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3. 時間に広がるさざなみ(辺境の星からの刺客)
第61話 2018年では、あの伯爵家はどこの国?(颯介)
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ー時は西暦2018年日本ー
俺は会社に出社している。自分の席で、設計書にしたがってひたすらコードを書いている。書いてデプロイしてテストして、また、コードの修正をやる。エンドレスでひたすらこの工程をくり返してしあげていく。
誰かが休暇の話をしている。そういえば、俺は次の休暇で何をするかまだ決めていない。
休暇といえば、ニューヨークだ。ニューヨークのあの場所から中世ヨーロッパにワープしてゲームに参加するか、ナディアに逢いに行くか。最近の休暇はその二択だ。貯金は底を尽きた。厳しいな。
「うん?待てよ。」
俺は、ついひとりごとを言ってコードを書く手をとめる。
何かが頭に引っかかる。
よく考えろ。
いや待て。俺が中世ヨーロッパにワープすると、現代に戻ってくる方法はゲームに参加するしかない。ゲームに参加して生きのびるためには、必ずプテラを呼ぶ。またプテラとして沙織さんにまたがって飛ばせる勇気は俺にはもうない。
いやいや、違うな。引っかかっているのはそこではない気がする。
なんだろう。何かを俺は忘れている気がする。
赤の組織は数億年先の地球を支配する秘密結社のこと。
黒の組織は、今も力を持つ秘密結社で、中世ヨーロッパから永遠と続いている組織のこと。
俺は設計書のはしっこに、ついボールペンでメモを書く。
赤も黒も歴史を変えちゃいけないルールの中で生きている。
じゃ、誰がなんのためにゲームなんて作ったんだろう。
誰があのゲームを設計したのだろう。今までに何回も考えたことが、黒の話も赤の話を聞いても、さっぱりわからない。
そもそも赤も黒も、ゲームを設計なんかしちゃいないんじゃないだろうか。
そもそも、人間はゲームに参加して生きのびられるはずがないと言われた。じゃあ、黒はダメじゃないか。黒が作ったはずがない。黒が作る目的が分からない。
赤はどうだろう。
赤の忍びも人間と話してはならないとか言っていた。じゃあ、赤にもゲームを作る動機が見あたらない。そもそも、沙織さんの参加の仕方がイレギュラー過ぎる感はあった。
となると、赤も黒もゲームを設計なんかしちゃいない。じゃあ、誰が作ったかだ。
すっきりしない。
今頭の隅に引っかかっているのは、そこじゃない気がする。
もやもやする。
俺がゲームに参加するのは、中世ヨーロッパの伯爵家で・・・・
ちょっと待った。俺が持ち帰った玉手箱だ。あれで、伯爵は若がえった。
最初会った時はヨボヨボの爺さん伯爵だったのが、二十歳ぐらいまで若返った。
伯爵は、あれからどうしたのだろう。
いや、そうじゃない。そもそも、あのゲームの起点となっていた伯爵家だ。あそこは今はどうなっているのだろう。数世紀は経ってるな。あれはどこの街だ?
あの中世ヨーロッパの街は、西暦2018年現在、どこの国のなんて街だろう。
それだ、それ。俺が引っかかったのはそれだ!
「何、新城、いきなりデカイ声出して。」
「びっくりしたなあ」
「俺が引っかかっていたのはそれだ!って何が?」
「なんか、今コードで苦戦してたのか。」
執務室のあちこちから、苦笑とツッコミが入った。
俺は思わず声に出して叫んでしまっていたようだ。
「今、書いているところでなんか謎が解けました。お騒がせしてすみません。」
俺はごまかして皆に謝った。
よし、昼休みと帰宅後は、あの場所をネットでググって探すことに費やそう。場所がわかったら、休暇を取ってあの伯爵家跡地に行ってみよう。さすがに2018年現在は、跡地だろうな。費用はクレジットカードで行くしかないな。今年もカツカツだが、そこはなんとか頑張ろう。
俺は会社に出社している。自分の席で、設計書にしたがってひたすらコードを書いている。書いてデプロイしてテストして、また、コードの修正をやる。エンドレスでひたすらこの工程をくり返してしあげていく。
誰かが休暇の話をしている。そういえば、俺は次の休暇で何をするかまだ決めていない。
休暇といえば、ニューヨークだ。ニューヨークのあの場所から中世ヨーロッパにワープしてゲームに参加するか、ナディアに逢いに行くか。最近の休暇はその二択だ。貯金は底を尽きた。厳しいな。
「うん?待てよ。」
俺は、ついひとりごとを言ってコードを書く手をとめる。
何かが頭に引っかかる。
よく考えろ。
いや待て。俺が中世ヨーロッパにワープすると、現代に戻ってくる方法はゲームに参加するしかない。ゲームに参加して生きのびるためには、必ずプテラを呼ぶ。またプテラとして沙織さんにまたがって飛ばせる勇気は俺にはもうない。
いやいや、違うな。引っかかっているのはそこではない気がする。
なんだろう。何かを俺は忘れている気がする。
赤の組織は数億年先の地球を支配する秘密結社のこと。
黒の組織は、今も力を持つ秘密結社で、中世ヨーロッパから永遠と続いている組織のこと。
俺は設計書のはしっこに、ついボールペンでメモを書く。
赤も黒も歴史を変えちゃいけないルールの中で生きている。
じゃ、誰がなんのためにゲームなんて作ったんだろう。
誰があのゲームを設計したのだろう。今までに何回も考えたことが、黒の話も赤の話を聞いても、さっぱりわからない。
そもそも赤も黒も、ゲームを設計なんかしちゃいないんじゃないだろうか。
そもそも、人間はゲームに参加して生きのびられるはずがないと言われた。じゃあ、黒はダメじゃないか。黒が作ったはずがない。黒が作る目的が分からない。
赤はどうだろう。
赤の忍びも人間と話してはならないとか言っていた。じゃあ、赤にもゲームを作る動機が見あたらない。そもそも、沙織さんの参加の仕方がイレギュラー過ぎる感はあった。
となると、赤も黒もゲームを設計なんかしちゃいない。じゃあ、誰が作ったかだ。
すっきりしない。
今頭の隅に引っかかっているのは、そこじゃない気がする。
もやもやする。
俺がゲームに参加するのは、中世ヨーロッパの伯爵家で・・・・
ちょっと待った。俺が持ち帰った玉手箱だ。あれで、伯爵は若がえった。
最初会った時はヨボヨボの爺さん伯爵だったのが、二十歳ぐらいまで若返った。
伯爵は、あれからどうしたのだろう。
いや、そうじゃない。そもそも、あのゲームの起点となっていた伯爵家だ。あそこは今はどうなっているのだろう。数世紀は経ってるな。あれはどこの街だ?
あの中世ヨーロッパの街は、西暦2018年現在、どこの国のなんて街だろう。
それだ、それ。俺が引っかかったのはそれだ!
「何、新城、いきなりデカイ声出して。」
「びっくりしたなあ」
「俺が引っかかっていたのはそれだ!って何が?」
「なんか、今コードで苦戦してたのか。」
執務室のあちこちから、苦笑とツッコミが入った。
俺は思わず声に出して叫んでしまっていたようだ。
「今、書いているところでなんか謎が解けました。お騒がせしてすみません。」
俺はごまかして皆に謝った。
よし、昼休みと帰宅後は、あの場所をネットでググって探すことに費やそう。場所がわかったら、休暇を取ってあの伯爵家跡地に行ってみよう。さすがに2018年現在は、跡地だろうな。費用はクレジットカードで行くしかないな。今年もカツカツだが、そこはなんとか頑張ろう。
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