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2. レエリナサウラと秘密結社 →数億年前地球 中世ヨーロッパ

第29話 琴乃、拉致される(琴乃)

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 どこかでかすかな悲鳴が聞こえる。女性の悲鳴に聞こえる。泣き声?

 ここはどこだろう。私は自分の腕が後ろにしばられているのに気づいた。

 なぜこうなったのだろう。

 私の名前は間宮琴乃まみやことの。私はだんだん焦点しょうてんのあってきた視覚と聴覚、触覚、嗅覚を総動員した。実家の牧場で乗馬をしていたら、人気のない一角いっかくで何者かにおそわれたのだ。そこまでは思い出した。

 あの音は何か。
 やはり、人の悲鳴ひめい、しかも女性の悲鳴に聞こえる。私の腕は縛られている。私はどうやら狭く薄暗うすぐらい部屋の簡易な布団に寝かされているようだ。乾いた汗の臭いがする。

 もしや、ここはか。

 私は一気に集中する。

 自分が絶対的な危機的状況にあることをさとる。

 帝が沙織の警護けいごを命じて、軍が待機していたはずだ。となると、その軍の警護けいごを破って何者かが私と沙織を間違えて拉致らちしたのか。有り得なくもない。いや、十分にあり得る。

 私は立ち上がった。幸いにも足はしばられていない。それならばと、私は腕をぐるりとお尻の下を通して、縛られた両手を前に持ってきた。

 できた。
 歯で一気になわみ切る。

 両手をしばっていた縄がけた。

 私は忍びとしては超優秀だ。大丈夫、ここを脱出できる。そう自分に言い聞かせる。

 かすかに聞こえる悲鳴ひめいが沙織だったらどうしようと考えると、いてもたってもいられなくなる。
 絶対に救い出す。当たり前だ。

 沙織じゃない方が断然だんぜん良いが、誰であっても、救い出す。そう決めた。

 私は扉に手をかけた。かぎがかかっている。そっと扉に耳を当てる。扉の向こうに敵の気配がない。

 私はたもとからピンを取り出し、速やかに解錠かいじょうした。

 スッと力を入れて扉をわずかに開けて様子をうかう。そしてわずかな隙間すきまから体を外に押し出した。

 そこは天井の低い、通路だった。蛍光灯けいこうとうの灯が遠くにある。私は聞き耳を立て、悲鳴の方向を確認する。こっちだ。

 そのまま抜き足差し足で、音もなく素早く移動した。
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