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全世界の諸君に告ぐ
33_決戦の朝(ドキロとロム)
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まずは、ドキロとロムに話を戻そう。
TikTokのメッセージを聞いたドキロとロムは、決戦の朝を迎えていた。
昨晩、デザートのケーキのネタの中に、睡眠薬を混ぜた。睡眠薬は、秘書官のメラニーの机から失敬してやった。大統領の大好物のそのケーキは、大統領の胃の中に収まった。おかわりまでしていたので、当分起きないだろう。
というわけで、今日の大統領官邸は、ほぼ誰も起きてこない。
さあ、その間に仕事だ、仕事だ!
ロムは、大統領のスマホを持ってきて、寝ている大統領の人差し指でスマホのロックを解錠した。そして、こっそりそのまま執務室までスマホを持ち込み、電話をかけた。
ふふっ。軍の司令部のおっさんにかけた。
「はい!大統領閣下。」
イエッサーしか言わない軍の偉いおっさんが出た。
そこで、ドキロが大統領そっくりの声真似で言った。
「二週間休暇だ。全員すぐさま撤退しろ。」
ドキロは大統領そっくりの言い方で言った。
「はは!しかし急に・・・」
イエッサーしか言わない軍の偉いおっさんも、あまりのことに思わず戸惑った。
「外は暑いからだ。こんな暑いのに外で軍事行動させたら、軍の指揮が下がるだろう。これ以上下がっては私に対する不満が高まる。とにかく休暇だ。休戦だ。命令だ。」
ドキロは、びっくりするほど滑らかに喋った。
「イエッサー!」
軍の偉いおっさんが、スマホの向こうで敬礼している姿が目に浮かぶようだった。
あっさり緊急指令は通った。
「よーし、次は隣の国々だ。」
ロムはすぐさま連絡先を器用に操って、隣の国の大統領執務室を呼び出した。
「なんだ?」
おお、隣の国の大統領が飼っている猫の声だ。
「作戦成功。軍には二週間休暇を与えた。」
ロムはそう伝えた。
「りょうかい!」
隣の国の猫はすぐさまそう言って電話を切った。
今頃、隣の国の猫は、大統領のノートパソコンを使って指令を出しまくっているだろう。見渡す限りの隣国は、軍は二週間休暇で統一だ。
次は、スマホを使って、ある番号にメッセージを送った。
こちら、X国の大統領官邸。大統領は睡眠薬入りケーキでまだ寝ている。
軍には二週間休暇を出した。
当方の褒美は、隣国の動物と子供たちに物資を至急配送願う。
相手のメッセージからは、OK!とだけ返ってきた。
すぐにやり取りをロムは消去した。
ロムはまたスマホを持って、寝ている大統領のところに行き、そっとベッドの脇のいつもスマホが置いてある場所に置いてきた。
そして、何食わぬ顔で、ドキロは鳥籠に戻り、ロムはいつもの暖炉そばの寝床に戻ったのだ。
ただ、水面の1石投じた石のように、この二週間休暇の影響が連鎖してどこまで周囲に伝わるかは、ロムもドキロもよく分かっていなかった。
そのため、一仕事終えた二匹は、ぐっすり眠ったのだ。
こちらは、インドのモーリーこと、ソフィだ。
「報酬はどのくらいでしょう?」
ソフィはTikTokで伝えられた番号にメッセージを送った。
「何が欲しい?」
秘密の番号から聞かれた。
ソフィは唇をなめた。私は何が欲しいか?
「お金。」
ソフィはすぐにメッセージを送った。
「O K。」
返事はすぐに返ってきた。
ソフィは武器調達リストの連絡先に片っ端から、ご主人さまの名前で連絡をした。
武器の買い占めだ。武器商人の世界に独占禁止法なんてない。信用取引があるのみだ。
ご主人さまなら、こちらルートのありとあらゆる所に顔が効いている。全激ヤバ武器をFXXから何から何まで買い占めてやった。そこからご主人様の名義から、ミカナ名義に一気に変えた。
このやり方では、ミカナが金を使い果たす前に、ご主人さまの金が底をつく。そこは後で、うまく取り繕う必要があったが、今は、レディゴーで世界中の動物たちが行動を起こしたはずなので、一気にソフィもやる必要があった。
「うーん、金庫を空にする方法も有効だわ。」
ソフィは思わず小さな声でつぶやいた。
秘密の連絡先にメッセージを入れた。
各国の金庫を空にするマジックも有効かもしれない。
「なぬ・・・・」
それだけ相手からは返ってきた。
おっといけない!
ご主人さまが起きた気配を、ソフィの耳は聞きつけた。
すぐさま証拠を抹消して、猫のモーリーの姿に戻った。
そして何食わぬ顔をして、ひっそりと静かに部屋からでた。
TikTokのメッセージを聞いたドキロとロムは、決戦の朝を迎えていた。
昨晩、デザートのケーキのネタの中に、睡眠薬を混ぜた。睡眠薬は、秘書官のメラニーの机から失敬してやった。大統領の大好物のそのケーキは、大統領の胃の中に収まった。おかわりまでしていたので、当分起きないだろう。
というわけで、今日の大統領官邸は、ほぼ誰も起きてこない。
さあ、その間に仕事だ、仕事だ!
ロムは、大統領のスマホを持ってきて、寝ている大統領の人差し指でスマホのロックを解錠した。そして、こっそりそのまま執務室までスマホを持ち込み、電話をかけた。
ふふっ。軍の司令部のおっさんにかけた。
「はい!大統領閣下。」
イエッサーしか言わない軍の偉いおっさんが出た。
そこで、ドキロが大統領そっくりの声真似で言った。
「二週間休暇だ。全員すぐさま撤退しろ。」
ドキロは大統領そっくりの言い方で言った。
「はは!しかし急に・・・」
イエッサーしか言わない軍の偉いおっさんも、あまりのことに思わず戸惑った。
「外は暑いからだ。こんな暑いのに外で軍事行動させたら、軍の指揮が下がるだろう。これ以上下がっては私に対する不満が高まる。とにかく休暇だ。休戦だ。命令だ。」
ドキロは、びっくりするほど滑らかに喋った。
「イエッサー!」
軍の偉いおっさんが、スマホの向こうで敬礼している姿が目に浮かぶようだった。
あっさり緊急指令は通った。
「よーし、次は隣の国々だ。」
ロムはすぐさま連絡先を器用に操って、隣の国の大統領執務室を呼び出した。
「なんだ?」
おお、隣の国の大統領が飼っている猫の声だ。
「作戦成功。軍には二週間休暇を与えた。」
ロムはそう伝えた。
「りょうかい!」
隣の国の猫はすぐさまそう言って電話を切った。
今頃、隣の国の猫は、大統領のノートパソコンを使って指令を出しまくっているだろう。見渡す限りの隣国は、軍は二週間休暇で統一だ。
次は、スマホを使って、ある番号にメッセージを送った。
こちら、X国の大統領官邸。大統領は睡眠薬入りケーキでまだ寝ている。
軍には二週間休暇を出した。
当方の褒美は、隣国の動物と子供たちに物資を至急配送願う。
相手のメッセージからは、OK!とだけ返ってきた。
すぐにやり取りをロムは消去した。
ロムはまたスマホを持って、寝ている大統領のところに行き、そっとベッドの脇のいつもスマホが置いてある場所に置いてきた。
そして、何食わぬ顔で、ドキロは鳥籠に戻り、ロムはいつもの暖炉そばの寝床に戻ったのだ。
ただ、水面の1石投じた石のように、この二週間休暇の影響が連鎖してどこまで周囲に伝わるかは、ロムもドキロもよく分かっていなかった。
そのため、一仕事終えた二匹は、ぐっすり眠ったのだ。
こちらは、インドのモーリーこと、ソフィだ。
「報酬はどのくらいでしょう?」
ソフィはTikTokで伝えられた番号にメッセージを送った。
「何が欲しい?」
秘密の番号から聞かれた。
ソフィは唇をなめた。私は何が欲しいか?
「お金。」
ソフィはすぐにメッセージを送った。
「O K。」
返事はすぐに返ってきた。
ソフィは武器調達リストの連絡先に片っ端から、ご主人さまの名前で連絡をした。
武器の買い占めだ。武器商人の世界に独占禁止法なんてない。信用取引があるのみだ。
ご主人さまなら、こちらルートのありとあらゆる所に顔が効いている。全激ヤバ武器をFXXから何から何まで買い占めてやった。そこからご主人様の名義から、ミカナ名義に一気に変えた。
このやり方では、ミカナが金を使い果たす前に、ご主人さまの金が底をつく。そこは後で、うまく取り繕う必要があったが、今は、レディゴーで世界中の動物たちが行動を起こしたはずなので、一気にソフィもやる必要があった。
「うーん、金庫を空にする方法も有効だわ。」
ソフィは思わず小さな声でつぶやいた。
秘密の連絡先にメッセージを入れた。
各国の金庫を空にするマジックも有効かもしれない。
「なぬ・・・・」
それだけ相手からは返ってきた。
おっといけない!
ご主人さまが起きた気配を、ソフィの耳は聞きつけた。
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そして何食わぬ顔をして、ひっそりと静かに部屋からでた。
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