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全世界の諸君に告ぐ
28_インドのモーリー
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外は猛烈な雨が降っていた。
バケツをひっくり返したような猛烈な雨が、インドの街に降り注いでいる。
雨に濡れない安全な屋敷の中で、窓の外を眺めている私は猫のモーリー。空は鉛色に曇り、容赦なく前が見えないほどの雨が降り続けている。私は屋敷の前の通りで、立ち往生して動けなくなったバイクを見つめている。こんな日にバイクで出かけるなんて気がふれている。
と思っていた。バイクを止めた男が拳銃のような物を取り出すまでは。
私ははっとしてバイクを止めた男の動きを追った。
黒いジャンパーに、黒いジーンズ。細身だ。年齢は四十代か。黒いヘルメットから見える顔は、よく分からない。
私はご主人様の様子を背中で感じる。
ご主人さまは髪の毛をかきむしっては、さっきからぶつぶつと独り言を言いながらスマホをいじっている。
機嫌が悪そうなので、なるべく私は近づかないようにしていた。
「ミカナのやつ・・・・あいつ・・・・一体・・・・」
外の雨の音がすさまじすぎて、窓ガラスに顔を近づけている私の耳には、ご主人様の声は途切れ途切れにしか聞こえない。
ご主人さまは、豪華なソファにひっくり返ったかと思うと、むくっと起きがあり、前屈みになって、スマホの画面を凝視していたりしていた。
誰のことで、ご主人さまが機嫌が悪いのか、私はわかっている。
「16歳の小娘ごときが」としょっちゅう悪態をついているので、私は知っている。
ご主人さまは、また、ミカナという女の子のことで頭に来ているのだ。
私はため息をついて、窓辺から飛び降りて、音もなく部屋の外に出た。猫用の出入り口があるのだ。
私はそのまま階段を一っ飛びに飛び降りて、玄関脇の勝手口コーナーに飛び込んだ。すぐに姿を表す。私の人化は、中途半端だ。尻尾を隠せない。耳も隠せない。だから、帽子を被り、ピチッとしたパンツの上に短いスカートを巻き付けたスタイルだ。ミニスカートの下にジャージを履く日本の田舎の中学生と同じといえば同じだ。
そのまま息を潜めて、そっと勝手口から外をのぞいた。男はまだ通りをうろうろしている。私のところからでも、黒いヘルメットが動くのが見えた。
私は頭にヘルメットを被った。耳を隠すために帽子をかぶるのが正解かもしれないが、今日は雨だし、拳銃を打たれても、顔の真ん中以外はヘルメットが守ってくれる。
そのまま私は勝手口の奥の棚から短いピストルをつかんで、そっと外に出た。耳が痛いほどの大雨の音がしている。雨が肩に当たるだけで振動がすごい。ヘルメットの中に雨音が反響してしまい、失敗したとちらっと思った。
ピストルは、連射に優れている。万が一、撃ち合いになった時に、一気に相手にダメージを与えられる。殺したいわけではない時はピストルが私は使いやすかった。
私は門を飛び越えて、ヒラっと男の後ろに着地した。男は振り返らない。雨音で私のことに気づかないのだ。私は全速力で走り、男の背中に飛び蹴りをして着地した。
男はヒラっとかわした。
男の顔を見て、私はギョッとして叫んだ。
「ミカエル!」
「なんだ、ソフィかよ。」
ミカエルは金髪の前髪が目にかかるのか、目の当たりを拳銃でかきあげながら、言った。
「これ、おもちゃだぜ。」
ミカエルは拳銃を顎で指して言った。
「もう、ったく。本物のピストル持ってきてどうすんだよ。」
ミカエルはそう言って、つぶやいた。
「探したんだぜ。」
全然四十代ではない。まだ若い二十歳のミカエルは、ハーバードを休学して、ご主人さまのところにやってきた若者だ。
私はそっとピストルをポケットに仕舞い込んで、後をついてきなと合図をした。
途端に、一発の拳銃の弾が私の頬を掠めた。当たらなかった。ただ、かすめたのを感じた。
途端に、ミカエルが私を抱えて一っ飛びに飛んで、塀の中に引きずり込んだ。
数発撃ち込まれた。
ミカエルが、指で合図をした。
1、2、3!
私とミカエルは飛び上がり、私はピストルを打ち込み、ミカエルは手裏剣を投げた。
襲ってきた敵は、土砂降りの雨の中を車で逃走した。
私はため息をついた。
「あんたが、連れてきたんだからね。」
私はぼそっとミカエルに言った。
「悪い、悪い。また移動だな。」
ミカエルは罰が悪そうに言った。
「ったく、バレないように隠れていたのに、あんたのせいでのこのこ自ら出ていったせいで、場所がバレちゃった。」
私は悪態ついて、ミカエルを屋敷の中に入れた。
ご主人さまが狂ったように怒ったのは、ミカナが弁護士に会うと決めたことを知ったからだ。脅していたのに、どうやら、脅しはちっとも聞かなかったようだ。
ミカナは、ロサンゼルスに滞在しているらしい。ロス行きの飛行機にも、ロスにも、そもそも飛行機に乗る前の日本にも、ご主人さまは刺客を送り込んでいた。その一人が、さっき雨の中戻ってきたミカエルだった。
結局、刺客は、全部意味がなかったようだ。
ただ、コードネーム「メロン」という女性は、どうやらミカナに気に入られたらしい。ミカエルの姉だ。
「友達になってどうするんだっ!」とご主人さまは烈火のごとく怒り狂っていたが、メロンとその弟のミカエルは、結局ご主人さまの説得に成功したようだ。
メロンは、日本の伊賀忍者の末裔とか名乗って売り込んできた新参者だ。ご主人さまに仕えて、まだ日は浅い。半年ぐらいだろうか。ただ、驚いたのは、つい最近になってメロンの弟のミカエルまでご主人さまに仕えたいとやってきたことだ。どうやら、金が必要な兄弟らしい。
伊賀の血が功を奏したのか、メロンはミカナにピッタリくっついて、ミカナの動向を知らせてくることに成功していた。
私がミカエルと一緒に部屋に戻ると、ご主人さまは、紅茶を飲みながら、何かつぶやいていた。
「ミカエルが戻ってまいりました。」
私が告げると、一瞬、スマホから目を離して、ずぶ濡れの私とミカエルを一瞥したご主人さまは、小さくうなずいた。そしてすぐにまたスマホに目を向けた。私は持ってきたタオルをミカエルに渡した。
私は目をぐるっと回して、肩をすくめた。そして、「着替えるわ」とささやくと、部屋を出た。
また急いで玄関脇の勝手口の小さな部屋に戻ると、猫の姿に戻り、階段を駆け上がって部屋に戻った。ミカエルとご主人さまが、私がいないところで何を話しているのか気になるのだ。
私が猫の姿でそっと猫用入口から部屋に戻ると、ミカエルは髪の毛をタオルで拭きながら、ご主人さまの横に突っ立っていた。
「おっ!ワールドツアーの初日は成功したのか。」
相変わらずソファに座ったままのご主人さまは、つぶやいた。
一昨日から、メロンが送ってくる盗聴器の音声のおかげで、ご主人さまは、ミカナのバンドのファンみたいな言動をしている。
機嫌が悪そうだったご主人さまのテンションが変わったようなので、私はひっそりと動いて、ご主人さまが座っているソファに近づいた。
「お、TikTokで評判になっているぞ!」
はい、ファンの言動ですね。ご主人さま。
私は内心ため息をつきながら、ソファに飛び上がり、ご主人さまの手元をのぞき込んだ。
ご主人さまは、私の背中を無意識に撫でてくれた。
「あれ、ちょっと濡れた?」と一言つぶやくと、続けて言った。
「再生してみるか、モーリー?」
私は聞かれたので、一応「にゃお」と言った。
「そうだな。まあ、敵情視察だな。」
ご主人さまはそう言って、TikTokの再生ボタンを押した。
ガールズバンド“ミッチェリアル”のワールドツアー中の動画だった。
情熱的なバンドの曲が流れている。その瞬間、私の全身の毛が逆だった!
びっくりした!!
なんだこれは?
ご主人さまは、気分良さそうに動画を見ている。
「あいつは、金のなる木か?」
「これは、これは、ミカナは本当に世界的なスターになるのか?」
ご主人さまには、当然、動物たちの声は聞こえなかったようだ。
隣に立つミカエルにも聞こえていない。
だが、このバンドは、明らかに世界中の動物たちにメッセージを送っている!
私はもう一度聞きたくて、ご主人さまの手元をのぞき込んだ。
「どうした、また聞きたいのか?モーリー?」
ご主人さまは、また無意識に私の背中を撫でながら、次の関連動画の再生ボタンを押した。
今度は違う曲だ。どうやら、コンサートのラストらしい。
でも、また、同じメッセージが流れた!
こうしちゃいられない!
これは、前代未聞だあああああああああ!
「モーリー?どうした?」
ご主人さまは、興奮してウロウロし出した私に、驚いて声をかけた。
ずぶ濡れのミカエルも、目を丸くして私を見つめていた。
バケツをひっくり返したような猛烈な雨が、インドの街に降り注いでいる。
雨に濡れない安全な屋敷の中で、窓の外を眺めている私は猫のモーリー。空は鉛色に曇り、容赦なく前が見えないほどの雨が降り続けている。私は屋敷の前の通りで、立ち往生して動けなくなったバイクを見つめている。こんな日にバイクで出かけるなんて気がふれている。
と思っていた。バイクを止めた男が拳銃のような物を取り出すまでは。
私ははっとしてバイクを止めた男の動きを追った。
黒いジャンパーに、黒いジーンズ。細身だ。年齢は四十代か。黒いヘルメットから見える顔は、よく分からない。
私はご主人様の様子を背中で感じる。
ご主人さまは髪の毛をかきむしっては、さっきからぶつぶつと独り言を言いながらスマホをいじっている。
機嫌が悪そうなので、なるべく私は近づかないようにしていた。
「ミカナのやつ・・・・あいつ・・・・一体・・・・」
外の雨の音がすさまじすぎて、窓ガラスに顔を近づけている私の耳には、ご主人様の声は途切れ途切れにしか聞こえない。
ご主人さまは、豪華なソファにひっくり返ったかと思うと、むくっと起きがあり、前屈みになって、スマホの画面を凝視していたりしていた。
誰のことで、ご主人さまが機嫌が悪いのか、私はわかっている。
「16歳の小娘ごときが」としょっちゅう悪態をついているので、私は知っている。
ご主人さまは、また、ミカナという女の子のことで頭に来ているのだ。
私はため息をついて、窓辺から飛び降りて、音もなく部屋の外に出た。猫用の出入り口があるのだ。
私はそのまま階段を一っ飛びに飛び降りて、玄関脇の勝手口コーナーに飛び込んだ。すぐに姿を表す。私の人化は、中途半端だ。尻尾を隠せない。耳も隠せない。だから、帽子を被り、ピチッとしたパンツの上に短いスカートを巻き付けたスタイルだ。ミニスカートの下にジャージを履く日本の田舎の中学生と同じといえば同じだ。
そのまま息を潜めて、そっと勝手口から外をのぞいた。男はまだ通りをうろうろしている。私のところからでも、黒いヘルメットが動くのが見えた。
私は頭にヘルメットを被った。耳を隠すために帽子をかぶるのが正解かもしれないが、今日は雨だし、拳銃を打たれても、顔の真ん中以外はヘルメットが守ってくれる。
そのまま私は勝手口の奥の棚から短いピストルをつかんで、そっと外に出た。耳が痛いほどの大雨の音がしている。雨が肩に当たるだけで振動がすごい。ヘルメットの中に雨音が反響してしまい、失敗したとちらっと思った。
ピストルは、連射に優れている。万が一、撃ち合いになった時に、一気に相手にダメージを与えられる。殺したいわけではない時はピストルが私は使いやすかった。
私は門を飛び越えて、ヒラっと男の後ろに着地した。男は振り返らない。雨音で私のことに気づかないのだ。私は全速力で走り、男の背中に飛び蹴りをして着地した。
男はヒラっとかわした。
男の顔を見て、私はギョッとして叫んだ。
「ミカエル!」
「なんだ、ソフィかよ。」
ミカエルは金髪の前髪が目にかかるのか、目の当たりを拳銃でかきあげながら、言った。
「これ、おもちゃだぜ。」
ミカエルは拳銃を顎で指して言った。
「もう、ったく。本物のピストル持ってきてどうすんだよ。」
ミカエルはそう言って、つぶやいた。
「探したんだぜ。」
全然四十代ではない。まだ若い二十歳のミカエルは、ハーバードを休学して、ご主人さまのところにやってきた若者だ。
私はそっとピストルをポケットに仕舞い込んで、後をついてきなと合図をした。
途端に、一発の拳銃の弾が私の頬を掠めた。当たらなかった。ただ、かすめたのを感じた。
途端に、ミカエルが私を抱えて一っ飛びに飛んで、塀の中に引きずり込んだ。
数発撃ち込まれた。
ミカエルが、指で合図をした。
1、2、3!
私とミカエルは飛び上がり、私はピストルを打ち込み、ミカエルは手裏剣を投げた。
襲ってきた敵は、土砂降りの雨の中を車で逃走した。
私はため息をついた。
「あんたが、連れてきたんだからね。」
私はぼそっとミカエルに言った。
「悪い、悪い。また移動だな。」
ミカエルは罰が悪そうに言った。
「ったく、バレないように隠れていたのに、あんたのせいでのこのこ自ら出ていったせいで、場所がバレちゃった。」
私は悪態ついて、ミカエルを屋敷の中に入れた。
ご主人さまが狂ったように怒ったのは、ミカナが弁護士に会うと決めたことを知ったからだ。脅していたのに、どうやら、脅しはちっとも聞かなかったようだ。
ミカナは、ロサンゼルスに滞在しているらしい。ロス行きの飛行機にも、ロスにも、そもそも飛行機に乗る前の日本にも、ご主人さまは刺客を送り込んでいた。その一人が、さっき雨の中戻ってきたミカエルだった。
結局、刺客は、全部意味がなかったようだ。
ただ、コードネーム「メロン」という女性は、どうやらミカナに気に入られたらしい。ミカエルの姉だ。
「友達になってどうするんだっ!」とご主人さまは烈火のごとく怒り狂っていたが、メロンとその弟のミカエルは、結局ご主人さまの説得に成功したようだ。
メロンは、日本の伊賀忍者の末裔とか名乗って売り込んできた新参者だ。ご主人さまに仕えて、まだ日は浅い。半年ぐらいだろうか。ただ、驚いたのは、つい最近になってメロンの弟のミカエルまでご主人さまに仕えたいとやってきたことだ。どうやら、金が必要な兄弟らしい。
伊賀の血が功を奏したのか、メロンはミカナにピッタリくっついて、ミカナの動向を知らせてくることに成功していた。
私がミカエルと一緒に部屋に戻ると、ご主人さまは、紅茶を飲みながら、何かつぶやいていた。
「ミカエルが戻ってまいりました。」
私が告げると、一瞬、スマホから目を離して、ずぶ濡れの私とミカエルを一瞥したご主人さまは、小さくうなずいた。そしてすぐにまたスマホに目を向けた。私は持ってきたタオルをミカエルに渡した。
私は目をぐるっと回して、肩をすくめた。そして、「着替えるわ」とささやくと、部屋を出た。
また急いで玄関脇の勝手口の小さな部屋に戻ると、猫の姿に戻り、階段を駆け上がって部屋に戻った。ミカエルとご主人さまが、私がいないところで何を話しているのか気になるのだ。
私が猫の姿でそっと猫用入口から部屋に戻ると、ミカエルは髪の毛をタオルで拭きながら、ご主人さまの横に突っ立っていた。
「おっ!ワールドツアーの初日は成功したのか。」
相変わらずソファに座ったままのご主人さまは、つぶやいた。
一昨日から、メロンが送ってくる盗聴器の音声のおかげで、ご主人さまは、ミカナのバンドのファンみたいな言動をしている。
機嫌が悪そうだったご主人さまのテンションが変わったようなので、私はひっそりと動いて、ご主人さまが座っているソファに近づいた。
「お、TikTokで評判になっているぞ!」
はい、ファンの言動ですね。ご主人さま。
私は内心ため息をつきながら、ソファに飛び上がり、ご主人さまの手元をのぞき込んだ。
ご主人さまは、私の背中を無意識に撫でてくれた。
「あれ、ちょっと濡れた?」と一言つぶやくと、続けて言った。
「再生してみるか、モーリー?」
私は聞かれたので、一応「にゃお」と言った。
「そうだな。まあ、敵情視察だな。」
ご主人さまはそう言って、TikTokの再生ボタンを押した。
ガールズバンド“ミッチェリアル”のワールドツアー中の動画だった。
情熱的なバンドの曲が流れている。その瞬間、私の全身の毛が逆だった!
びっくりした!!
なんだこれは?
ご主人さまは、気分良さそうに動画を見ている。
「あいつは、金のなる木か?」
「これは、これは、ミカナは本当に世界的なスターになるのか?」
ご主人さまには、当然、動物たちの声は聞こえなかったようだ。
隣に立つミカエルにも聞こえていない。
だが、このバンドは、明らかに世界中の動物たちにメッセージを送っている!
私はもう一度聞きたくて、ご主人さまの手元をのぞき込んだ。
「どうした、また聞きたいのか?モーリー?」
ご主人さまは、また無意識に私の背中を撫でながら、次の関連動画の再生ボタンを押した。
今度は違う曲だ。どうやら、コンサートのラストらしい。
でも、また、同じメッセージが流れた!
こうしちゃいられない!
これは、前代未聞だあああああああああ!
「モーリー?どうした?」
ご主人さまは、興奮してウロウロし出した私に、驚いて声をかけた。
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