して抵抗をやめた。公爵家の次男はこうして陛下の甥によって捕らえられたのだ。
「行くわよ。歯を食いしばりなさいっ!」
私はジェラールの頬を在らん限りの力で引っ叩いた。間髪入れずに反対の頬も引っぱたいた。私の手は痛みでじんじんとし、真っ赤に腫れ上がっている。
――この程度じゃ足りないわっ!もう2回行くわよっ!
私は体の軸を意識して、思いっきり振りかぶり、もう1回ジェラールの頬を叩いた。すぐに反対の手でさらにもう1回引っぱたいた。
「私はあなたを一生許さない。次に私の目の前に姿を現したら、あなたの命はないからっ!」
私は許せない男が狼狽えて一瞬怯えた表情をするのを見つめて、前にジリジリと詰め寄った。胸ぐらをぐっと掴んで、目を見据えていった。
「あなたを本気で絶対に許さないわよ。私を甘く見ないで」
私がそう言うと、ジェラールは目を逸らした。リシェール伯が私の両肩をそっと抱き、私はやっと我に返った。ジェラールの胸ぐらから手を離した。しかし、間髪入れずに踵で彼のつま先を死ぬほど勢いよく踏みつけた。
うぅっ!
ジェラールは泣き声をもらしたけれども、私は冷ややかな目で睨みつけたままだった。
騎士たちにジェラールは縛り上げられた。そして、しょっぴかれて連れて行かれたのだった。
私は陛下がくれた褒賞金でツケの全てを支払った。家の修理について年老いた執事のピーターと共に商談を行い、前払いで支払った。執事への給金もきちんと払い、さらに1年分先払いもした。母の衣装と姉の衣装について新調するために仕立て屋に行き、それも前払いをした。仕立て屋で美しい衣装の相談をするのはとても楽しかった。
私はあの鼻持ちならない気取った話し方をする男性を許していない。だから、あの公爵家の次男が私に再び近づいてくることに備えて、周到に万全の手配を済ませた。彼に魅力を一切感じないけれども、彼の方が私に何をしでかしてくるのかまだ分からなかったからだ。私は一度彼の本性を嫌というほど見てしまっているのだから。
食料庫にも当分の食材を十分に補充して、1年先払いで料理人と侍女を呼び戻した。
そしてついに、運命のその日がやってきた。
私はこの日、天候が急変して大雪が降ると知っていた。あの日だからだ。死神が私を待ち構えているあの日だから。
私が万が一にも二度目の選択を誤ったら、死の5分前で待つ死神のところに一っ飛びに戻るだろう。
母と姉を残して死ぬのは嫌だ。自分の死への恐怖よりも、二人を残して死ぬことが怖かった。
公爵家の次男が我がエヴルー伯爵家にやってきたのはまだお昼前の午前中だった。母とマリアンヌは仕立て屋に真新しく仕立ててもらったドレスを取りに行っていて、ちょうど留守だった。
「なかなか派手に婚約破棄したらしいね」
執事に通さないでと伝える前に、ずかずかと我がエヴルー家に乗り込んできた公爵家の次男は、私の目に憎しみと冷たさが宿っているのをみて、たじろいだ。
「おやおや?半年までは君と私はなかなか仲良くやっていたと思うが?」
「ジェラール、あなたと私は今はなんの関係もないはずよ。なんの御用かしら?」
私は身体中から怒りが溢れ出てくるのを感じながら、彼を睨んだ。
――感情を露わにしてはならない。冷静にジェラールを追い払うのよ。今日はジェラールに関わってはならないわ。
「君に大事な話がある」
ジェラールはグッと私に近づいてきた。半年前なら、きっと私はこの貴族らしい育ちの良さそうな佇まいに騙されて、すっかりのぼせあがって彼の美しい瞳を見つめていただろう。
「何かしら?」
私は執事と侍女が早く部屋に戻ってくることを祈りながら冷たく彼に聞いた。
彼は私の腕をとった。手ではなく腕だ。
「君の家は使用人が少なくて助かったよ……」
ジェラールはゾッとするような猫撫で声で私の耳元に口を近づけてきてささやいた。ほのかに刺激臭がする。
「ど……どういう意味ですか!?」
私はすっと両腕を後ろにまとめられた。狩猟用ロープのようなものがチラッと目に入った。
「何をするんですかっ!」
「しーっ静かに。ほら、騒ぐと執事も侍女も君の姉の命も危ないよ」
ジェラールは私の肩に自分のコードを羽織らせて、私の腕が縛られていることをうまく隠した。
「憤った顔も素敵だねえ。さすが第一王子ウィリアムが君に夢中になって婚約をしたいと言ってきただけのことはある」
ジェラールは私の顎をぐいっと上に向けさせ、私の顔をじっとのぞき込んだ。彼は私の体にもサッと目を走らせた。
おぞましい事態だということをようやく私は悟った。
――しまったわ。前よりひどくなっているわ。これでは前回と同じく死に向かってしまうわ。
「君が第一王子と婚約するもんだから、君の価値が上がったのさ。婚約破棄するとはねぇ、実に大胆だ。自ら傷物令嬢になるなんてかわいそうに」
――前回は抵抗したら、雪の中に放り出された。だから、今回は受け入れるふりをして、どこかで逃げよう。死神さん、まだそこで待っていて!
「わかりました。あなたの元にいきましょう
私は覚悟を決めてジェラールに静かに告げた。
「お?聞き分けがいいな。だが、君を信用できないから馬車まではこのままで行こうか。美しいロザーラ嬢」
「わかりました」
――一つだけ有利なことがあるわ。これから何が起こるか私は知っているわ。抵抗したら雪の中に放り出された。あそこで死神が待っている。ならば、我慢して生き延びるのよ。周到に隙を窺うのよ。
――誘拐商売かもしれない。ジェラールは私の価値が上がったとさっき言ったわ。
私はエヴルー家の長い廊下をジェラールのコートを羽織らされて、肩をガッチリとつかまれたまま歩いた。涙は出ない。1回目の選択は少なくとも間違えなかったのだ。ならば、その影響で2回目の選択が変わっている可能性がある。
玄関を出るまで、執事も侍女も料理番の姿もまるで見えなかった。私は唇を噛み締めた。どうか彼らが無事であってほしい。
玄関を出て、用意されていた立派な公爵家の馬車に乗る時に、私は空をチラッと眺めた。雪が降りそうだ。だが、あれほどの大雪になるとはまだ思えない空模様だ。
「よし、観念したようだな」
馬車に乗り込むと向かい合って座ったジェラールは笑った。その笑顔は清々しいほど晴れやかだった。
私は心の中で祈った。
――死神さん、まだそこで待っていて!
公爵家の見覚えがある馬車が動き出したその時、エヴルー家の門の外に一台の馬車とたくさんの馬に乗った騎士たちが足を止めたのが見えた。
私の心臓が跳ね上がった。
――お願いっ!この状況に気づいてっ!
一人の男性が馬から降りてやってきた。長いマントを羽織っていて、背が高くて長い髪の毛を後ろにまとめていて、澄んだ碧の瞳を持っている。まだ若い男性だ。
彼は馬車の中のジェラールと私をちらりと認めると、公爵家の御者に馬車のドアを開けるように命じた。
「陛下の手紙だ」
背の高い彼は短くそう告げると、射るような瞳を私とジェラールに注いだ。私はそっと後ろで縛られている腕が見えるように彼の視線の前にうまく背中側を回した。ジェラールのコートはさっき彼がとったのだ。
背の高い彼の瞳が一瞬すっと細くなった。
「開けろ」
御者がドアを開けるのも待ちきれずに、自らドアを開けた背の高い男性は、私の体をギュッと抱えて馬車から一気におろした。
「な、なんだ君は!」
「私はリシャール伯だ。陛下の甥に当たる。陛下の手紙をロザーラ・アリーシャ・エヴルー嬢に預かった。陛下からの申し出がある」
慌てふためくジェラールを横目で冷たく見つめながら、私は素早く答えた。
「陛下の申し出をお受けします!」
リシャール伯は私にうなずいた。そしてジェラールを馬車から引きずり下ろした。
「どうやらこの状況では、誘拐の罪であなたを捕らえなければならないようだ」
リシャール伯は嫌悪感丸出しの表情でジェラールを見て、後ろに控えていた騎士に合図をした。そして、私が縛られていた縄を解いてくれた。
近隣の街でここ数年の間に美しくて若い娘がいなくなる事件が数件あった。もしかすると、ジェラールが公爵家の次男の立場を利用して誘拐を行なっていたものかもしれない。
この時代は誘拐した娘を高く売り飛ばして辺境の地で結婚させる商売が横行していた時代だ。
「いいのですか?陛下の提案を確認せずに受けても?」
リシャール伯は小声で私にそっと尋ねてきた。
――いいのです!二回目の選択を変えるのですから、今すぐに陛下の提案を受けますわっ
「受けますわ。私は陛下に全幅の信頼を寄せておりますから、確認など要らないですわ」
私は縄を解いてもらって、リシェール伯の分厚い胸板に頭を思わずぶつけそうになりながら、にっこりして素早く答えた。
私の笑顔を見て、リシェール伯爵は一瞬動きを止めて、わたしの顔を凝視した。
「なんだよっ!」
互いをぼんやり見つめ合った私たちは、ジェラールが騎士たちに抵抗して暴れる声にはっとした。
ジェラールは、私に縄をかけて連れ去るところを大勢の騎士に目撃されていたので、結局は観念して抵抗をやめた。公爵家の次男はこうして陛下の甥によって捕らえられたのだ。
「行くわよ。歯を食いしばりなさいっ!」
私はジェラールの頬を在らん限りの力で引っ叩いた。間髪入れずに反対の頬も引っぱたいた。私の手は痛みでじんじんとし、真っ赤に腫れ上がっている。
――この程度じゃ足りないわっ!もう2回行くわよっ!
私は体の軸を意識して、思いっきり振りかぶり、もう1回ジェラールの頬を叩いた。すぐに反対の手でさらにもう1回引っぱたいた。
「私はあなたを一生許さない。次に私の目の前に姿を現したら、あなたの命はないからっ!」
私は許せない男が狼狽えて一瞬怯えた表情をするのを見つめて、前にジリジリと詰め寄った。胸ぐらをぐっと掴んで、目を見据えていった。
「あなたを本気で絶対に許さないわよ。私を甘く見ないで」
私がそう言うと、ジェラールは目を逸らした。リシェール伯が私の両肩をそっと抱き、私はやっと我に返った。ジェラールの胸ぐらから手を離した。しかし、間髪入れずに踵で彼のつま先を死ぬほど勢いよく踏みつけた。
うぅっ!
ジェラールは泣き声をもらしたけれども、私は冷ややかな目で睨みつけたままだった。
騎士たちにジェラールは縛り上げられた。そして、しょっぴかれて連れて行かれたのだった。
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