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1. 標的の選別 時は数億年先の地球
◇運次第だけれども。牡丹のヨミ◇
しおりを挟む私、牡丹は、父に成り代わって急遽貴和豪一門の頭領に君臨することになった兄に協力するフリを抜かりなくやっていた。
間宮沙織への襲撃をやってのけ、同時に帝への密報も仕込んだ。
帝が本物の人格者なら、きっと自分が任命したお妃候補をなんとか助けに行くだろう。帝の行動パターンと思考回路を試す必要があった。
兄は冷淡な男だ。間宮沙織を始末することを厳命した。ついでに帝もとは、虫が良すぎて欲張り過ぎだと言うのだ。帝はもっと別の手段で密かにやるべきだと。
私は兄の意見にも、赤の組織が決めたことにも反対だ。どうするかは私が決める。
そのとき私は毛皮に覆われたエリナサウラにまたがって、別荘まで疾走していた。
上空を見ると、一匹のプテラノドンがちょうど萌激川の辺りを旋回しているのが目に入った。
「帝か?」
私は双眼鏡を右手に持ち、左手でエリナサウラにしがみついたまま、疾走するエリナサウラの背にまたがった状態で、プテラノドンを見つめる。
間違いない。大当たりだ。
これで、危機に直面したときの帝の行動と思考パターンは分かった。
間宮沙織が運良く生きのびる。
帝は間宮沙織を見つけて合流できる。
もしもこの2つの偶然が重なれば、俄然面白くなってくる。この場合は、偶然ではなく二人の意志の強さと運次第だけれども。
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