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第二章 二度目の人生 リベンジスタート
国王陛下にご挨拶(2)
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◆◆◆
「陛下、例の聖女候補でございます」
「名を申しなさい」
「国王陛下、ヴァイオレット・ジョージアナ・エリザベス・バルドンでございます」
「ジーニン、彼女の力を確認しなさい」
魔導師ジーニンが国王陛下に言われて壁際から前に進み出た。私の目の前にきて、じっと私を見つめた。国王陛下の顔を見て震え上がっていた私は魔導師ジーニンの顔を見てようやく人心地がついた。大丈夫だ。
きっと大丈夫だ。今度はうまくやり遂げられる。
私は心の中で「ステータスオープン」と唱えた。
魔導師ジーニンはハッとした表情になり、私の頭上を呆然と見つめた。
「これはこれは……」
「どうした、ジーニン」
黙り込んだジーニンに、国王陛下が促した。
「こんなレベルの高い力は見たことがございませぬ。それにヴァイオレット公爵令嬢様はご自身の力を操る技術を既に高いレベルで身につけてらっしゃるようです」
周りの人々がざわめいた。
「まだ16歳だったな?」
「はい、さようでございます。陛下、一つご提案がございます。こちらに地図をお持ちになっていただけますでしょうか。この国を豊かにするためのご提案がございます」
私の言葉ですぐさま国王陛下の領土の地図が運び込まれた。
「まず、ハンドッヒ山ですが、ダイヤモンド鉱山です。採掘すればダイヤモンドが採れます。それからメーナルンド山からは銀が採掘できます……全体的に三圃式の農業を推し進めるべきですが、こちらの土地は乳牛を飼育する酪農に適しています。……それから交易を盛んにするために、商社を支援すべきです。例えば、今でいうならボルディ商社。今は小さいですが、必ずしや国益につながる交易を成し遂げるでしょう」
私は2年後の聖女の私が実現した未来を知っている。たった2年とはいえ、ヒューと一緒に国を豊かにするために事業を推し進めたのは事実だ。
ヒューがパートナーとなる前に、国王と私が組んだら、私が死に至る未来を変えられるのか。
国王は宰相に記録するように合図をしており、私が話し続ける間、一言も誰も発しなかった。謁見の広間は静まり返り、国王は食い入るように私の話と地図を交互に見ていた。
国王自身も紙とペンをもらって走り書きをしていたぐらいだ。
「よし、明日は早速ハンドッヒ山に採掘のための人を遣わそう。他のこともよく分かった」
私は国王陛下が満足気に微笑んだ瞬間を見逃さなかった。
「陛下、お願いがございます。私一人の力でこの国に貢献するのは限界がございます。今の聖女候補の皆様も皆、聖女としていただけましたら、この国の発展により貢献できると思うのです」
国王はびっくりした表情をした。あの私を処刑した時とは大違いの表情だ。
「よう、分かった。そのようにいたそう」
私を死に至らす処罰を言い渡した国王陛下は、あの時とは違う表情で私を優しく見つめた。
こうして国王陛下との謁見は終わった。
やり直しは、前回とは少し違う方向で進んでいるのは間違いない。
次はヒューに会うのだ。私が処刑される未来を知らないヒューに会う。私の心はドキドキしていた。
「陛下、例の聖女候補でございます」
「名を申しなさい」
「国王陛下、ヴァイオレット・ジョージアナ・エリザベス・バルドンでございます」
「ジーニン、彼女の力を確認しなさい」
魔導師ジーニンが国王陛下に言われて壁際から前に進み出た。私の目の前にきて、じっと私を見つめた。国王陛下の顔を見て震え上がっていた私は魔導師ジーニンの顔を見てようやく人心地がついた。大丈夫だ。
きっと大丈夫だ。今度はうまくやり遂げられる。
私は心の中で「ステータスオープン」と唱えた。
魔導師ジーニンはハッとした表情になり、私の頭上を呆然と見つめた。
「これはこれは……」
「どうした、ジーニン」
黙り込んだジーニンに、国王陛下が促した。
「こんなレベルの高い力は見たことがございませぬ。それにヴァイオレット公爵令嬢様はご自身の力を操る技術を既に高いレベルで身につけてらっしゃるようです」
周りの人々がざわめいた。
「まだ16歳だったな?」
「はい、さようでございます。陛下、一つご提案がございます。こちらに地図をお持ちになっていただけますでしょうか。この国を豊かにするためのご提案がございます」
私の言葉ですぐさま国王陛下の領土の地図が運び込まれた。
「まず、ハンドッヒ山ですが、ダイヤモンド鉱山です。採掘すればダイヤモンドが採れます。それからメーナルンド山からは銀が採掘できます……全体的に三圃式の農業を推し進めるべきですが、こちらの土地は乳牛を飼育する酪農に適しています。……それから交易を盛んにするために、商社を支援すべきです。例えば、今でいうならボルディ商社。今は小さいですが、必ずしや国益につながる交易を成し遂げるでしょう」
私は2年後の聖女の私が実現した未来を知っている。たった2年とはいえ、ヒューと一緒に国を豊かにするために事業を推し進めたのは事実だ。
ヒューがパートナーとなる前に、国王と私が組んだら、私が死に至る未来を変えられるのか。
国王は宰相に記録するように合図をしており、私が話し続ける間、一言も誰も発しなかった。謁見の広間は静まり返り、国王は食い入るように私の話と地図を交互に見ていた。
国王自身も紙とペンをもらって走り書きをしていたぐらいだ。
「よし、明日は早速ハンドッヒ山に採掘のための人を遣わそう。他のこともよく分かった」
私は国王陛下が満足気に微笑んだ瞬間を見逃さなかった。
「陛下、お願いがございます。私一人の力でこの国に貢献するのは限界がございます。今の聖女候補の皆様も皆、聖女としていただけましたら、この国の発展により貢献できると思うのです」
国王はびっくりした表情をした。あの私を処刑した時とは大違いの表情だ。
「よう、分かった。そのようにいたそう」
私を死に至らす処罰を言い渡した国王陛下は、あの時とは違う表情で私を優しく見つめた。
こうして国王陛下との謁見は終わった。
やり直しは、前回とは少し違う方向で進んでいるのは間違いない。
次はヒューに会うのだ。私が処刑される未来を知らないヒューに会う。私の心はドキドキしていた。
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