未来の地球と辺境の星から 趣味のコスプレのせいで帝のお妃候補になりました。初めての恋でどうしたら良いのか分かりません!

西野歌夏

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3. 時間に広がるさざなみ(辺境の星からの刺客)

第69話 違う惑星?(沙織)

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 ー サバンナ ゲーム召喚中 シーン名称:サバンナキャンプ クリア率0.002% ー

 与えられた装備:テント
 カメラアプリミッション:松明草たいまつそうを認識させよ
 クリア条件:解放される条件は、食べ物ゲットと、カメラアプリミッションクリアの二つを満たし、解放の呪文じゅもんをとなること。


 このシーンは、颯介そうすけもナディアも一度クリアしている。私はそれを知っている。その場にいたのは、私と五右衛門ごえもんさんと帝の作法教官のじいだ。私が初めて他のコスプレネットワークにSOSを求めたシーンだ。

「あなたたちお二人を救える方法について話し合いたくて、ここにお呼びしたんだ」
 
「このシーンは夜が来るまで安全よ」
 ナディアは帝と私に力強くうなずいた。

「そもそも、あなたが帝ではない二人の忍びを呼んだシーンだ。その時、僕らは危機ききひんしてあなたを呼んだ。つまり僕のプテラをね」
 颯介が私を見て言った。

「そうですね。私が参加した場面は夜になってからでございました。夜、けものおそわれていましたね」
 私もうなずいて、そう言った。

「そうです。僕が確かめたいのは、あの時あなたが呼んだ二人の忍びのことです」
「あれは誰ですか?」
 颯介は真剣しんけんな顔で言った。

「帝の作法教官の方と、五右衛門さんです」
「お二人とも私が助けを求めたコスプレネットワークからやってきました」
 私は説明した。
 
五右衛門ごえもんさんは私と同じ奉行所ぶぎょうしょに勤めている同僚の方です。たまたまいつも仕事を一緒にしている同僚がやってきたので、私はひどく驚いたのです」

 私は頭の中の記憶をさかのぼりながら、そう答えた。

「帝の作法教官の方は、元からご存知の方ですか?」
「いえ。私も五右衛門ごえもんさんも知らない方でした。その翌日に帝に初めて呼び出されまして、その時に作法教官の方だと知った次第です」

「驚きましたね?」
 颯介は私に確認した。

「はい、それはもうとても驚きました。そんな偶然があるとはと、狼狽ろうばいいたしました」
 私はあの時の衝撃しょうげきを思い出しながら、答えた。

「では、帝にお聞きいたします。なぜ、沙織さんと五右衛門さんをお呼びになったのですか?沙織さんと五右衛門さんのことを誰にお聞きになり、どういう経緯でお呼び出しされましたか?」

 颯介が帝に聞いた。
 ナディアは話を注意深く聞きながら、空を飛ぶ鳥に時おり目をやっていた。ナディアがかりをするつもりだと私は知っていた。

 ゲームから解放される条件は、食べ物ゲットとカメラアプリミッションクリアだ。

「私は、実はじいのことを最近疑っている。沙織と五右衛門さんのことを私に話したのはじいの方からだった」
 帝は口を開いて話し始めた。

「私は、沙織が標的ひょうてきにされたという密報みっぽうを受け取った。奉行所ぶぎょうしょに勤める若い女性の忍びで、名前は間宮沙織、そういう内容だった」

「でも今から考えると不思議なことなんだが、その後すぐにじいが面白いゲームに参加したと言ってきたのだ。じいから私に報告してきた」

 帝は真剣な顔で思い出すように言った。

「私は禁じられたゲームに参加して、標的ひょうてきにされた間宮沙織を守るためにお妃候補に任命にんめいした。私の特権で、私の庇護下ひごかに置けるから」

「翌日、沙織と五右衛門を城に呼び出して叱責しっせきした。経緯はこうだ」

 帝は颯介とナディアに説明した。

「ならば、作法教官は赤の秘密結社ひみつけっしゃの一味で、あなたの敵だ。五右衛門ごえもんさんは、地球とは違う惑星から送り込まれた者だ。」

 颯介は静かにそう言った。

「違う惑星?」
 帝と私は繰り返した。

「これからあなたと沙織さんを救う作戦について説明したいの」
 ナディアは弓で空飛ぶ鳥をると、落ちてくる鳥を見ながら言った。

 気づくとナディアは火を起こしていた。キャンプファイヤーの準備が進んでいる。これからった鳥を焼いて、ゲーム解放条件の食べ物にする気だと私は分かった。
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