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波乱
来訪者への極意~魔王監修~ その5
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「‘@**%##$$&」
その声音は男のようだったが、初めて聞く言葉と発音にそれが言語であることを理解するのに一息の時間を要した。
「かんげい、する」
鎧男の後を追うように、朱雀たちを先導してきた女中が口を開いた。通訳をするようだ。
「赤子はどこだ。ここにいたことは知っている」
「こども、ぶじ。あんしん、しろ」
「赤子の顔を見せろ。そして我々に引き渡せ。話はそれからだ」
「そのまえ、はなし、きく、しろ。じぶん、たち、こども、さらう、してない」
「世迷言を! この異界に我々の世界の赤子がいることが何よりの証拠だ」
「とつぜん、しろ、まえ、こども、いた。だから、あずかる、した」
「そんな言葉を信じるか! 早く子供を渡せ!」
女中を仲介して言葉を交わす。朱雀は鎧男の絵空事に耳を貸す気はない。
鎧男はその姿を見かねたのか、横に並ぶ女中たちに声を掛けた。
名前を呼ばれたのであろう赤みがかった髪を一纏めに結び後ろに流した女中が、後ろへ反転するとそのまま背後の壁に向かって歩き出した。そのまま壁に向かうと、溶けるように女中の身体は壁に吸い込まれていった。
静寂が包む。面の中に己の呼吸音が反響する。それが鼓動を速め、やがては心音さえも鼓膜を揺らしているような錯覚に陥ってきたとき、赤髪の女中は壁の中から戻ってきた。
腕の中には安らかに寝息を立てる赤子を抱えて。
「「おお……」」
思わず朱雀たちは声を漏らす。
「こども、かお、みせた。はなし、きく、しろ」
「そのままこちらへ赤子を渡せ。そうしなければ――――」
朱雀の言葉を遮るように、巨大ななにかが高速で空気を割いた音がした。
鈍く響いた音の源を探せば、赤髪の女中の前に巨大な影が立っている。部屋の黒に溶けるように輪郭も朧。
影の手には、その巨躯に引けを取らない大剣が握られており、その刃は赤髪の女中の喉の僅か左で留まっている。
なぜか総雲は動かない。否、動けないのだ。
総雲と赤髪の女中の間には左手に刃を取る通訳の女中の姿があった。
その声音は男のようだったが、初めて聞く言葉と発音にそれが言語であることを理解するのに一息の時間を要した。
「かんげい、する」
鎧男の後を追うように、朱雀たちを先導してきた女中が口を開いた。通訳をするようだ。
「赤子はどこだ。ここにいたことは知っている」
「こども、ぶじ。あんしん、しろ」
「赤子の顔を見せろ。そして我々に引き渡せ。話はそれからだ」
「そのまえ、はなし、きく、しろ。じぶん、たち、こども、さらう、してない」
「世迷言を! この異界に我々の世界の赤子がいることが何よりの証拠だ」
「とつぜん、しろ、まえ、こども、いた。だから、あずかる、した」
「そんな言葉を信じるか! 早く子供を渡せ!」
女中を仲介して言葉を交わす。朱雀は鎧男の絵空事に耳を貸す気はない。
鎧男はその姿を見かねたのか、横に並ぶ女中たちに声を掛けた。
名前を呼ばれたのであろう赤みがかった髪を一纏めに結び後ろに流した女中が、後ろへ反転するとそのまま背後の壁に向かって歩き出した。そのまま壁に向かうと、溶けるように女中の身体は壁に吸い込まれていった。
静寂が包む。面の中に己の呼吸音が反響する。それが鼓動を速め、やがては心音さえも鼓膜を揺らしているような錯覚に陥ってきたとき、赤髪の女中は壁の中から戻ってきた。
腕の中には安らかに寝息を立てる赤子を抱えて。
「「おお……」」
思わず朱雀たちは声を漏らす。
「こども、かお、みせた。はなし、きく、しろ」
「そのままこちらへ赤子を渡せ。そうしなければ――――」
朱雀の言葉を遮るように、巨大ななにかが高速で空気を割いた音がした。
鈍く響いた音の源を探せば、赤髪の女中の前に巨大な影が立っている。部屋の黒に溶けるように輪郭も朧。
影の手には、その巨躯に引けを取らない大剣が握られており、その刃は赤髪の女中の喉の僅か左で留まっている。
なぜか総雲は動かない。否、動けないのだ。
総雲と赤髪の女中の間には左手に刃を取る通訳の女中の姿があった。
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