未来の地球と辺境の星から 趣味のコスプレのせいで帝のお妃候補になりました。初めての恋でどうしたら良いのか分かりません!

西野歌夏

文字の大きさ
上 下
85 / 107
3. 時間に広がるさざなみ(辺境の星からの刺客)

第73話 何もせぬから自室に一緒に寝て欲しい(沙織)

しおりを挟む
ー時は西暦2018年より数億年先の地球 忍歴にんれき2020年 帝の城ー 

「沙織、今日は私のそばにいて欲しい。颯介とナディアと作戦を立てることができた。」
 帝は、シュッケー杯から無事に城に戻ると、私にそう言った。

「そばにとは?」
 私は戸惑とまどってしまった。もう夜も遅い。

「その、この城に泊まって欲しいということだ。」
 私は耳を疑った。

「え?」
 帝は真っ赤になった。

「だ、だからその、いつ何時なんどき敵がおそってくるやもしれぬ。私の自室で一緒に寝て、私としばらく行動を共にして欲しいということだ。」
 帝は少し、横を向いて早口で言った。

「な、な、なぜですか?」
「帝の自室?」
 私はあまりのことに狼狽ろうばいした。

「これは作戦のうちなのだ。これがないと作戦が成功できないのだ。」
 帝はそう言った。帝の顔は赤いし、額に汗が吹き出ている。

「とんでもございません!」
 私は数歩後ろに飛び去った。

「そんなことはできない認識でございます。」
 私は慌てて、姉の琴乃ことのの姿を探すように、部屋の外に視線を送った。
 琴乃も一緒に城に戻って来たのだ。
 牡丹でもいい。まさみさんでもいい。とにかく、誰か来て欲しい。これは颯介の時代でいう『都合の良い女』ではなかろうか。

「何もせぬ!」
 帝は慌てたように、断言した。

「え?」
「私は何もせぬ。ただ、敵に勝つためには沙織がしばらく私と一緒に行動する必要があるのだ。」
 帝は私に近づいてきて、真剣な顔でそう言った。

 何もしない?のであれば、仕方のうございますか。
 私は力なく、うなずいた。

「ありがとう、沙織!」
 帝は私を抱き寄せた。

「その、何もしないということでしたよね。」
「あ、もちろんだ。」
 帝はすぐに私から体を離してくれた。

「そういうわけで、私は今晩から、城の帝の自室に急に宿泊しゅくはくすることになったのでございます。」
 私が姉の琴乃ことのにそう説明すると、姉の琴乃は、激怒のあまりに空気を震わせ、城の応接室の窓ガラス一枚にヒビを入れた。

「なんてことを!」
 姉の琴乃は、帝に詰め寄った。
「帝!決して何もしないのでございますな?」
 姉の口調はかなり激しかった。
「そ、そ、そうだ。ちかう!断じてちかう!私は何もせぬ!」
 帝はしどろもどろのご様子で、そう姉の琴乃に言った。

「約束ですよ。やぶったら、どうなるかわかりますね?」
「も、もちろんだ。」
 帝が姉の琴乃に壁に追い詰められ、壁ドンされて、誓わされた。
 姉は怖いが、子供の頃から頼もしい存在だった。私は少しほっとした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...