魔王の子育て日記

教祖

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人間界へ

パインのおっぱ、げふんげふん! その3

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 「ところで魔王様。これからどうなさるおつもりですか?」
 「どうって?」
 
 「この子を親元に返すんですか? それとも、魔王様がこの子の親代わりとして育てますか?」

 「「「魔王様が!?」」」
 パインの言葉に再び医務室が揺れた。
 
 「あ、うあーん! うあーん!」
 
 「やっべ! おい! 起こすなっつっただろ!」
 二度目はなかったらしく、赤子は自身の仕事を全うした。
 「いや今のはパイン殿が・・・・・・」
 「勝手に驚いたのはあなたたちでしょう。ひとまず泣き止ませなければ」
 
 「あの、私歳の離れた弟がいたので、お役に立てると思います」
 
 名乗りを上げたのは、5人いるメイドのうちポニーテールに垂れ目がちなヴィエル=ゴエラ。21歳の中堅メイドである。
 「では、お願いします」
 「わかりました。パインさん、失礼します」
 パインと場所を入れ替わるように魔王の正面にやってくると、ヴィエルは慣れた手つきで赤子を抱き上げあやし始めた。
 「あれ、おっかしいな? ごめんね」
 しばらくの間腕の中で赤子を揺すっていたが、ベッドに戻し、体を包んでいた布を取り去った。
 「やっぱり……」
 「やっぱりって……なるほど」
 赤ちゃんは、見事に排泄をしていた。
 「オムツは、ひとまずいらない布を代用するとして、後の問題は・・・・・・ミルクですね」
 「それは、代用品とかねーの?」
 「それっぽいものはあるんですけど、やっぱり色んな栄養とかの面だと、ミルクが一番なんですよね」
 「ミルクねえ」
 魔王は周りを見渡した。
 後ろに控える兵士と爺を除外して、残るは4人。
 だが4人とも出産はおろか、結婚経験もない。そんな者達には見込みはない。が、
 「パイン! 頑張れ!」
 真っ直ぐに並ぶ六人の、魔王から見て一番左に立つパインに魔王はエールを送る。
 「頑張っても出ません。さらに言わせていただきますと、こんな戯言ざれごとを軽々しく言ってしまう魔王様には粛清が必要なようですね」
 クールを超え氷河期に突入したパインは指の節を鳴らして、怒りを露わにした。
 「あっ、分かりました!」
 いつの間にか止血用に使われる布を器用に折りたたみ、オムツとして着けさせたヴィエルは、赤子をベットに戻し自信満々の様子で声を上げた。
 「どうすんだ?」
 魔王の問いにヴィエルはハキハキと答えた――――
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