未来の地球と辺境の星から 趣味のコスプレのせいで帝のお妃候補になりました。初めての恋でどうしたら良いのか分かりません！

２. レエリナサウラと秘密結社 →数億年前地球 中世ヨーロッパ

第34話 嘘つきの目の色は常盤緑色

　そもそもこのゲームの設計上、どうしても、プテラノドンは中世ヨーロッパの伯爵家はくしゃくけに行けない仕組しくみになっている。私は、ずっとそれを不満に思っていた。

　ゲームの入り口が設置されている中世ヨーロッパの伯爵家はくしゃくけには、ゲーム開放時かいほうじの参加者がたむろするだけで、ゲームに参加した時だけに召喚されるプテラノドンは、中世ヨーロッパの伯爵家はくしゃくけには召喚されない。

「プテラ、プテラ」

　ゲームの参加者は私のことをそう呼ぶが、私は本当はただの若い忍びだ。

　二十三歳は大人の女性だが、忍びとしての力は奉行所ぶぎょうしょに勤めていることからそれほど強くもない。ただ、なりきる術はプテラノドンだけなら完璧かんぺきのつもりだけれども。

　忍びの私としては、参加者がプテラノドンを必要としていない時は、ほっと一息つきたかった。人をのせて空を飛ぶのは疲つかれる。

　疲れる。休みたい。昔の地球の人の暮らしを実際に見てみたい。
　私は欲張よくばりすぎた。

　それが、中世ヨーロッパで私が過あやまちを犯おかした一因いちいんかもしれない。

　本当のことを帝に話さなければならない。

　私は、も・う・帝・に・恋・を・し・て・し・ま・っ・て・い・る・か・も・し・れ・な・い・。帝と一緒にいる時の心の浮うき立ちと、本当のことを話して嫌われてしまった時のことを想像すると、涙が出てきてしまう。

　五右衛門ごえもんという名だが、親がルパン三世のアニメが好きという理由でつけられたらしい。

　私の恋紅色こいくれないいろの髪や、五右衛門さんの唐茶色からちゃいろの髪からわかるように、私たちの顔はゲーム参加者の颯介のアジア人の顔とは全く違った。五右衛門さんの目の色は紺碧こんぺきに近いし、私、間宮沙織の目の色なんて常盤緑ときわみどりに似ている色だ。

　私は嘘うそつきだ。そんな自分が悲しい。
　帝に嫌われるだろうと思うけれども、私は帝に本当のことを話さないとならない。
　辛いのは、不相応ぶそうおうな恋だけれども私が帝に恋をしてしまったからかもしれない。

　私は常盤緑ときわみどりの目をして恋紅色こいくれないの髪をもつ嘘つきだ。してはならない恋をしてしまった。