親が貧乏だから二番目だと言われて、フラれました。親が貧乏だからって何？ 見返し案件、受けて立ち、やりきろうと思います！

２幕 富士山大魔神を起こすのは、一体誰か？

第40話 牧場で覚悟を決める

　牧場の広大な土地の上を、気持ちの良い風が吹いていく。
　私は都の贅沢な大桜家の邸宅を朝早くに出て、弟の綺羅介に案内されて、大桜家所有の牧場と農場を視察に出ていた。

　朝靄の中、牧場の草ちを歩くのはとても気持ちが良かった。

「ミシシッピの豆もやしに分けてもらった、緑豆から醤油や味噌が作れるわね。納豆も。」

「防御力が上がる食品になるね、姉貴。」

「でしょう？大桜印をつけて、売ってみたいわ。」
　私は少しワクワクした気持ちで、そう言った。

「牧場の動物たちに、豆もやしを食べさせたら、どうなるかしら？」

「鷲に試しに食べさせて見るか？」
「そうね、防御力が上がって、魔人が乗っても空を飛べるぐらいの大きさにできるなら、空飛ぶ鷲は魅力的だわ。」

「それに、今度、馬にも乗って、この広い牧場を駆けてみたいわ。」
「よし、姉貴、無事に隕石を撃退できたら、乗ってみよう。」

　そうだ。無事に隕石の落下を防げたら、やりたいことが沢山あった。

　魔神の長を捕まえたあとは、経路を見ても、富士山大魔神が起こされてしまい、日本沈没するぐらいの騒ぎが起きる未来は見えなくなっていた。

　隕石以外の危機は回避されたのだ。
　
　経路で見ると、芝犬の化身のような姿の富士山大魔神は、可愛い寝顔を見せて、ひたすら寝ているのが見て取れた。

「何か、作物を育てて、売ってみたいし、牧場で自由に馬に乗ったりしてのんびり過ごしたいわ。」

「姉貴、できるよ。」
「そうね。散らかった部屋で、可愛い子供たちの寝顔を見て、のんびり過ごすことも幸せだし、都の大桜家の所領で、子供たちと一緒に作物を育てたり、乗馬したり、放牧する生活も幸せよね。」

「そうだ。そのためには、俺たちは最後の危機を回避しないとならない。」
「そうね。私たちの力を使う時だわね。」

　朝靄の中、広大な牧場を見ながら、私の覚悟は決まった。