97 / 107
4. 決着
第85話 素敵な時間(沙織)
しおりを挟む
帝と私の挙式の日取りが決まった。
中世ヨーロッパのジュスタン伯爵が、ナディアと一緒に黒の秘密結社との示談に持ち込んでくれたと聞いた。
私はその話をサキのふわふわの白い背中を撫でながら、帝からお聞きした。
「ぜひ一度、お礼を申し上げたいのですが。」
私は喜びのあまり、声が裏返った状態で帝に申し上げた。
「難しいと思うが、挙式に招待はしてみようと思う。」
「こちらから連絡をとる手段がないので、颯介やナディアからゲームの召喚がきた時に伝えるしかないと思う。」
帝はそう言った。
確かに、あれからナディアと颯介からのゲーム召喚は途絶えていた。私がプテラではなく忍びだと分かったからであろう。
どうやってゲームから生還するのか、それはやはり私がプテラとして颯介を助けなければ無理なのだ。忍びの術が必要なのは間違いなさそうだと私も帝もわかっていた。
「赤の秘密結社のトップに就任した牡丹さんに相談してみましょうか。」
「そうだな。」
「まさみさんも何か方法をご存知かもしれませんね。」
「また、みんなで貴和豪一門のレエリナサウラの引く恐車に乗るのも楽しそうだな。」
「そうでございますね。」
私は帝とそのような話をしていると、浮き浮きした気持ちになるのを抑えられなかった。挙式も楽しみだけれども、恐れ多くもある。けれども冒険は、私の中にある何かをかき立てられてとてもワクワクするものだった。牡丹もまさみも同じタイプであろう。
「今日あたり、まさみの喫茶に顔を出してみるか。」
「ぜひ!」
一緒に行きたそうな顔をするサキの顔を眺めながら、私と帝は顔を見合わせて笑い合った。私は幸せだった。
中世ヨーロッパのジュスタン伯爵が、ナディアと一緒に黒の秘密結社との示談に持ち込んでくれたと聞いた。
私はその話をサキのふわふわの白い背中を撫でながら、帝からお聞きした。
「ぜひ一度、お礼を申し上げたいのですが。」
私は喜びのあまり、声が裏返った状態で帝に申し上げた。
「難しいと思うが、挙式に招待はしてみようと思う。」
「こちらから連絡をとる手段がないので、颯介やナディアからゲームの召喚がきた時に伝えるしかないと思う。」
帝はそう言った。
確かに、あれからナディアと颯介からのゲーム召喚は途絶えていた。私がプテラではなく忍びだと分かったからであろう。
どうやってゲームから生還するのか、それはやはり私がプテラとして颯介を助けなければ無理なのだ。忍びの術が必要なのは間違いなさそうだと私も帝もわかっていた。
「赤の秘密結社のトップに就任した牡丹さんに相談してみましょうか。」
「そうだな。」
「まさみさんも何か方法をご存知かもしれませんね。」
「また、みんなで貴和豪一門のレエリナサウラの引く恐車に乗るのも楽しそうだな。」
「そうでございますね。」
私は帝とそのような話をしていると、浮き浮きした気持ちになるのを抑えられなかった。挙式も楽しみだけれども、恐れ多くもある。けれども冒険は、私の中にある何かをかき立てられてとてもワクワクするものだった。牡丹もまさみも同じタイプであろう。
「今日あたり、まさみの喫茶に顔を出してみるか。」
「ぜひ!」
一緒に行きたそうな顔をするサキの顔を眺めながら、私と帝は顔を見合わせて笑い合った。私は幸せだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。

転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。

【後日談完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長していった。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、そして・・・。
初投稿というか、初作品というか、まともな初執筆品です。
今までこういうものをまともに書いたこともなかったのでいろいろと変なところがあるかもしれませんがご了承ください。
誤字脱字等あれば連絡をお願いします。
感想やレビューをいただけるととてもうれしいです。書くときの参考にさせていただきます。
おもしろかっただけでも励みになります。
2021/6/27 無事に完結しました。
2021/9/10 後日談の追加開始
2022/2/18 後日談完結

巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

異世界立志伝
小狐丸
ファンタジー
ごく普通の独身アラフォーサラリーマンが、目覚めると知らない場所へ来ていた。しかも身体が縮んで子供に戻っている。
さらにその場は、陸の孤島。そこで出逢った親切なアンデッドに鍛えられ、人の居る場所への脱出を目指す。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる