親が貧乏だから二番目だと言われて、フラれました。親が貧乏だからって何? 見返し案件、受けて立ち、やりきろうと思います!

西野歌夏

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2幕 富士山大魔神を起こすのは、一体誰か?

第35話 豆もやし栽培

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 ドロ・ケンジはセーラ服を着た、おかっぱの可愛らしい女子中学生のように見える魔神だ。特技は雲になることでも、気体になることでもない。

 この可愛らしい魔神を捕まえるのは、造作もない。

 私と綺羅介は、プランBを発動させることにした。 
 
 空から、大桜家の領地をの一画を眺めた。
「予想以上に育ちがいいね。」
「そうね。さすがだわ。」

 ミシシッピの豆もやしのキャンプを訪問した際、金塊の大袋を渡して、緑豆を分けてもらっていた。

 つまり、防御力が上がるといミシシッピの豆もやしを特別に分けてもらい、密かにここ数日、都の大桜家の領地で豆から育てていた。

 百二十人もの、大桜家のお手伝い魔神が総動員されて、密かに急ピッチな豆もやしの栽培に成功していた。

「看板はバッチリだよ。」
「ありがとう。」

 冴衛門も合流して、綺羅介と私にそう言った。

 誘導作戦で、昨日から、都の賑やかな大通りのあちこちに、豆もやしを育てている畑を示す看板を打ち立てていた。

「ミシシッピの豆もやし」レベルに防御力の上がる豆もやしを、大桜家が格安で販売と謳った看板だ。

「大桜家のブランドの威力は絶大だから、魔神界隈で、この魅力的な噂に打ち勝てる輩はいない。姉貴、いい案だ。」
 大桜家の跡取りの弟、綺羅介は、そう断言した。

 支配者貧乏魔神とタクローと冴子は、さくらになって、都中の大通りを、「あの防御力が上がる豆もやしが販売されている!」と大騒ぎしながら歩いてもらっていた。

 あとは、残りの容疑者が、こちらの罠に飛び込んでくるのを待つだけだ。

 そうだ。私は気づいたのだ。8人の容疑者リストを回らせて、時間を無駄にさせられている可能性に私は気づいた。

 誰が、犯人か、分かった。

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