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第二章 二度目の人生 リベンジスタート
ラスボスとは ヴァイオレットSide(1)
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ドレスのポケットの中にはスマホがある。ピカピカの銀とニッケルからできた50円玉もある。珍しく綺麗だったから持っていた。そのまま持ってきたようだ。
サミュエルの馬車から降りるとき、レキュール辺境伯エリオットが手を貸してくれた。私はジョセフの顔とエリオットの顔をスマホのカメラで撮った。
「ジョセフ、起きて」
気を失っていたジョセフを起こして、彼が持ってきた荷物に目をやった。
「コーヒーと、チョコレートだ。ベスからの差し入れだよ」
エリオットがそっとささやいた。純斗がジョセフの中に入って目覚めた時、1年前と大きくバリドン公爵邸の邸が変わっていることに気づいたという。私も同感だったが、頼んでいたボルディ商社が確実にコーヒー豆とカカオと砂糖を仕入れ、私が渡したレシピでチョコレートを作って各地に出店していたことには感動した。ナツメグの収穫が豊富な島も手に入れていた。
そのせいでバリドン公爵家もヒュー王子も危険な目に遭っているのではなければ良いが。ナツメグはペストを避けるとしてこの時代は大変貴重とされたものだ。ナツメグの香りをノミが嫌う。ノミを介してペスト菌は広がった。だから全く根拠の無いものでもない。
侍女のアデルの様子も1年前からすると変わっていた。恋をしているようで、どことなくウキウキとしてさらに美しくなっていた。
今か今かと聖女の私の到着を待ちわびていたらしいモートン伯爵家では、転がるように飛び出してきたモートン伯爵邸の従者と伯爵に大歓迎された。すぐに厩で馬を借りた。そして従者の案内に従ってレキュール辺境伯と一緒に馬で駆けた。
ただ、モートン伯爵はレキュール辺境伯が一緒に着いてきたことに、少し驚いた表情を浮かべていた。私はそのことを深く気に留めていなかったが、若くて魅力溢れる大人気のエリオットと私が接近しすぎる事に周りの者たちがハラハラしていたことは後で分かった。
ヒュー王子は森で狩猟中に落馬して、近くの山小屋に運ばれたという。この出来事だけは前回の人生でもあった。私とヒューが大接近した夜だった。
前には気づかなかったが、モートン伯爵領地にはポップの広大な畑が広がっていた。
――ビールの原料のポップだわ。
私は爽快な風に髪を靡かせて馬を走らせながら、私は辺りを注意深く眺めた。
並んで一緒に馬を駆けさせているエリオットに尋ねた。
「ビール法の制定は確かまだよね?」
「ビール純粋法のこと?ビールは、麦芽、ポップ、水、酵母からのみ作られるべしという法律だよね。ヒュー王子はワインと同じくらいビールが好きだった。前回の君の死後、確か彼はその法律を定めようとして猛反発をくらっていたような記憶がある」
馬で畑の間の道を疾走しながら、私と純斗は素早く会話をした。大きな声で話しているが、従者は少し前を走っているから心配ないだろう。
「少し私が状況を変えたから、今回の人生では早まっているかもしれないわ。チョコレートの普及もコーヒーの普及も早まっている。紅茶も仕入れるようにボルディ社に伝えていたから、それも広がりが早まっているわ。砂糖やレモンを入れる方法をベスに教えていたのよ。今朝、ルイーズは砂糖を入れた紅茶を飲んでいたわ」
「そうだね。君のおかげで、この1年で我が国は海上交易でも首位に食い込むほど名を挙げて来ているようだ。執事のハリーが嬉しそうに今朝語っていた。バリドン公爵家は率先してボルディ商社を使って交易をしているようだね。ハリーに書類整理作業を手伝うようにお願いされたところで、モートン伯爵家から緊急呼び出しが来たんだよ」
私たちは素早く置かれた状況を把握しようとした。さっきの甘いキスは一旦心のどこかにしまおう。私はヒュー王子とまだ婚約しているのだから。
「ヒュー王子を狙ったのは、ビール法に反対する者か、ナツメグの島の覇権を狙う者か、銀山や錫が取れるコーン地方を狙う者ということかしら?」
「その全部かもしれないけどね」
胸に寂しい郷愁のような思いが沸いた。ヒューが王子として狙われたことは前もあったが、あの時は単なる落馬だったような気がする。やはり、モートン伯爵邸で落馬したのだが。
――でも、魔導師ジーニンの治癒力が対抗できない事例はあったかしら?
「ところで、あなたを狙ったのは何者かしら?」
「君も思っているだろうが、隣国の政権争いだよ。俺はラントナス家の王位継承者になる可能性があるレキュール辺境伯だから。俺エリオット・アクレサンデル・レキュールは母方の血統により、ラントナス朝の最後の王位継承者になってしまうんだ」
エリオットのブロンドが太陽の光を受けて輝くように見える。
「隣国のカール・ハンリヒ大帝亡くなり、彼の弟のルノー・ガクセン・ハンリヒが亡くなった場合、俺はハープスブートの王になってしまうんだ。ハープスブートの未来の王に君が近づきすぎると周りはやきもきしていた。僕は誰が見ても君に恋をしているのが丸わかりだったのから。気づかなかった?ヴァイオレット?」
私はイタズラっぽく微笑む彼の眩しい笑顔を茫然と見つめた。
「ほら、カール大帝には世継ぎが生まれない。そして病に不治の病に侵されているという噂があるよね。次のハープスブートの王座に着くのは俺かルノーのどちらかになる」
私はモートン伯爵領のホップの畑の間で馬を駆けさせるのを思わずやめた。レキュール辺境伯エリオットの若々しい爽やかな姿が私の少し前で止まった。エリオットが私を振り返った。くしゃくしゃのブロンドの髪が太陽の光を浴びて輝く。早春からの種まきを終えた畑から、緑の芽が伸びてきていて、広大なポップ畑は発芽で胸躍りそうな躍動感に溢れていた。
同じケースで王朝を立てたケースは誰か。
私は一瞬、歴史を紐解いた。この世界は私が知っている世界の歴史を忠実に辿っていて、少し違うだけだ。
世界はパラレルに動いていて、この世界の延長線上には私が住む世界にすごく似た世界が待ち受けているのだと確信が持てる。地図上の地形もかなり似ていた。航海法の策定がされそうな時代に見える。
「ピーター?いえ、違う。エリザベスの祖父で実例で成功した例あるわ」
私は思わず独り言を言った。ならば。
ポップの畑の上を一陣の風が吹き抜けた。私は輝くブロンドの髪の毛を風に靡かせて、急ごうと私に手招きをしているレキュール辺境伯の姿をじっと見つめた。
『……バリアを適用しますか』
耳の奥でかすかな声がした。私は今、ここで変えようとしている自覚がある。
「します」
私の声を受けてブロンドの髪が靡くほんの数センチ先から彼の足元まで薄い紫色のバリアの膜が現れたのを見つめた。
――私が今したことは、彼をカール大帝の後に隣国の大国の王に据えることだわ。
――だから、ヴァイオレットは殺されたの?
――だから、ヒューは私がレキュール辺境伯と一夜を共にしたという噂に激怒したの?怒りで我を忘れて婚約破棄をしたの?私が殺される必要があったのは、私が王を変える可能性を知っている人が大勢いて、私がそれに気づいていなかったから?
確か、エリオットは私に説明した。ルノーは私を欲しがったと。妻か愛人に欲しがっていたと。だからマルグリッドが私を死に至らせたことに激怒したと。私がルノーにつけば、ルノーが死なずにカール大帝の死後、王になるのはルノーになる可能性が高まる。
私の恋は、前回も今回も政権を左右するものになっている危険なものになっている。
そして前回、皆が恐れた通りのことを私はしている。耳の奥がドクドクと音を立て始めた。考えが真実に迫りつつあることが自分でも分かった。
皆が恐れた通りに、私はハンサムな若き王位継承者に心惹かれて恋をした。この国のヒュー王子に惹かれていたはずだったのに。隣国の最後の王位継承者になり得る、若きハンサムな誰もが羨む男性に恋をした。
貧乏な生活に喘いで来た私からすれば、公爵令嬢で聖女のヴァイオレットは恵まれ過ぎだ。ヒュー王子から乗り換えて若くて爽やかな王位継承者に心を奪われるなんて。私はそれに見合うだけの力を発揮しなければならない。
サミュエルの馬車から降りるとき、レキュール辺境伯エリオットが手を貸してくれた。私はジョセフの顔とエリオットの顔をスマホのカメラで撮った。
「ジョセフ、起きて」
気を失っていたジョセフを起こして、彼が持ってきた荷物に目をやった。
「コーヒーと、チョコレートだ。ベスからの差し入れだよ」
エリオットがそっとささやいた。純斗がジョセフの中に入って目覚めた時、1年前と大きくバリドン公爵邸の邸が変わっていることに気づいたという。私も同感だったが、頼んでいたボルディ商社が確実にコーヒー豆とカカオと砂糖を仕入れ、私が渡したレシピでチョコレートを作って各地に出店していたことには感動した。ナツメグの収穫が豊富な島も手に入れていた。
そのせいでバリドン公爵家もヒュー王子も危険な目に遭っているのではなければ良いが。ナツメグはペストを避けるとしてこの時代は大変貴重とされたものだ。ナツメグの香りをノミが嫌う。ノミを介してペスト菌は広がった。だから全く根拠の無いものでもない。
侍女のアデルの様子も1年前からすると変わっていた。恋をしているようで、どことなくウキウキとしてさらに美しくなっていた。
今か今かと聖女の私の到着を待ちわびていたらしいモートン伯爵家では、転がるように飛び出してきたモートン伯爵邸の従者と伯爵に大歓迎された。すぐに厩で馬を借りた。そして従者の案内に従ってレキュール辺境伯と一緒に馬で駆けた。
ただ、モートン伯爵はレキュール辺境伯が一緒に着いてきたことに、少し驚いた表情を浮かべていた。私はそのことを深く気に留めていなかったが、若くて魅力溢れる大人気のエリオットと私が接近しすぎる事に周りの者たちがハラハラしていたことは後で分かった。
ヒュー王子は森で狩猟中に落馬して、近くの山小屋に運ばれたという。この出来事だけは前回の人生でもあった。私とヒューが大接近した夜だった。
前には気づかなかったが、モートン伯爵領地にはポップの広大な畑が広がっていた。
――ビールの原料のポップだわ。
私は爽快な風に髪を靡かせて馬を走らせながら、私は辺りを注意深く眺めた。
並んで一緒に馬を駆けさせているエリオットに尋ねた。
「ビール法の制定は確かまだよね?」
「ビール純粋法のこと?ビールは、麦芽、ポップ、水、酵母からのみ作られるべしという法律だよね。ヒュー王子はワインと同じくらいビールが好きだった。前回の君の死後、確か彼はその法律を定めようとして猛反発をくらっていたような記憶がある」
馬で畑の間の道を疾走しながら、私と純斗は素早く会話をした。大きな声で話しているが、従者は少し前を走っているから心配ないだろう。
「少し私が状況を変えたから、今回の人生では早まっているかもしれないわ。チョコレートの普及もコーヒーの普及も早まっている。紅茶も仕入れるようにボルディ社に伝えていたから、それも広がりが早まっているわ。砂糖やレモンを入れる方法をベスに教えていたのよ。今朝、ルイーズは砂糖を入れた紅茶を飲んでいたわ」
「そうだね。君のおかげで、この1年で我が国は海上交易でも首位に食い込むほど名を挙げて来ているようだ。執事のハリーが嬉しそうに今朝語っていた。バリドン公爵家は率先してボルディ商社を使って交易をしているようだね。ハリーに書類整理作業を手伝うようにお願いされたところで、モートン伯爵家から緊急呼び出しが来たんだよ」
私たちは素早く置かれた状況を把握しようとした。さっきの甘いキスは一旦心のどこかにしまおう。私はヒュー王子とまだ婚約しているのだから。
「ヒュー王子を狙ったのは、ビール法に反対する者か、ナツメグの島の覇権を狙う者か、銀山や錫が取れるコーン地方を狙う者ということかしら?」
「その全部かもしれないけどね」
胸に寂しい郷愁のような思いが沸いた。ヒューが王子として狙われたことは前もあったが、あの時は単なる落馬だったような気がする。やはり、モートン伯爵邸で落馬したのだが。
――でも、魔導師ジーニンの治癒力が対抗できない事例はあったかしら?
「ところで、あなたを狙ったのは何者かしら?」
「君も思っているだろうが、隣国の政権争いだよ。俺はラントナス家の王位継承者になる可能性があるレキュール辺境伯だから。俺エリオット・アクレサンデル・レキュールは母方の血統により、ラントナス朝の最後の王位継承者になってしまうんだ」
エリオットのブロンドが太陽の光を受けて輝くように見える。
「隣国のカール・ハンリヒ大帝亡くなり、彼の弟のルノー・ガクセン・ハンリヒが亡くなった場合、俺はハープスブートの王になってしまうんだ。ハープスブートの未来の王に君が近づきすぎると周りはやきもきしていた。僕は誰が見ても君に恋をしているのが丸わかりだったのから。気づかなかった?ヴァイオレット?」
私はイタズラっぽく微笑む彼の眩しい笑顔を茫然と見つめた。
「ほら、カール大帝には世継ぎが生まれない。そして病に不治の病に侵されているという噂があるよね。次のハープスブートの王座に着くのは俺かルノーのどちらかになる」
私はモートン伯爵領のホップの畑の間で馬を駆けさせるのを思わずやめた。レキュール辺境伯エリオットの若々しい爽やかな姿が私の少し前で止まった。エリオットが私を振り返った。くしゃくしゃのブロンドの髪が太陽の光を浴びて輝く。早春からの種まきを終えた畑から、緑の芽が伸びてきていて、広大なポップ畑は発芽で胸躍りそうな躍動感に溢れていた。
同じケースで王朝を立てたケースは誰か。
私は一瞬、歴史を紐解いた。この世界は私が知っている世界の歴史を忠実に辿っていて、少し違うだけだ。
世界はパラレルに動いていて、この世界の延長線上には私が住む世界にすごく似た世界が待ち受けているのだと確信が持てる。地図上の地形もかなり似ていた。航海法の策定がされそうな時代に見える。
「ピーター?いえ、違う。エリザベスの祖父で実例で成功した例あるわ」
私は思わず独り言を言った。ならば。
ポップの畑の上を一陣の風が吹き抜けた。私は輝くブロンドの髪の毛を風に靡かせて、急ごうと私に手招きをしているレキュール辺境伯の姿をじっと見つめた。
『……バリアを適用しますか』
耳の奥でかすかな声がした。私は今、ここで変えようとしている自覚がある。
「します」
私の声を受けてブロンドの髪が靡くほんの数センチ先から彼の足元まで薄い紫色のバリアの膜が現れたのを見つめた。
――私が今したことは、彼をカール大帝の後に隣国の大国の王に据えることだわ。
――だから、ヴァイオレットは殺されたの?
――だから、ヒューは私がレキュール辺境伯と一夜を共にしたという噂に激怒したの?怒りで我を忘れて婚約破棄をしたの?私が殺される必要があったのは、私が王を変える可能性を知っている人が大勢いて、私がそれに気づいていなかったから?
確か、エリオットは私に説明した。ルノーは私を欲しがったと。妻か愛人に欲しがっていたと。だからマルグリッドが私を死に至らせたことに激怒したと。私がルノーにつけば、ルノーが死なずにカール大帝の死後、王になるのはルノーになる可能性が高まる。
私の恋は、前回も今回も政権を左右するものになっている危険なものになっている。
そして前回、皆が恐れた通りのことを私はしている。耳の奥がドクドクと音を立て始めた。考えが真実に迫りつつあることが自分でも分かった。
皆が恐れた通りに、私はハンサムな若き王位継承者に心惹かれて恋をした。この国のヒュー王子に惹かれていたはずだったのに。隣国の最後の王位継承者になり得る、若きハンサムな誰もが羨む男性に恋をした。
貧乏な生活に喘いで来た私からすれば、公爵令嬢で聖女のヴァイオレットは恵まれ過ぎだ。ヒュー王子から乗り換えて若くて爽やかな王位継承者に心を奪われるなんて。私はそれに見合うだけの力を発揮しなければならない。
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