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襲撃(始まる前に、襲われた)
15_女忍びメロンの心の中
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ひどい気分だった。
彼らが襲われるのを見るのは、耐えられなかった。
ミカナの前に暴漢が現れる前までは、わたしは最高の気分にひたっていた。ファーストクラスに生まれて初めて乗り、わたしは文字通り完全に舞い上がっていた。
隣にさとこタヌキが寝ている。毛布の下では完全にタヌキの姿であろう。
その隣にトオルが座っていて、クジャクのようなオーラを放ち、静かに寝入っていた。
そして、その隣には、ミケ猫が眠っているはずだ。わたしは彼らの呼吸音が聞こえるような気がして(タヌキの呼吸音は聞こえた)、幸せの絶頂にいた。
それが、突然、ミカナの所にガタイの良い男たちが現れた。16歳の彼女を脅し始めた。
わたしが薄い顔だからか、彼らはわたしが誰だか分からないようだった。
奴らは、動物の尊さなんて踏み躙るはずだ。人であるミカナの存在も踏み躙るのだから。
わたしの中で、ゆっくりと何かがもたげた。それはむかつき以上の、わたしも今まで存在を知り得なかった、わたしの中の凶暴さかもしれない。
わたしは初めて人を殺めようと思ってしまった。
わたしが自分の中の感覚に戸惑っているうちに、目を覚ましたトオルが天使のような雰囲気のまま、ツカツカと歩いてきて素早くガタイの良い男たちの間に体を入れようとした。
わたしは何が起きるのか瞬時に予想ができた。
わたしのクジャクさまが汚される!
わたしはとっさに奴らに飛びかかる衝動を抑え込み、トオルに被害がでないように頸動脈チョップで奴らを仕留めた。
トオルはそのお姿だけで、わたしの中の凶暴さを奥深くに沈めてくれた。
伊賀の血なのかなんなのか、わたしの中のそいつは、クジャクさまのおかげで心の中から見事に消え去ってくれた。
わたしはボディーガードとして、正当な行動を行えた自分にホッとしていた。変な動物オタクが殺人鬼になるのは、自分としても絶対に嫌なことだ。
わたしの顔は真っ赤だったかもしれない。
わたしの天使は、わたしの中の何か悪しき感情まで浄化してくれた。
ただ、トオルは長い髪をふわっと揺らして、わたしの顔を見つめて後ずさった。美しいお顔が少しとまどいを感じているように見える。
トオルのこの反応はなんだろう?
そう思っていたら、声をかけられた。
「やあ、姉ちゃん。久しぶり。」
わたしは懐かしい声にギョッとして振り向いた。
彼らが襲われるのを見るのは、耐えられなかった。
ミカナの前に暴漢が現れる前までは、わたしは最高の気分にひたっていた。ファーストクラスに生まれて初めて乗り、わたしは文字通り完全に舞い上がっていた。
隣にさとこタヌキが寝ている。毛布の下では完全にタヌキの姿であろう。
その隣にトオルが座っていて、クジャクのようなオーラを放ち、静かに寝入っていた。
そして、その隣には、ミケ猫が眠っているはずだ。わたしは彼らの呼吸音が聞こえるような気がして(タヌキの呼吸音は聞こえた)、幸せの絶頂にいた。
それが、突然、ミカナの所にガタイの良い男たちが現れた。16歳の彼女を脅し始めた。
わたしが薄い顔だからか、彼らはわたしが誰だか分からないようだった。
奴らは、動物の尊さなんて踏み躙るはずだ。人であるミカナの存在も踏み躙るのだから。
わたしの中で、ゆっくりと何かがもたげた。それはむかつき以上の、わたしも今まで存在を知り得なかった、わたしの中の凶暴さかもしれない。
わたしは初めて人を殺めようと思ってしまった。
わたしが自分の中の感覚に戸惑っているうちに、目を覚ましたトオルが天使のような雰囲気のまま、ツカツカと歩いてきて素早くガタイの良い男たちの間に体を入れようとした。
わたしは何が起きるのか瞬時に予想ができた。
わたしのクジャクさまが汚される!
わたしはとっさに奴らに飛びかかる衝動を抑え込み、トオルに被害がでないように頸動脈チョップで奴らを仕留めた。
トオルはそのお姿だけで、わたしの中の凶暴さを奥深くに沈めてくれた。
伊賀の血なのかなんなのか、わたしの中のそいつは、クジャクさまのおかげで心の中から見事に消え去ってくれた。
わたしはボディーガードとして、正当な行動を行えた自分にホッとしていた。変な動物オタクが殺人鬼になるのは、自分としても絶対に嫌なことだ。
わたしの顔は真っ赤だったかもしれない。
わたしの天使は、わたしの中の何か悪しき感情まで浄化してくれた。
ただ、トオルは長い髪をふわっと揺らして、わたしの顔を見つめて後ずさった。美しいお顔が少しとまどいを感じているように見える。
トオルのこの反応はなんだろう?
そう思っていたら、声をかけられた。
「やあ、姉ちゃん。久しぶり。」
わたしは懐かしい声にギョッとして振り向いた。
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