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全世界の諸君に告ぐ
53_暗躍する暗殺者
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わたしは自分の手のひらをジッっと見つめていた。
ここ最近、わたしは誰かの役に立っているという充実感に満ちていた。あの、気持ち悪いと言われ続けたわたしのままで振る舞っても、今わたしの周りにいる人は、誰一人わたしのことを否定しなかった。
過剰な動物オタクのわたし。
職場ですら浮いていた。
でも、元の職場のゴムドリはわたしに協力してくれた。危ない橋を一緒に渡ってくれた。ミッチェリアルのメンバーも、しし丸も、さと子さんも、わたしを受け入れてくれている。
ふと気づけば、わたしは特に自分を偽る必要がない状態になっている。
わたしの何が変わったのだろう。わたしにはさっぱり分からなかった。
カマジリというレコード会社営業の若い男性ですら、わたしと話すのが楽しそうだ。
今までの根暗のわたしとは、今のわたしとは何かが変わったのだろうか。
分からない。
「A大統領到着は予定通り。まもなく会場に着く。」
わたしのインカムがゴムドリの声を伝えてきた。
ゴムドリはドローンと衛星を駆使して、両国の大統領の動きを追っていた。
伊賀の血を引くわたしとミカエルは実行部隊の役割をになっていた。
万が一、何者かが邪魔をしてきたら、即刻わたしとミカエルが相手になる。
猫のミケとソフィ、ダルマも近くに控えていた。
両国の大統領は偽名で同じホテルに宿泊予定だ。
アンジェロとゴムドリは協力して、パリ中の防犯カメラと地下鉄映像、パリ上空を監視していた。特別なツールをゴムドリが作ったのだ。ミカナの買い占めた未完成のツールにちょっと細工したのだ。
「B到着。」
先にB大統領が到着した。わたしの持っているモニターにB大統領がおしのび姿でホテルのエレベーターに乗る姿が映った。
「スイートルルームBのフロアに異常検知。火炎噴射機検知。」
B大統領の予約したスイートルームがある階の廊下で、わずかに異常を検知したとインカムに連絡が入った。何匹かの動物が潜入しているのだ。窓辺の鳥も私たちの仲間だ。
「ミカエル、GOよ。」
わたしはインカムにささやいた。
わたしとミカエルはフロアの壁を一気に走った。フロア一帯を炎の海に沈める火炎噴射器が発射されると予測したのだ。
伊賀の血と幼い頃に受けた訓練は、わたしとミカエルに特別な動きを可能にしていた。
音もなく横壁を全速力で走る。アドレナリンが身体中をめぐり、全てがスローモーションに見える。男がまさに火炎噴射機を発射した瞬間に男の頭に二人でキックを決めた。
男は音を立てて崩れるように倒れ、発射された火炎噴射機をわたしはすぐに止めた。
フロアの火災報知器が反応しそうになったが、ミケがすかさず火災報知器に飛びかかるように飛びつき、停止させた。
わたしとミカエルは素早く窓を開けた。
そして、火炎噴射機を倒れた男が運んできたらしい、シーツが山盛りのワゴンの中に隠した。
火炎噴射機の攻撃が未遂に終わったと知った敵は、今度は機関銃を持って姿を現した。
ミケが飛び上がって躍り出た。格闘技の必殺技を使って、機関銃を素早く叩き落とし、敵を倒した。
「一人退治したわ。」
ミケの声が聞こえた。
別の男がナイフを手に走ってきた。
ソフィが敏捷な動きで一瞬の動きで見事にナイフを蹴飛ばし、男にハイキックを決めた。
「わたしの出番は?」
ダルマはぼそっとつぶやいたが、もう刺客はいなかった。
「どこから情報が漏れた?」
わたしはつぶやいて、はっとしてインカムにささやいた。
「ゴムドリ、あなた職場でミッチェリアルの話をしなかった?」
しばらく無言がつづいた。シーンとしたホテルの廊下で面々は静寂を聞く。
「ごめん。したかも。ミッチェリアルメンバーに偶然会ったと話してしまった。」
ゴムドリのしょんぼりした声がやっと聞こえた。
となると、敵はまだいるな。
全員が攻撃体制で、A大統領の到着を固唾を飲んでまった。
ここ最近、わたしは誰かの役に立っているという充実感に満ちていた。あの、気持ち悪いと言われ続けたわたしのままで振る舞っても、今わたしの周りにいる人は、誰一人わたしのことを否定しなかった。
過剰な動物オタクのわたし。
職場ですら浮いていた。
でも、元の職場のゴムドリはわたしに協力してくれた。危ない橋を一緒に渡ってくれた。ミッチェリアルのメンバーも、しし丸も、さと子さんも、わたしを受け入れてくれている。
ふと気づけば、わたしは特に自分を偽る必要がない状態になっている。
わたしの何が変わったのだろう。わたしにはさっぱり分からなかった。
カマジリというレコード会社営業の若い男性ですら、わたしと話すのが楽しそうだ。
今までの根暗のわたしとは、今のわたしとは何かが変わったのだろうか。
分からない。
「A大統領到着は予定通り。まもなく会場に着く。」
わたしのインカムがゴムドリの声を伝えてきた。
ゴムドリはドローンと衛星を駆使して、両国の大統領の動きを追っていた。
伊賀の血を引くわたしとミカエルは実行部隊の役割をになっていた。
万が一、何者かが邪魔をしてきたら、即刻わたしとミカエルが相手になる。
猫のミケとソフィ、ダルマも近くに控えていた。
両国の大統領は偽名で同じホテルに宿泊予定だ。
アンジェロとゴムドリは協力して、パリ中の防犯カメラと地下鉄映像、パリ上空を監視していた。特別なツールをゴムドリが作ったのだ。ミカナの買い占めた未完成のツールにちょっと細工したのだ。
「B到着。」
先にB大統領が到着した。わたしの持っているモニターにB大統領がおしのび姿でホテルのエレベーターに乗る姿が映った。
「スイートルルームBのフロアに異常検知。火炎噴射機検知。」
B大統領の予約したスイートルームがある階の廊下で、わずかに異常を検知したとインカムに連絡が入った。何匹かの動物が潜入しているのだ。窓辺の鳥も私たちの仲間だ。
「ミカエル、GOよ。」
わたしはインカムにささやいた。
わたしとミカエルはフロアの壁を一気に走った。フロア一帯を炎の海に沈める火炎噴射器が発射されると予測したのだ。
伊賀の血と幼い頃に受けた訓練は、わたしとミカエルに特別な動きを可能にしていた。
音もなく横壁を全速力で走る。アドレナリンが身体中をめぐり、全てがスローモーションに見える。男がまさに火炎噴射機を発射した瞬間に男の頭に二人でキックを決めた。
男は音を立てて崩れるように倒れ、発射された火炎噴射機をわたしはすぐに止めた。
フロアの火災報知器が反応しそうになったが、ミケがすかさず火災報知器に飛びかかるように飛びつき、停止させた。
わたしとミカエルは素早く窓を開けた。
そして、火炎噴射機を倒れた男が運んできたらしい、シーツが山盛りのワゴンの中に隠した。
火炎噴射機の攻撃が未遂に終わったと知った敵は、今度は機関銃を持って姿を現した。
ミケが飛び上がって躍り出た。格闘技の必殺技を使って、機関銃を素早く叩き落とし、敵を倒した。
「一人退治したわ。」
ミケの声が聞こえた。
別の男がナイフを手に走ってきた。
ソフィが敏捷な動きで一瞬の動きで見事にナイフを蹴飛ばし、男にハイキックを決めた。
「わたしの出番は?」
ダルマはぼそっとつぶやいたが、もう刺客はいなかった。
「どこから情報が漏れた?」
わたしはつぶやいて、はっとしてインカムにささやいた。
「ゴムドリ、あなた職場でミッチェリアルの話をしなかった?」
しばらく無言がつづいた。シーンとしたホテルの廊下で面々は静寂を聞く。
「ごめん。したかも。ミッチェリアルメンバーに偶然会ったと話してしまった。」
ゴムドリのしょんぼりした声がやっと聞こえた。
となると、敵はまだいるな。
全員が攻撃体制で、A大統領の到着を固唾を飲んでまった。
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