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全世界の諸君に告ぐ
54_協定締結
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ブー子はパリで行われたイベントに出席して、たくさんのカメラのフラッシュを浴びていた。艶やかな笑顔で、カメラを魅了していた。世界的スターとしてミッチェリアルが認知されている証拠だった。
髪の毛をポニーテールにしたミカナは、足を組んでスイートルームで勉強しているふりをしていた。隣にカマジリがいたからだ。午後からリハーサルの予定だったが、ミケが体調不良ということで数時間遅らせていた。
ブー子のイベント参加もあったので、誰も怪しまなかった。
ミカナはインカムから聞こえてくる戦闘情報に耳を傾けていた。手に汗が出てきてしまっている。
別のスイートルームで、両国の大統領が会う手はずになっているのだ。
「ヤバい。入り口に例のパパラッチ発見。裏口に誘導する。」
トオルの声で報告が入った。
ホテルの入り口に、颯爽とトオルが長い髪をなびかせて姿を現した。さと子さんが一緒についている。
早速アジア人のパパラッチがしつこくカメラを向けて、ホテルの入り口から外に出たトオルにくっついて歩き始めた。
「あんた、いい加減にしいや。」
さと子さんがパパラッチに言っているのが聞こえる。
「あ、今日は先日空港でお見かけしたとんでもなく身のこなしが軽いボディーガードさんはいらっしゃらないんですね。」
アジア人のパパラッチはさと子さんに言っている。メロンのことだ。
「ひらめいた。名前聞いて。」
メロンがさと子さんに言った。
「あんた、名前なんや?」
さと子さんがトオルとパパラッチの間に身を入れて、名前を聞いている。
「あ、俺ですか。ムネオです。タチバナムネオです。」
「そうかあ。ほな、ついてきな。」
さと子さんはそう言って、トオルと一緒に歩き続けた。
「裏口に誘導して。」
メロンが指示を出した。
「了解。」
トオルは言ってホテルの周りをぐるっと周り始めた。
「A大統領到着。」
しし丸がインカムで情報連携してきた。
全員が持ち場で待機した。
すでにB大統領は、スイートルームに通されている。
「A大統領、エレベーターに乗った。」
しし丸の声がインカムからしている。
「フロア、クリア。」
ミケの声がした。
「ダメだわ。隣のビルの部屋に銃を構えた男がいると、鳩が言っている。」
ダルマが言った。
その途端にメロンとミカエルが窓の外を見た。
「発見。」
それだけ叫ぶと、メロンは密かに銃を構えた男から死角になる位置に回り込み、窓を開けて、隣のビルのバルコニーに飛び移った。
ミカエルも続いた。
「気をつけて!」
ミケとソフィが言い、エレベーターの前に走った。万が一発砲されるようなことになれば、A大統領を守る必要がある。
ダルマがサイレント銃を構えて、密かに男に照準をあてている。
「侵入成功。」
メロンがささやく声がした。
ダルマが構えるサイレント銃の向こうで、メロンが素早く男に飛びかかり、男の銃を叩き落とすのが見えた。ミカエルがさらに銃を男から遠ざけている。メロンとミカエルで男を縛りあげた。
「クリア。」
メロンの声がした。
一同ほっとした時に、A大統領がエレベーターからシークレットサービスに囲まれて出てきた。変装しているので、誰も大統領だと気づいていない。
フロアをそのまま進み、スイートルームに無事に入った。
トオルが連れてきたパパラッチのタチバナムネオは、遅れてエレベーターでフロアに到着した。
「ここで待っていて。」
トオルはそう言って、アンジェロが開けたスイートルームの部屋の中に入った。スイートルームの前には、両国のシークレットサービスが待機しているが、シークレットサービス自体は、自分たちが守っているのが大統領だとは分かっていないので、至って平然とした様子で自分たちの職務を全うしていた。
スイートルームに据えられた大きなテレビには、イベント会場で無数のカメラのフラッシュを浴びているブー子が映っていた。
「こんにちは、A大統領、B大統領。」
ブー子がそういった。
ソファに座った二人の大統領は、自分たちの名前をブー子が言ったことで驚いた表情を浮かべている。とても嬉しそうだ。
そこにアンジェロが声をかけた。
「ようこそ。お二人とも。さあ、平和条約を結んでください。」
二人の大統領が戸惑いの表情を浮かべて、差し出された紙を見つめている。
「あ、そうそう。ここには、ちょうど明日パリ公演を控えているミッチェリアルのメンバーもきてくだいました。
「トオル、ミケ、ミカナ。」
アンジェロが声をかけると、姿を隠していた三人が大統領たちの前に現れた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
三人は、両国の言葉で言った。
「ちなみに先日ご説明しましたが、お望みの武器は、ここにサインをしないと手に入りませんよ。」
アンジェロはニッコリ笑って言った。
「サインしたら、明日、私たちのコンサートに来てくださいね。お忍びでご招待します。」
ミカナとトオルが英語で言った。
まず、A大統領がサインした。それを見て、B大統領も仕方ないと肩をすくめてサインをした。
トオルがA大統領と握手をして、ミケがB大統領と握手をして、ミカナが右手でA大統領の手をとり、左手でB大統領の手をとり、二人が思わずニッコニコの瞬間に、両国の大統領の手をミカナが繋いでしまった。
「え?」
「は?」
二人の大統領がキョトンとしている瞬間に、廊下から引き入れられたタチバナムネオは、衝撃の光景に驚いたまま、急いでカメラのシャッターを切った。
ミカナもトオルもミケもアンジェロもカメラに映らないように、すっと姿をひそめた。
「なんすかっ!この光景は!?」
「今すぐ流しな。」
「パリでおしのび外交というタイトルでね。」
さと子さんが、タチバナムネオにささやいた。
「ミッチェリアルを追いかけていたら、偶然、衝撃的な平和協定の場に遭遇したとしてくれる?ミッチェリアルはこの場にいなかった。」
「おおっ!ありがとごさいますっ!了解っす!」
タチバナムネオは、一気に外に飛び出し、インスタにすぐにUPした。
こうして驚愕のニュースは、世界中を駆け巡った。
両国のシークレットサービスは、やっぱり、自分たちが守っている人が大統領だとはわからずに、ミッチェリアルのコンサートにも付き添い、無事に二人の大統領を国に送り届けた。
髪の毛をポニーテールにしたミカナは、足を組んでスイートルームで勉強しているふりをしていた。隣にカマジリがいたからだ。午後からリハーサルの予定だったが、ミケが体調不良ということで数時間遅らせていた。
ブー子のイベント参加もあったので、誰も怪しまなかった。
ミカナはインカムから聞こえてくる戦闘情報に耳を傾けていた。手に汗が出てきてしまっている。
別のスイートルームで、両国の大統領が会う手はずになっているのだ。
「ヤバい。入り口に例のパパラッチ発見。裏口に誘導する。」
トオルの声で報告が入った。
ホテルの入り口に、颯爽とトオルが長い髪をなびかせて姿を現した。さと子さんが一緒についている。
早速アジア人のパパラッチがしつこくカメラを向けて、ホテルの入り口から外に出たトオルにくっついて歩き始めた。
「あんた、いい加減にしいや。」
さと子さんがパパラッチに言っているのが聞こえる。
「あ、今日は先日空港でお見かけしたとんでもなく身のこなしが軽いボディーガードさんはいらっしゃらないんですね。」
アジア人のパパラッチはさと子さんに言っている。メロンのことだ。
「ひらめいた。名前聞いて。」
メロンがさと子さんに言った。
「あんた、名前なんや?」
さと子さんがトオルとパパラッチの間に身を入れて、名前を聞いている。
「あ、俺ですか。ムネオです。タチバナムネオです。」
「そうかあ。ほな、ついてきな。」
さと子さんはそう言って、トオルと一緒に歩き続けた。
「裏口に誘導して。」
メロンが指示を出した。
「了解。」
トオルは言ってホテルの周りをぐるっと周り始めた。
「A大統領到着。」
しし丸がインカムで情報連携してきた。
全員が持ち場で待機した。
すでにB大統領は、スイートルームに通されている。
「A大統領、エレベーターに乗った。」
しし丸の声がインカムからしている。
「フロア、クリア。」
ミケの声がした。
「ダメだわ。隣のビルの部屋に銃を構えた男がいると、鳩が言っている。」
ダルマが言った。
その途端にメロンとミカエルが窓の外を見た。
「発見。」
それだけ叫ぶと、メロンは密かに銃を構えた男から死角になる位置に回り込み、窓を開けて、隣のビルのバルコニーに飛び移った。
ミカエルも続いた。
「気をつけて!」
ミケとソフィが言い、エレベーターの前に走った。万が一発砲されるようなことになれば、A大統領を守る必要がある。
ダルマがサイレント銃を構えて、密かに男に照準をあてている。
「侵入成功。」
メロンがささやく声がした。
ダルマが構えるサイレント銃の向こうで、メロンが素早く男に飛びかかり、男の銃を叩き落とすのが見えた。ミカエルがさらに銃を男から遠ざけている。メロンとミカエルで男を縛りあげた。
「クリア。」
メロンの声がした。
一同ほっとした時に、A大統領がエレベーターからシークレットサービスに囲まれて出てきた。変装しているので、誰も大統領だと気づいていない。
フロアをそのまま進み、スイートルームに無事に入った。
トオルが連れてきたパパラッチのタチバナムネオは、遅れてエレベーターでフロアに到着した。
「ここで待っていて。」
トオルはそう言って、アンジェロが開けたスイートルームの部屋の中に入った。スイートルームの前には、両国のシークレットサービスが待機しているが、シークレットサービス自体は、自分たちが守っているのが大統領だとは分かっていないので、至って平然とした様子で自分たちの職務を全うしていた。
スイートルームに据えられた大きなテレビには、イベント会場で無数のカメラのフラッシュを浴びているブー子が映っていた。
「こんにちは、A大統領、B大統領。」
ブー子がそういった。
ソファに座った二人の大統領は、自分たちの名前をブー子が言ったことで驚いた表情を浮かべている。とても嬉しそうだ。
そこにアンジェロが声をかけた。
「ようこそ。お二人とも。さあ、平和条約を結んでください。」
二人の大統領が戸惑いの表情を浮かべて、差し出された紙を見つめている。
「あ、そうそう。ここには、ちょうど明日パリ公演を控えているミッチェリアルのメンバーもきてくだいました。
「トオル、ミケ、ミカナ。」
アンジェロが声をかけると、姿を隠していた三人が大統領たちの前に現れた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
三人は、両国の言葉で言った。
「ちなみに先日ご説明しましたが、お望みの武器は、ここにサインをしないと手に入りませんよ。」
アンジェロはニッコリ笑って言った。
「サインしたら、明日、私たちのコンサートに来てくださいね。お忍びでご招待します。」
ミカナとトオルが英語で言った。
まず、A大統領がサインした。それを見て、B大統領も仕方ないと肩をすくめてサインをした。
トオルがA大統領と握手をして、ミケがB大統領と握手をして、ミカナが右手でA大統領の手をとり、左手でB大統領の手をとり、二人が思わずニッコニコの瞬間に、両国の大統領の手をミカナが繋いでしまった。
「え?」
「は?」
二人の大統領がキョトンとしている瞬間に、廊下から引き入れられたタチバナムネオは、衝撃の光景に驚いたまま、急いでカメラのシャッターを切った。
ミカナもトオルもミケもアンジェロもカメラに映らないように、すっと姿をひそめた。
「なんすかっ!この光景は!?」
「今すぐ流しな。」
「パリでおしのび外交というタイトルでね。」
さと子さんが、タチバナムネオにささやいた。
「ミッチェリアルを追いかけていたら、偶然、衝撃的な平和協定の場に遭遇したとしてくれる?ミッチェリアルはこの場にいなかった。」
「おおっ!ありがとごさいますっ!了解っす!」
タチバナムネオは、一気に外に飛び出し、インスタにすぐにUPした。
こうして驚愕のニュースは、世界中を駆け巡った。
両国のシークレットサービスは、やっぱり、自分たちが守っている人が大統領だとはわからずに、ミッチェリアルのコンサートにも付き添い、無事に二人の大統領を国に送り届けた。
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