幸せのおはなし

高みき

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 人間には皆それぞれ、守護天使がついている。
 生まれたときからその主を見守り、幸福へと導く、守護天使が。

 身体に走る衝撃。意識が遠のいていく。私はもうすぐ死ぬんだろうな。
 大丈夫だよサクラ。そんな顔しないで。私は大丈夫だから。私はあなたを守るために生まれて来たんだから。

 人間には皆それぞれ、守護天使がついている。
 生まれたときからその主を見守り、幸福へと導く、守護天使が。
 私はあなたの守護天使だよ。

 恋に堕ちた天使は、もう天界には、いられない。
 下界に堕ちたって結ばれないのなら、天界から眺め続けていた方が幸せだった?そんな問いさえ、無駄なものに思えて。

 運命は残酷だって、誰かはそう言うかもしれない、だけど。

 それでも私は幸せでした。
 サクラの守護天使として生まれたこと。彼に恋をしたこと。直接彼に会えたこと。お話できたこと。夢みたいなひとときを味わえたこと。
 そして、下界に堕ちてなお、サクラを守るという役割を果たせたこと。
 サクラの幸せを、守れたこと。
 そして、彼の幸せも。私は一緒に守ることができた。二人の幸せを、守ることができた。
 こんな幸せなことってないでしょう?

「大好きです、この世界」

そうつぶやいて、目を閉じた。

大好きです、この世界。
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みんなの感想(1件)

関谷俊博
2016.08.07 関谷俊博

切ないお話です。涙なしには読めません。

解除

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