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1幕 フラれて出世階段を登り始める
第15話 さらわれるシャボン玉
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私は家に帰った。
長一日だった。満開の桜のお花見には、さすがに夫と子供たちは連れていかなかった。なぜなら、自分がフラれた相手を実家の支配者貧乏大魔神と引き合わせるのに、そこに夫と子供たちがいて良いわけがなかったからだ。
私の成り上がりの原動力を夫に知られるわけにはいかない。
「ただいまー。」
玄関の扉を開けると、玄関に何かのおもちゃの袋らしきものがそのまま置いてあった。
「さらわれる?シャボン玉?」
私はその袋に書かれているパッケージ文言を声に出して読んだ。
「さらわれるシャボン玉」なんて、妙な商品名だ。
「ね、子供たちは?」
私は家の中にいるはずの夫に声をかけた。
「3人ともシャンボン玉をしに公園に行ったよー。」
キッチンの方から、夫ののんびりした声がした。
私は胸騒ぎがした。商品名が変だ。
「何、このさらわれるシャボン玉って?」
「え?さわれるシャボン玉じゃないの?さっきそこのお店で買ってあげたけど。」
「いや、それとは違う。さらわれるって書いてあるけど?」
私はそう言うと、すぐさま外に飛び出し、家の前にある公園に向かってダッシュした。
公園に向かう階段を登り切ると、子供たちの悲鳴が遠くでした。
「ママー!ママー!助けてー」
私は空の方を見上げた。
ピンク色の薄い透明な膜に覆われた大きな円球の中に、子供たちが1人1人閉じ込められていた。合計3つの大きなシャボン玉が空中に浮かんで、どんどん空高く上がって行っているではないか。
「一体、どうしたのよ?」
「僕たち、さわれるって書いてあると思ったんだけど、さらわれるだったんだよー。」
一番上の子が泣きながら言った。
「ははは・・・・」
どこからか不気味な笑い声がした。
「ゆりこちゃんの子供たちは字が読めないようで、手間が省けたよっ。はははっ!」
「こら、姿を表せ!子供をさらうとは卑怯だぞ!」
私は大声で叫んだ。
そして、すぐに携帯で実家の弟に電話した。
「あんた、支配者貧乏大魔神は今すぐそばにいる?」
「いる。どうした姉貴?」
弟は私の声のトーンで、緊迫したものを感じたらしい。
「奴にすぐに代わって。」
弟はすぐに支配者貧乏大魔神に電話を代わった。
「はいはーい、どうしたの?由莉子ちゃん?」
奴はのんびりした声で電話に出た。
「あんた、出番よ。今すぐ出動よ!マテキの華取火鳥の命令よ。」
「うちの緊急事態よ。子供たちがどっかの大魔神にさらわれたわ。」
私は立て続けに一方的にそれだけを告げた。
「りょーかい!」
元気よく支配者貧乏大魔神はそう言うと、一瞬で私の目の前にワープして現れた。
「さらわれるシャボン玉よ!」
私は支配者貧乏大魔神に公園の木々の遥か高くに浮かんだピンク色のシャボン玉を指さした。中に子供たちが閉じ込められている。
支配者貧乏大魔神は両手を合わせるように、大きく1発手を叩いた。
「パン!」
大きな音がして、シャボン玉が割れた。
ボン!
紫色の揺れる浮かぶ絨毯のようなものが落下する子供たちの下に広がり、落下してくる子供たちをふわりと受け止た。私は悲鳴をあげるのを噛み殺して、成り行きを見守った。
「ママー!」
「怖かったー!」
「ありがとー、マジン!」
子供たちは半泣き状態だったが、無事に地上に降り立ち、私に抱きついてきた。
「いいかい?」
支配者貧乏大魔神はよく通る声で言った。
「大桜由莉子には、この私がついてんだよっ!下手なことしたら承知しないよ!」
「二度とこんなことするんでないっ!次は、あんたは地下に閉じ込められて数世紀地上に出て来れなくしてやるからなっ!」
支配者貧乏大魔神はそう言うと、また両掌をパン!と叩いた。
「ヒエっ!」
どこからか声がして、木から1匹のカエルが落ちてきた。
「さっさと消えな!」
支配者貧乏大魔神がそう言うと、カエルは弾けるようなパン!と音をたてて、姿を消した。
「ありがと。」
私はヨレヨレの掠れた声で支配者貧乏大魔神に言った。
「あんたねー、今日、なんか凄い能力みせつけたでしょう?」
支配者貧乏大魔神はそう私に言った。
「そうかも・・・」
私はうなだれた。
敵国の動きを事を起こされる前に、こんなにスピーディーに暴いたのは、確かに私の手柄だ。
「由莉子ちゃん、あんた、いい加減に私をあんな下世話な奴にくっつけるとか画策していないで、私がそばにいるメリットに感謝なさいっ!」
支配者貧乏大魔神はそう私に呆れたように言うと、子供たちに満面の笑みで言った。
「じいじのラーメン食べに行くか?もう大丈夫だぞ。」
「やったー!」
子供たちは半泣きだったのが、すっかり元気になり、歓声をあげた。
「しばらく、実家に子供たちを預けなさい。あんた、恨みを買ったわよ。子供たちは私が守っておくわ。」
「あ、ありがとう。」
私は人生で初めて、素直に、支配者貧乏大魔神に感謝した。
「それから、今日、あんたが花見に連れてきた男、あいつは相当な曲者よ。」
支配者貧乏大魔神は、子供たちを連れて消える前にそう私にささやいた。
曲者って?
私を二番目してフッた挙句に襲おうとした以上に、曲者だということ?
支配者貧乏大魔神が子供たちを連れてパッと消えてしまったので、真意は聞けなかった。
「おかあさん、しばらく子供たちそっちに預けるわ。よろしくおねがいね。」
子供たちを連れて支配者貧乏大魔神が行った後の実家に電話をかけて、母親にそうお願いした。
暗くなり始めた公園で、私は頭を降って集中しろと自分に言い聞かせた。
私をフッた相手の事を考えている時ではない。
子供たちを誘拐したやつ、断じて許さん。誘拐未遂に終わったが、断じて許さん。
絶対に私の手でそいつは成敗してやる。
例の2000万世帯を苦しめようとしている犯人につながっているはずだ。
まとめて成敗だ!
長一日だった。満開の桜のお花見には、さすがに夫と子供たちは連れていかなかった。なぜなら、自分がフラれた相手を実家の支配者貧乏大魔神と引き合わせるのに、そこに夫と子供たちがいて良いわけがなかったからだ。
私の成り上がりの原動力を夫に知られるわけにはいかない。
「ただいまー。」
玄関の扉を開けると、玄関に何かのおもちゃの袋らしきものがそのまま置いてあった。
「さらわれる?シャボン玉?」
私はその袋に書かれているパッケージ文言を声に出して読んだ。
「さらわれるシャボン玉」なんて、妙な商品名だ。
「ね、子供たちは?」
私は家の中にいるはずの夫に声をかけた。
「3人ともシャンボン玉をしに公園に行ったよー。」
キッチンの方から、夫ののんびりした声がした。
私は胸騒ぎがした。商品名が変だ。
「何、このさらわれるシャボン玉って?」
「え?さわれるシャボン玉じゃないの?さっきそこのお店で買ってあげたけど。」
「いや、それとは違う。さらわれるって書いてあるけど?」
私はそう言うと、すぐさま外に飛び出し、家の前にある公園に向かってダッシュした。
公園に向かう階段を登り切ると、子供たちの悲鳴が遠くでした。
「ママー!ママー!助けてー」
私は空の方を見上げた。
ピンク色の薄い透明な膜に覆われた大きな円球の中に、子供たちが1人1人閉じ込められていた。合計3つの大きなシャボン玉が空中に浮かんで、どんどん空高く上がって行っているではないか。
「一体、どうしたのよ?」
「僕たち、さわれるって書いてあると思ったんだけど、さらわれるだったんだよー。」
一番上の子が泣きながら言った。
「ははは・・・・」
どこからか不気味な笑い声がした。
「ゆりこちゃんの子供たちは字が読めないようで、手間が省けたよっ。はははっ!」
「こら、姿を表せ!子供をさらうとは卑怯だぞ!」
私は大声で叫んだ。
そして、すぐに携帯で実家の弟に電話した。
「あんた、支配者貧乏大魔神は今すぐそばにいる?」
「いる。どうした姉貴?」
弟は私の声のトーンで、緊迫したものを感じたらしい。
「奴にすぐに代わって。」
弟はすぐに支配者貧乏大魔神に電話を代わった。
「はいはーい、どうしたの?由莉子ちゃん?」
奴はのんびりした声で電話に出た。
「あんた、出番よ。今すぐ出動よ!マテキの華取火鳥の命令よ。」
「うちの緊急事態よ。子供たちがどっかの大魔神にさらわれたわ。」
私は立て続けに一方的にそれだけを告げた。
「りょーかい!」
元気よく支配者貧乏大魔神はそう言うと、一瞬で私の目の前にワープして現れた。
「さらわれるシャボン玉よ!」
私は支配者貧乏大魔神に公園の木々の遥か高くに浮かんだピンク色のシャボン玉を指さした。中に子供たちが閉じ込められている。
支配者貧乏大魔神は両手を合わせるように、大きく1発手を叩いた。
「パン!」
大きな音がして、シャボン玉が割れた。
ボン!
紫色の揺れる浮かぶ絨毯のようなものが落下する子供たちの下に広がり、落下してくる子供たちをふわりと受け止た。私は悲鳴をあげるのを噛み殺して、成り行きを見守った。
「ママー!」
「怖かったー!」
「ありがとー、マジン!」
子供たちは半泣き状態だったが、無事に地上に降り立ち、私に抱きついてきた。
「いいかい?」
支配者貧乏大魔神はよく通る声で言った。
「大桜由莉子には、この私がついてんだよっ!下手なことしたら承知しないよ!」
「二度とこんなことするんでないっ!次は、あんたは地下に閉じ込められて数世紀地上に出て来れなくしてやるからなっ!」
支配者貧乏大魔神はそう言うと、また両掌をパン!と叩いた。
「ヒエっ!」
どこからか声がして、木から1匹のカエルが落ちてきた。
「さっさと消えな!」
支配者貧乏大魔神がそう言うと、カエルは弾けるようなパン!と音をたてて、姿を消した。
「ありがと。」
私はヨレヨレの掠れた声で支配者貧乏大魔神に言った。
「あんたねー、今日、なんか凄い能力みせつけたでしょう?」
支配者貧乏大魔神はそう私に言った。
「そうかも・・・」
私はうなだれた。
敵国の動きを事を起こされる前に、こんなにスピーディーに暴いたのは、確かに私の手柄だ。
「由莉子ちゃん、あんた、いい加減に私をあんな下世話な奴にくっつけるとか画策していないで、私がそばにいるメリットに感謝なさいっ!」
支配者貧乏大魔神はそう私に呆れたように言うと、子供たちに満面の笑みで言った。
「じいじのラーメン食べに行くか?もう大丈夫だぞ。」
「やったー!」
子供たちは半泣きだったのが、すっかり元気になり、歓声をあげた。
「しばらく、実家に子供たちを預けなさい。あんた、恨みを買ったわよ。子供たちは私が守っておくわ。」
「あ、ありがとう。」
私は人生で初めて、素直に、支配者貧乏大魔神に感謝した。
「それから、今日、あんたが花見に連れてきた男、あいつは相当な曲者よ。」
支配者貧乏大魔神は、子供たちを連れて消える前にそう私にささやいた。
曲者って?
私を二番目してフッた挙句に襲おうとした以上に、曲者だということ?
支配者貧乏大魔神が子供たちを連れてパッと消えてしまったので、真意は聞けなかった。
「おかあさん、しばらく子供たちそっちに預けるわ。よろしくおねがいね。」
子供たちを連れて支配者貧乏大魔神が行った後の実家に電話をかけて、母親にそうお願いした。
暗くなり始めた公園で、私は頭を降って集中しろと自分に言い聞かせた。
私をフッた相手の事を考えている時ではない。
子供たちを誘拐したやつ、断じて許さん。誘拐未遂に終わったが、断じて許さん。
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