ガールズバンド“ミッチェリアル”

西野歌夏

文字の大きさ
上 下
42 / 59
全世界の諸君に告ぐ

42_敵地にて

しおりを挟む
「死んだあああああ!」
「え、ウッソ生きてる。」
 皆が叫んでいると、急にダルマの声がした。

 生きているだと?
 モニターを凝視しているメンバーはギョッとして叫ぶのをやめた。

「応答せよ、応答せよ。モーリーとダルマは生きているなら応答せよ。」
 ミカエルが呼びかけた。

「はい、生きています!」
「はい、無事です!」

 元気な声が、モニターから聞こえた。
 レーダーには引っかからないはずなんだが、空を飛ぶねこ(らしきもの)ということで、一応違和感でレーダーに引っかかったようだ。
「ね、こんなんだったら、猫は地面を歩いて侵入した方が良かったんじゃない?」
 トオルがボソッと言った。

「おお、図星。」
 ダルマはボソッと言ったが、モーリー(ソフィ)がすぐにフォローした。

「いや、猫の地面を歩くスピードは遅いから。空から運んでもらった方が早く目的地には着きます。」
「そうか、そうだね。」
 みんな一同一旦は納得した。

「で、戦車をしまっている倉庫に着いたが、ゴムドリ、準備はいいか?」
 ダルマの声がした。
 途端に、ソフィの声がストップをかけた。

「待って!ご主人様から電話だわ。」
 ソフィの声がそう言ったのを認めると、全員が無言になった。

「え?」
 ソフィの声が、「ミュートをOFFにして、音声を全て皆さんに聞いてもらいますよ。」と言っている。

「なんで、武器が全部買い占められているんだっ!」
 ご主人さまは激怒している。
「そのー、ミカナさまが購入なさいました。」
 ソフィの声がゆっくりと言った。

「なんだと?そんな金が一体どこにあったのだ?」
「ミカナさまは、相続したロシア皇帝の隠し財産の三文の二使っています。」
「あの野郎。どうやったらそんなに使い込めるんだ?」
「まだ開発中のミサイルやロケットや衛星も買ったのです。」
 ソフィが言っている。

「未来への投資だそうです。」
 ソフィは言った。

「ミカナさんはまだ若いから。買った衛星が大活躍するのを身届けるつもりのようで、まだ利用実績もない開発中のものであっても買っていらっしゃいましたよ。」

「無駄遣いだ!」
 モーリーのご主人さまは叫んだが、誰も聞かなかった。


 ゴムドリは、買ったばかりの衛星に侵入して、ちょっと小細工を始めた。風と雨を自由に発生させることができるやつだ。

「ターゲットは、敵の武器倉庫っと。よし!準備できた。」
 ゴムどりが言った。

  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

公主の嫁入り

マチバリ
キャラ文芸
 宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。  17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。  中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...