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3. 時間に広がるさざなみ(辺境の星からの刺客)

第66話 なりかわり(沙織)

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 帝について、私と五右衛門ごえもんさんは建物の影になった部分に入り込んだ。何度も打ち合わせた通り、五右衛門ごえもんさんが帝になり、私と帝は手をつないでゲームに召喚された。

 帝になりきった五右衛門ごえもんさんはそのまま帝席みかどせきに戻ったはずだ。あとは、まさみと牡丹ぼたんと姉の琴乃ことのが人をあやつる術を帝席の周囲にかけて、ひたすら三人で大観衆をあざむき続けるはずだ。

「沙織!」
「若!」

 私と帝は手を取り合って、サバンナに到着した。

 そこには颯介そうすけとナディアが待っていた。テントが張っている。御意ぎょい
 私はゲームのどこのシーンかわかった。

 素早くあたりを見渡す。危機的状況は見当たらない。だから、召喚にいくばくかの猶予ゆうよがあったのか。えて私を颯介は呼び出したとなる。

 連続回転れんぞくかいてんで空中を舞い、相手に飛びかかって素手すでで技を決める。壁も走り、屋根も走り、敵を手裏剣しゅりけんや短剣で成敗せいばいする。その技もいらず、なりきる術でプテラノドンになる必要もない。

 ナディアも颯介も異能いのうを使う必要もない。

 その時私は思った。帝はまだ颯介とナディアの異能いのうを知らなかったはずだ。使わなければならないほどの切迫したゲームの冒険に参加していないし、私も帝に夢中でご説明していなかった。

「話したいことがあるのよ。」
 ナディアは私と帝の顔を見て言った。

「お二人を救い出せる方法がある。」
 颯介が私と帝に言った。
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