親が貧乏だから二番目だと言われて、フラれました。親が貧乏だからって何? 見返し案件、受けて立ち、やりきろうと思います!

西野歌夏

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3幕 運命の日

第41話 さよなら、私の青春

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 明日、いよいよ隕石が落ちるという日、私は偶然、私を振った男と再会した。

 海の近くのショッピングモールで、映画をみて、ホットヨガをしたあと、服を買おうとお店をのぞいていた時に、偶然再会したのだ。

 私は午前中は子供たちと遊び、実家に子供を預けたまま、人間界で久々に休暇を楽しんでいた。
 隕石が落ちる前日なので、チーム全員がその日はオフだった。命を賭けたオペレーションなので、思い残すことなく、前日はのんびり過ごすことになっていたのだ。

「あれ?」
「偶然ですね。」
「桜の花見の時以来だね。」
「そうですね。」

 私たちは、ショッピングモールの外の海が見えるベンチに二人で並んで座った。

「君がそばにいると、心が落ち着くんだ。それは、今も変わらないんだね。」
 私を振った男は、そう静かに言った。

 私は黙っていた。

 明日の一大オペの前に、こんな偶然ってあるだろうか?
 命を懸けたオペレーションの前日に、偶然この人と再会するということは、私に死亡フラグが立っているの?
 私は突然の偶然の再会に、そういう意味で動揺した。出来過ぎな気がした。

「僕は、選択を間違ったんだと思う。僕は間違えていた。」
 
 彼は、私が何年も言わせたかったフレーズを静かに言った。

「ばかね。」
 私はそう言った。

「一つは間違えていて、一つは間違えていなかったわ。」
「どういう意味?」

「私は二番目の女なんかじゃないわ。一番目の女よ。それはあなたは完全に間違えたわ。」

「あなたが間違えなかったのは、私と結婚しなかったことよ。それは正解だったのよ。」

 私は、あなたレベルの人とは、釣り合わないわ。私という魔人は、もっと高みに行ける人と結婚すべきだったのよ。
 私は、あなたからフラれて運気が向いてきて、頑張って出世したわ。

「一つだけ、教えてあげる。うちは、大富豪よ。貧乏なんかじゃなかったのよ。」

「え?」

 彼は、訝しげに私の顔を見上げた。

「さよなら。十年後には、また会いましょう。」

 私は、さらにパワーアップして、幸せになっているわ。
 私は、自分の中の最大限の颯爽さを装って、彼の元から歩き去った。

 振り返らなかった。さよなら、私の青春。

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