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全世界の諸君に告ぐ
30_夏休み二日目(しし丸)
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誰かが何かを話そうとするたびに、誰かが静かにと抑止する。
俺たちは、昨晩のコンサート初日が成功したのに気をよくして、俺の夏休み二日目企画だった、山に「大陸の兄弟に会いに行く」というイベントで、ロス近郊の山にきていた。
朝、さと子さんのスイートルームで全員で朝食をとると、俺が手配していたレンタカーのワゴンに乗って、ピクニック気分でやってきたのだった。
「いたっ!」
俺は小さく叫ぶ。
「どこ?」とブー子がささやく。
「どこや?」とさと子さんがささやく。
「どの辺?」トオルが言う。
「どっち?」ミカナが聞く。
「ね、どこさ?」ミケが興奮して聞く。
メロンは無言だ。山を登ってくる途中で、イノシシ狩りをする連中とすれ違ったので、テンションが落ちているのだ。
「あの中腹さ。」
俺は皆にささやいた。
「メロン!」
俺はぼーっとしているメロンの手からスマホを取った。
そのまま、昨晩夜なべして作ったスマホショルダーケースの改良版にスマホをしっかり入れ込む。
俺はそれを口にくわえて、誰も見ていないのを確認して、イノシシ姿になって猪突猛進した。
「ししちゃん!」
ブー子が後を追った。
「あかん!あんたは、そんままでいないとダメっちゃ。」
さと子さんが止めたが間に合わなかった。
ブー子はキツネ姿になってイノシシのしし丸を追いかけて行った。
「あちゃー!」
さと子さんはそういうと、自分もタヌキ姿になって追いかけて行った。ミケもそれを見ると、くるっとネコの姿になり、「にゃあ!」と雄叫びをあげて追って行ってしまった。
「だめ!ハンターが山にはいる!」
メロンはそう叫ぶと、電光石火の早業でクルンと身を翻して後を追って行った。
この話は、トオルが後で俺に教えてくれたことだ。
トオルとミカナは、慌ててメロンの後を追ったそうだ。だが、完全にはぐれてしまったそうだ。トオルとミカナは、素直に登ってきた道を降りて行ったそうだ。
一方、俺の方は、思い描いた通りに大陸のイノシシに山で会えそうになったことに大興奮して、ひたすら近づこうとダッシュしていた。
憧れのその方は、いきなり近づいてきた俺にビクッとした。
「お前、見かけないやつだな?」
そのお方は言った。
「はい、日本からやってきました。」
俺がそう言うと、そのお方は、でかい体をゆすって笑った。
「なんだって?どうやって海を渡ったんだ?」
そのお方は俺を見てそう言った。
「俺は、人に化けられるんだ。人に化けて飛行機に乗ってやってきたんです。」
俺がそう言うと、そのお方は信じられないと言った様子で目を丸くした。
「すんげえな。お前。日本の兄弟は、そんなことができるのか?」
そのお方は、素直にびっくりした様子でそう言った。
「いえ。私だけかもしれません。たぬきに俺の爺さまが教わったそうです。」
俺はそう話した。
俺はそこまで話したところで、思い切って言った。
「一つ、お願いがあるんです。」
俺がそう言うと、そのお方は不思議そうな顔をして俺をみた。
「このスマホを2日ほど持っていてくれないでしょうか?」
俺はそう言って、スマホショルダーバッグを地面から持ち上げた。
話すのに邪魔なので、しばらく地面に置いていたのだ。
「なんだ、そりゃ。」
そのお方は聞いてきた。
「悪い奴が、俺たちの秘密を暴こうとしていまして。俺が人に化けたイノシシだとバレてしまったら大変でして。」
俺がそこまで言ったところで、ブー子が転がるように駆けつけた。
「ししちゃん!」
「こちらは知り合いかい?」
そのお方が聞いた。
「そうです。彼女はブー子です。やっぱり人に化けて生活しています。」
俺はそのお方に言った。
「わかったよ。そいつを貸しな。俺が2日ほど持っていてやる。」
そのお方は言った。
「ありがとうございます。2日ほど持っていた後は、谷にでも落としてください。」
俺はそう言って、人の姿になり、そのお方に近づいた。
「おお!すんげえな。お前!」
そのお方は言った。
「今、つけますね。」
俺はそう言って、そのお方の大きな体にスマホショルダーをつけた。
「今度、お前の化け方を教えてくれよ。俺もやってみたい。」
そのお方は嬉しそうに言った。
「よろしくお願いします。」
ブー子もそう言って、きつね姿から人の姿になった。
「おお!やっぱすげえ!」
そのお方は大興奮した。
そこにタヌキ姿のさと子さんと、ねこ姿のミケが転がり込んできた。
「あれ?人の姿?」
そう叫んで、二人ともそれぞれ人の姿に戻った。
「何んだ、なんだ、お前たちなんだよー。」
そのお方は地団駄踏んで大喜びした。
「すみません!じゃあ、2日ほど持っていてくださいね!」
俺は頼んだ。
「お安い御用よ。今度きたとき、俺にその化け方教えてくれよ。」
そのお方は嬉しそうに言った。
「はい!ぜひ!」
俺はそう言った。
突然、メロンの声がした。
「3時の方向にハンターがいます!みなさん、急いで、そのお方から離れてください!」
メロンは木の上に登って一部始終を見ていたようだ。
「あ、まずい!」
「逃げて!」
「ここは私たちが惹きつけるから、あなたは逃げて!」
「メロン、3時の方向ってどっちやねん?」
さと子さんも含めて右往左往した。
木の上から、スタッと飛び降りてきたメロンが指差した。
「あっち!」
「あなたは、こちらに逃げてください!」
俺はそのお方にハンターとは逆方向に行くように言った。
そして声の限りに叫んだ。
「こっちには人がいるぞ!!!!」
俺のその声につられて、全員が叫んだ。
「人です!」
「いや、日本語で言うてもわからんとちゃう?」
「いや、人かどうかはわかる!」
「人です!」
そのお方が走り去ったのを見届けて、俺たちはゆっくりと道の方に戻った。
ハンターよけに持ってきた笛を俺は吹いた。
「ピー!ピー!」
逆に助けを求めていたと思ったらしい、ハンター集団が駆け寄ってきてしまった。
そんなこんなで、俺たちは山道を駆け降りた。
今頃、金の亡者は、メロンが山で走り回っていると思って、不思議がっているだろう。
ざまあみろだ。
山道を駆け降りた俺たちは、ミカナとトオルと合流して、レンタカーに乗ってホテルに戻った。俺はアメリカ大陸の兄弟に会えて話せたことで、大満足だった。
俺たちは、昨晩のコンサート初日が成功したのに気をよくして、俺の夏休み二日目企画だった、山に「大陸の兄弟に会いに行く」というイベントで、ロス近郊の山にきていた。
朝、さと子さんのスイートルームで全員で朝食をとると、俺が手配していたレンタカーのワゴンに乗って、ピクニック気分でやってきたのだった。
「いたっ!」
俺は小さく叫ぶ。
「どこ?」とブー子がささやく。
「どこや?」とさと子さんがささやく。
「どの辺?」トオルが言う。
「どっち?」ミカナが聞く。
「ね、どこさ?」ミケが興奮して聞く。
メロンは無言だ。山を登ってくる途中で、イノシシ狩りをする連中とすれ違ったので、テンションが落ちているのだ。
「あの中腹さ。」
俺は皆にささやいた。
「メロン!」
俺はぼーっとしているメロンの手からスマホを取った。
そのまま、昨晩夜なべして作ったスマホショルダーケースの改良版にスマホをしっかり入れ込む。
俺はそれを口にくわえて、誰も見ていないのを確認して、イノシシ姿になって猪突猛進した。
「ししちゃん!」
ブー子が後を追った。
「あかん!あんたは、そんままでいないとダメっちゃ。」
さと子さんが止めたが間に合わなかった。
ブー子はキツネ姿になってイノシシのしし丸を追いかけて行った。
「あちゃー!」
さと子さんはそういうと、自分もタヌキ姿になって追いかけて行った。ミケもそれを見ると、くるっとネコの姿になり、「にゃあ!」と雄叫びをあげて追って行ってしまった。
「だめ!ハンターが山にはいる!」
メロンはそう叫ぶと、電光石火の早業でクルンと身を翻して後を追って行った。
この話は、トオルが後で俺に教えてくれたことだ。
トオルとミカナは、慌ててメロンの後を追ったそうだ。だが、完全にはぐれてしまったそうだ。トオルとミカナは、素直に登ってきた道を降りて行ったそうだ。
一方、俺の方は、思い描いた通りに大陸のイノシシに山で会えそうになったことに大興奮して、ひたすら近づこうとダッシュしていた。
憧れのその方は、いきなり近づいてきた俺にビクッとした。
「お前、見かけないやつだな?」
そのお方は言った。
「はい、日本からやってきました。」
俺がそう言うと、そのお方は、でかい体をゆすって笑った。
「なんだって?どうやって海を渡ったんだ?」
そのお方は俺を見てそう言った。
「俺は、人に化けられるんだ。人に化けて飛行機に乗ってやってきたんです。」
俺がそう言うと、そのお方は信じられないと言った様子で目を丸くした。
「すんげえな。お前。日本の兄弟は、そんなことができるのか?」
そのお方は、素直にびっくりした様子でそう言った。
「いえ。私だけかもしれません。たぬきに俺の爺さまが教わったそうです。」
俺はそう話した。
俺はそこまで話したところで、思い切って言った。
「一つ、お願いがあるんです。」
俺がそう言うと、そのお方は不思議そうな顔をして俺をみた。
「このスマホを2日ほど持っていてくれないでしょうか?」
俺はそう言って、スマホショルダーバッグを地面から持ち上げた。
話すのに邪魔なので、しばらく地面に置いていたのだ。
「なんだ、そりゃ。」
そのお方は聞いてきた。
「悪い奴が、俺たちの秘密を暴こうとしていまして。俺が人に化けたイノシシだとバレてしまったら大変でして。」
俺がそこまで言ったところで、ブー子が転がるように駆けつけた。
「ししちゃん!」
「こちらは知り合いかい?」
そのお方が聞いた。
「そうです。彼女はブー子です。やっぱり人に化けて生活しています。」
俺はそのお方に言った。
「わかったよ。そいつを貸しな。俺が2日ほど持っていてやる。」
そのお方は言った。
「ありがとうございます。2日ほど持っていた後は、谷にでも落としてください。」
俺はそう言って、人の姿になり、そのお方に近づいた。
「おお!すんげえな。お前!」
そのお方は言った。
「今、つけますね。」
俺はそう言って、そのお方の大きな体にスマホショルダーをつけた。
「今度、お前の化け方を教えてくれよ。俺もやってみたい。」
そのお方は嬉しそうに言った。
「よろしくお願いします。」
ブー子もそう言って、きつね姿から人の姿になった。
「おお!やっぱすげえ!」
そのお方は大興奮した。
そこにタヌキ姿のさと子さんと、ねこ姿のミケが転がり込んできた。
「あれ?人の姿?」
そう叫んで、二人ともそれぞれ人の姿に戻った。
「何んだ、なんだ、お前たちなんだよー。」
そのお方は地団駄踏んで大喜びした。
「すみません!じゃあ、2日ほど持っていてくださいね!」
俺は頼んだ。
「お安い御用よ。今度きたとき、俺にその化け方教えてくれよ。」
そのお方は嬉しそうに言った。
「はい!ぜひ!」
俺はそう言った。
突然、メロンの声がした。
「3時の方向にハンターがいます!みなさん、急いで、そのお方から離れてください!」
メロンは木の上に登って一部始終を見ていたようだ。
「あ、まずい!」
「逃げて!」
「ここは私たちが惹きつけるから、あなたは逃げて!」
「メロン、3時の方向ってどっちやねん?」
さと子さんも含めて右往左往した。
木の上から、スタッと飛び降りてきたメロンが指差した。
「あっち!」
「あなたは、こちらに逃げてください!」
俺はそのお方にハンターとは逆方向に行くように言った。
そして声の限りに叫んだ。
「こっちには人がいるぞ!!!!」
俺のその声につられて、全員が叫んだ。
「人です!」
「いや、日本語で言うてもわからんとちゃう?」
「いや、人かどうかはわかる!」
「人です!」
そのお方が走り去ったのを見届けて、俺たちはゆっくりと道の方に戻った。
ハンターよけに持ってきた笛を俺は吹いた。
「ピー!ピー!」
逆に助けを求めていたと思ったらしい、ハンター集団が駆け寄ってきてしまった。
そんなこんなで、俺たちは山道を駆け降りた。
今頃、金の亡者は、メロンが山で走り回っていると思って、不思議がっているだろう。
ざまあみろだ。
山道を駆け降りた俺たちは、ミカナとトオルと合流して、レンタカーに乗ってホテルに戻った。俺はアメリカ大陸の兄弟に会えて話せたことで、大満足だった。
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ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
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