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全世界の諸君に告ぐ
51_仕上げのメッセージ
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TikTok用の動画を撮影している。
ホテルのさと子社長のスイートルームで、メンバー全員集合してスマホのカメラに向かって笑っている。
アメリカよ、ありがとう。
ヨーロッパへ、待っててね。
そんなことを、ミカナ、ブー子、ミケ、トオルの順で話した。その途端、曲が流れて、そこに前もって録音していた「大統領と大統領を合わせよう」というメッセージが流れた。しし丸がそばに構えていて、流したのだ。
画面に映る四人はふざけていて、何気ない様子で曲と一瞬だけ動物たちの声が流れたという次第だ。
このTikTok動画に、大統領官邸のロムとドキロは反応するだろう。その隣国の大統領官邸にいる猫も反応するだろう。
ミケはツインテールを揺らして笑っている。
ミカナはくったくのない笑顔で、青い空を指さして、アメリカありがとうと言っている。
ブー子は、カメラに向かって笑いながら手を振った。
トオルはすっと真顔になると、「会える日を待ってるよ。」とだけ言った。
アイドル的人気を誇るミッチェリアルのアカウントはすごい威力をもっていた。
全世界の家庭で、若者が、中年男性が、中年女性が、ご老人が見ていた。
その撮影のすぐそばには、カマジリとメロンが控えていた。
カマジリは、メロンの顔をうっとりと見たり、ミッチェリアルの様子をチェックしたり、大忙しの状況のようだった。
撮影が終わると、皆で「さあ出発だあ」といいながら、スイートルームを出て行った。
自分の部屋に戻って荷物をとってきて、ホテルをチェックアウトして、そのまま空港に向かうのだ。
「あっ!」
廊下でトオルが突然叫んだ。
「何?」
「びっくりしたあ。トオル、何?」
みんな驚いて立ち止まってトオルの顔を見つめた。
「忘れていた。みんなに相談しなければならないことがある。」
トオルは、他には誰もいない廊下で、ミケ、ブー子、ミカナ、しし丸の顔を見つめて言った。
メロンはカマジリにつかまっていて、その場にいなかった。
「何?」
しし丸が聞き返した。
「日本を出る前に、脅迫状が届いたの。」
トオルは小さな声で、素早く皆にそうささやいた。
スマホのラインの画面をトオルは皆に見せた。
「これって、子供のいたずらじゃないの?」
ブー子は首を傾げて言った。
「かもしれない。」
「さと子さんに、このラインIDを調べてもらいましょう。」
ブー子が言った。
「そうする。」
トオルは小さくうなずいた。
「でも、なんでトオルのラインIDを知っているの?」
ミケは首をかしげた。
「わからない。大学で知っているのは、一人だけ。彼のIDじゃない。」
トオルは答えた。
「トオルのそばに、子供はいない?」
ミカナが聞いてきた。
ああ、その時だ。
トオルの頭に何かがひらめいた。
わかったような気がする。
ホテルのさと子社長のスイートルームで、メンバー全員集合してスマホのカメラに向かって笑っている。
アメリカよ、ありがとう。
ヨーロッパへ、待っててね。
そんなことを、ミカナ、ブー子、ミケ、トオルの順で話した。その途端、曲が流れて、そこに前もって録音していた「大統領と大統領を合わせよう」というメッセージが流れた。しし丸がそばに構えていて、流したのだ。
画面に映る四人はふざけていて、何気ない様子で曲と一瞬だけ動物たちの声が流れたという次第だ。
このTikTok動画に、大統領官邸のロムとドキロは反応するだろう。その隣国の大統領官邸にいる猫も反応するだろう。
ミケはツインテールを揺らして笑っている。
ミカナはくったくのない笑顔で、青い空を指さして、アメリカありがとうと言っている。
ブー子は、カメラに向かって笑いながら手を振った。
トオルはすっと真顔になると、「会える日を待ってるよ。」とだけ言った。
アイドル的人気を誇るミッチェリアルのアカウントはすごい威力をもっていた。
全世界の家庭で、若者が、中年男性が、中年女性が、ご老人が見ていた。
その撮影のすぐそばには、カマジリとメロンが控えていた。
カマジリは、メロンの顔をうっとりと見たり、ミッチェリアルの様子をチェックしたり、大忙しの状況のようだった。
撮影が終わると、皆で「さあ出発だあ」といいながら、スイートルームを出て行った。
自分の部屋に戻って荷物をとってきて、ホテルをチェックアウトして、そのまま空港に向かうのだ。
「あっ!」
廊下でトオルが突然叫んだ。
「何?」
「びっくりしたあ。トオル、何?」
みんな驚いて立ち止まってトオルの顔を見つめた。
「忘れていた。みんなに相談しなければならないことがある。」
トオルは、他には誰もいない廊下で、ミケ、ブー子、ミカナ、しし丸の顔を見つめて言った。
メロンはカマジリにつかまっていて、その場にいなかった。
「何?」
しし丸が聞き返した。
「日本を出る前に、脅迫状が届いたの。」
トオルは小さな声で、素早く皆にそうささやいた。
スマホのラインの画面をトオルは皆に見せた。
「これって、子供のいたずらじゃないの?」
ブー子は首を傾げて言った。
「かもしれない。」
「さと子さんに、このラインIDを調べてもらいましょう。」
ブー子が言った。
「そうする。」
トオルは小さくうなずいた。
「でも、なんでトオルのラインIDを知っているの?」
ミケは首をかしげた。
「わからない。大学で知っているのは、一人だけ。彼のIDじゃない。」
トオルは答えた。
「トオルのそばに、子供はいない?」
ミカナが聞いてきた。
ああ、その時だ。
トオルの頭に何かがひらめいた。
わかったような気がする。
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