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2. レエリナサウラと秘密結社 →数億年前地球 中世ヨーロッパ

第24話 陸軍長官の鋭い一瞥(兄のさねゆき)

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 ノックをする。
「入りなさい。」
 私は間宮実行(さねゆき)。軍に勤めている。
 今日は、思ってもみない上官から呼び出されたのだ。緊張して、額に汗がにじむ。この建物は暑くないか?

「失礼します。間宮実行です。お呼びだと伺いました。参りました。」
 私は部屋に入るとキリッと一礼し、できる限り明瞭めいりょうに聞こえるように言った。

「そこに座りなさい。」
 机の向こうに座っていた銀髪ぎんぱつの眼鏡をかけた男は、鋭いやいばのような一瞥いちべつを私にくれて、そう言った。
「は!」

「失礼いたします。」
 私は言われた通り、指で示されたソファに座る。向かいの席に銀髪の男も座った。この男の役職は土居田どいだ長官である。普段の私ならば、決して会話すらゆるされないような立場の上司にあたる。

「君の妹さんがお妃候補になったと聞いた。警護要請けいごようせい奥奉行おくぶぎょうから来ている。」
「はい。」
「相当な危険がせまっているらしいが、何か妹さんから聞いていないか?」
「いえ、私は聞いておりません。」

 土居田長官どいだちょうかんは私の様子を鋭い目つきで見る。

 なんだろう。私のことを疑っているのか?
 途端とたんに、私の背中にも汗がき出る。何かあるのか。

「君の実家の方にも厚めの警護けいごがつくことになった。何かあったら君も協力してほしい。」
「もちろんです。」
「君の妹さんと、帝はいつ出会ったのだ?」
と聞きました。」
 私は正直に、今朝沙織に聞いた通りに答えた。
「なんと。」
 土居田長官は私のその言葉を聞くとまゆをひそめた。

「私ども家族も、沙織にとっても晴天の霹靂へきれきの出来事でありまして、戸惑とまどっているというのが正直なところです。」

 私は事実を伝えた。

 土居田長官は一瞬、横目で何か記憶を探っているような表情をした。長官の目の動きは右に動いた。長官は先ほどから聞き手は右手に見える。右に動いたのだから、長官が見知った体験を呼び覚まそうとしている。過去の記憶から何かを探る動きだ。

 私は不穏ふおんな空気を感じた。
 

 土居田長官は私に念押しした。
「何かあれば、すぐに報告をくれ。」
「はい!」

 私は陸軍長官の部屋を出た。
 やはり、どうやら、沙織の婚姻こんいんには陰謀いんぼうが仕組まれているな。
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