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魔王とパイン
人間界に憧れる魔王 その2
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初代魔王から代々受け継がれてきた玉座の上で土下座をするこの男こそ、その名の通りこの魔界を統治する魔族の王である。
全身を前魔王ーー父親から魔王就任式の際に託された漆黒のマントで包んでいるが、メイドに頭を下げる姿は、とてもそうは見えない。
わずかに紫がかった黒髪に、まだ少し幼さが残る顔。そこにある二つの双眸にはライトパープルの光が宿り、つり目がちな目も合いまって、歳よりも少々幼い印象を受ける。
しかし、頭上に鎮座する圧倒的禍々しさを放つ一対の角が確かに彼が魔王であることを主張している。
魔族の証である角は体内に存在するエネルギー、魔力の量や質によって大きさや形が異なる。
魔王のそれは太く、肘から指先の長さにも及ぶ巨大なものだ。並の魔族では到底かなわない。
「でもなんでそんなこと言われんだろうな?」
いつの間にか、身を乗り出す格好に戻った魔王は、心底不思議そうに言った。
「そんなの決まっているでしょう。我々が異なる存在だからです」
「何が違うんだよ? 同じ言葉を話すし、二足歩行だってするし」
「頭には角があって、種類によっては目が一つだったり、足が三本だったり無かったりするのに同じだとは言いませんよ」
パインはまたこめかみを抑えて首を振った。
「そんなの個性だろうに」
魔王は納得いかないようだ。
「人間なんて、所詮何者も見た目でしか判断できず、己の欲のためだけにしか動くことのできない哀れな生き物なのですから、わざわざ接触する必要はないでしょう」
「それは違う!」
「っ!」
突然魔王の声量が増えパインは身体を震わせた。
いつの間にか、魔王の顔には怒りの表情が浮かんでいる。
全身を前魔王ーー父親から魔王就任式の際に託された漆黒のマントで包んでいるが、メイドに頭を下げる姿は、とてもそうは見えない。
わずかに紫がかった黒髪に、まだ少し幼さが残る顔。そこにある二つの双眸にはライトパープルの光が宿り、つり目がちな目も合いまって、歳よりも少々幼い印象を受ける。
しかし、頭上に鎮座する圧倒的禍々しさを放つ一対の角が確かに彼が魔王であることを主張している。
魔族の証である角は体内に存在するエネルギー、魔力の量や質によって大きさや形が異なる。
魔王のそれは太く、肘から指先の長さにも及ぶ巨大なものだ。並の魔族では到底かなわない。
「でもなんでそんなこと言われんだろうな?」
いつの間にか、身を乗り出す格好に戻った魔王は、心底不思議そうに言った。
「そんなの決まっているでしょう。我々が異なる存在だからです」
「何が違うんだよ? 同じ言葉を話すし、二足歩行だってするし」
「頭には角があって、種類によっては目が一つだったり、足が三本だったり無かったりするのに同じだとは言いませんよ」
パインはまたこめかみを抑えて首を振った。
「そんなの個性だろうに」
魔王は納得いかないようだ。
「人間なんて、所詮何者も見た目でしか判断できず、己の欲のためだけにしか動くことのできない哀れな生き物なのですから、わざわざ接触する必要はないでしょう」
「それは違う!」
「っ!」
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