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3. 時間に広がるさざなみ(辺境の星からの刺客)
第73話 何もせぬから自室に一緒に寝て欲しい(沙織)
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ー時は西暦2018年より数億年先の地球 忍歴2020年 帝の城ー
「沙織、今日は私のそばにいて欲しい。颯介とナディアと作戦を立てることができた。」
帝は、シュッケー杯から無事に城に戻ると、私にそう言った。
「そばにとは?」
私は戸惑ってしまった。もう夜も遅い。
「その、この城に泊まって欲しいということだ。」
私は耳を疑った。
「え?」
帝は真っ赤になった。
「だ、だからその、いつ何時敵が襲ってくるやもしれぬ。私の自室で一緒に寝て、私としばらく行動を共にして欲しいということだ。」
帝は少し、横を向いて早口で言った。
「な、な、なぜですか?」
「帝の自室?」
私はあまりのことに狼狽した。
「これは作戦のうちなのだ。これがないと作戦が成功できないのだ。」
帝はそう言った。帝の顔は赤いし、額に汗が吹き出ている。
「とんでもございません!」
私は数歩後ろに飛び去った。
「そんなことはできない認識でございます。」
私は慌てて、姉の琴乃の姿を探すように、部屋の外に視線を送った。
琴乃も一緒に城に戻って来たのだ。
牡丹でもいい。まさみさんでもいい。とにかく、誰か来て欲しい。これは颯介の時代でいう『都合の良い女』ではなかろうか。
「何もせぬ!」
帝は慌てたように、断言した。
「え?」
「私は何もせぬ。ただ、敵に勝つためには沙織がしばらく私と一緒に行動する必要があるのだ。」
帝は私に近づいてきて、真剣な顔でそう言った。
何もしない?のであれば、仕方のうございますか。
私は力なく、うなずいた。
「ありがとう、沙織!」
帝は私を抱き寄せた。
「その、何もしないということでしたよね。」
「あ、もちろんだ。」
帝はすぐに私から体を離してくれた。
「そういうわけで、私は今晩から、城の帝の自室に急に宿泊することになったのでございます。」
私が姉の琴乃にそう説明すると、姉の琴乃は、激怒のあまりに空気を震わせ、城の応接室の窓ガラス一枚にヒビを入れた。
「なんてことを!」
姉の琴乃は、帝に詰め寄った。
「帝!決して何もしないのでございますな?」
姉の口調はかなり激しかった。
「そ、そ、そうだ。誓う!断じて誓う!私は何もせぬ!」
帝はしどろもどろのご様子で、そう姉の琴乃に言った。
「約束ですよ。破ったら、どうなるかわかりますね?」
「も、もちろんだ。」
帝が姉の琴乃に壁に追い詰められ、壁ドンされて、誓わされた。
姉は怖いが、子供の頃から頼もしい存在だった。私は少しほっとした。
「沙織、今日は私のそばにいて欲しい。颯介とナディアと作戦を立てることができた。」
帝は、シュッケー杯から無事に城に戻ると、私にそう言った。
「そばにとは?」
私は戸惑ってしまった。もう夜も遅い。
「その、この城に泊まって欲しいということだ。」
私は耳を疑った。
「え?」
帝は真っ赤になった。
「だ、だからその、いつ何時敵が襲ってくるやもしれぬ。私の自室で一緒に寝て、私としばらく行動を共にして欲しいということだ。」
帝は少し、横を向いて早口で言った。
「な、な、なぜですか?」
「帝の自室?」
私はあまりのことに狼狽した。
「これは作戦のうちなのだ。これがないと作戦が成功できないのだ。」
帝はそう言った。帝の顔は赤いし、額に汗が吹き出ている。
「とんでもございません!」
私は数歩後ろに飛び去った。
「そんなことはできない認識でございます。」
私は慌てて、姉の琴乃の姿を探すように、部屋の外に視線を送った。
琴乃も一緒に城に戻って来たのだ。
牡丹でもいい。まさみさんでもいい。とにかく、誰か来て欲しい。これは颯介の時代でいう『都合の良い女』ではなかろうか。
「何もせぬ!」
帝は慌てたように、断言した。
「え?」
「私は何もせぬ。ただ、敵に勝つためには沙織がしばらく私と一緒に行動する必要があるのだ。」
帝は私に近づいてきて、真剣な顔でそう言った。
何もしない?のであれば、仕方のうございますか。
私は力なく、うなずいた。
「ありがとう、沙織!」
帝は私を抱き寄せた。
「その、何もしないということでしたよね。」
「あ、もちろんだ。」
帝はすぐに私から体を離してくれた。
「そういうわけで、私は今晩から、城の帝の自室に急に宿泊することになったのでございます。」
私が姉の琴乃にそう説明すると、姉の琴乃は、激怒のあまりに空気を震わせ、城の応接室の窓ガラス一枚にヒビを入れた。
「なんてことを!」
姉の琴乃は、帝に詰め寄った。
「帝!決して何もしないのでございますな?」
姉の口調はかなり激しかった。
「そ、そ、そうだ。誓う!断じて誓う!私は何もせぬ!」
帝はしどろもどろのご様子で、そう姉の琴乃に言った。
「約束ですよ。破ったら、どうなるかわかりますね?」
「も、もちろんだ。」
帝が姉の琴乃に壁に追い詰められ、壁ドンされて、誓わされた。
姉は怖いが、子供の頃から頼もしい存在だった。私は少しほっとした。
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